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王妃さまと少年達 6
倒れた暗殺者など目もくれずに凪はものすごい勢いでで少年達を振り向いた。
「きみたち、大丈夫・・・って血!怪我!手当てしなきゃ!布・・・紙しかない!・・・服破ればいいか!あ、君止血するから手伝って!」
怪我人がいてさらに慌てつつも、とにかく手当て!と凪は怪我をした少年の具合を確かめつつ、もう一人の少年に指示を飛ばした。迷いもなく服を破り、即席の包帯を作る凪の意識は完全に治療に集中しており、背後で暗殺者がゆらりと起き上がったことに気付かなかった。
「!危ない!?」
怪我をしていない少年が真っ先に気付き叫ぶ。背後で膨れあがる殺気に大地を蹴る音。
振り向くよりも考えるよりも早く凪の身体は少年達を守るために動いていた。
「やめろ!」
幼い悲鳴じみた声が響く中、暗殺者が凶刃を凪に振り下ろした。
襲いくる痛みと死を予感して凪はきつく瞳を閉じた。
遠くで風が唸る音を聞いた気がした。