王妃さまと少年達 7
すいません!短いです。
凶刃が迷いなく凪の華奢な身体を切り裂く、その瞬間。
風が唸りをあげる。全てを薙ぎ払うような風がまるで意思をもった一つの獣ように地を疾走し、暗殺者に向かう。
ブワッ!と突風に凪の黒髪が舞った。
抗うことすらできない力に暗殺者は弾き飛ばされ樹の幹に激突し、そのまま座りこんだ。
魔力によって生み出された風がまるで護るように凪達を包み込む。先程の攻撃が嘘のように穏やかな風に最初は怯えた様子だった少年達も安心したように身体の力を抜いた。魔力のない凪でも感じられる強い力を秘めた風を作りだせる人間なんてこの苑に一人しかいない。
なのに凪は咄嗟に有り得ないと思った。国の利害や凪自身の立場など色んな理由で彼が凪を見殺しにできないことは理解していた。
でも、疎まれたお飾りの王妃をこの人が助けるはずがない、と反射的に考えた。
苑王が関心もない。王妃である妻を助けるなんて。
理性が理屈をこねても心が納得してなかった。
本来なら一つだった話を二つにしてしまったためこんな短さに……。しかも苑王は助けにきたのに凪は「有り得ない」と心の中でバッサリ切って捨ててるし。