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王妃様の副業  作者:
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閑話 夜来の二人

真奈の仕える主は沢山のことに蓋をし耳を塞ぎ口を閉ざして生きている。


傷つけられても淡く笑い。与えられたものを大切にするがそれらを奪われたり壊されても悲しそうに「仕方がないよ」と諦める。

決定的に彼女は己に価値を見出だせていない。

怒り執着などといった強い強い感情を己のために抱かない。

彼女の行動理念は己ではなくいつだって他者にある。

だから・・・・・。


「と言う訳で苑王の恋の懸け橋をしようと思うんだけど!」


あんだけ馬鹿にされ邪険にされているにもかかわらずこんなことを言い出す。


「貴女はどこまで馬鹿なんですか」


「酷い!どうせ別れちゃうなら気持ち良く後腐れないように幸せになってくれた方がいいじゃない!」


「別れることは決定ですけどあんだけ凪様を馬鹿にした男を幸せにしてやることはありません。盛大に砂をかけてやりましょう」


「真奈〜〜」


二人とも別れること前提で話しを続ける。

凪は国に帰されることはほぼ確実だろうな〜〜〜と悟っていたし、真奈はふざけんな。あんたらに凪さまはもったいなさ過ぎる!こっちから見切りを付けてやる!と離縁に乗り気満々であった。


「でも!」


「駄目なものは駄目・・・」



「折角見つけたネタなの!生で成り行きを観察して取材をし余す所なく妄想脚色し、小説にするの!売れれば私たちの明日のご飯はオカズが一品増えるわ!」


凪の魂の叫びに真奈の動きが止まる。


おかず一品追加。


現状、王宮側から用意される食事は手抜きで質素で味が良くない。そしてたまに毒が入っていることがある。

お金があれば・・・おいしいご飯が食べられる。


「真奈・・・・」


「凪さま・・・」


言葉はいらなかった。固く握りあった手が彼女達の答えだった。




余談だが・・・何にも強い執着を見せなかった凪がここ一年の食生活で食事に関してのみ向上心溢れ質上昇を求めるようになり彼女の食に対する淡泊さを知っている者達を驚かせることになる。

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