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王妃様の副業  作者:
17/40

王妃さまと後宮7

「で、実質、この変態はどんな被害を巻き散らかしたんですか?」


部下の顔面を掴んだ状態のまま話を進めようとする女医(無表情)に凪たちは言葉が出ない。


「だからイチゴは変態じゃないよ!ちょ~~っと自分の欲望に人より忠実なだけだよ☆」


そして顔面鷲掴みの上にちょっと浮き上がってさえいるのに全くもって言動が変わらないイチゴに凪たち心の底からドン引き。


「ちょっと黙っていて」


もちろんそんな発言をした部下を上司は黙らせた。

掴んだままの顔にメキメキと音がするほど力を篭めるという荒業で。


「いや~~ん☆いたぁ~~~~い☆。せんせぇのばかぁ~~~~☆」


痛みを与えれば与えるほど喜ぶ相手を黙らせることはできなかったが。

というかめきめきという音の危険度がどんどん上がっているんだがそこはいいのか?大丈夫か?


「人様に誤解されるような声を出すのはやめて」


「いや~~ん!上司がむりやり~~~~☆」


「ほう。変態発言だけでは飽き足らず私を脅すつもり?いい度胸。どこまでお前は痛みを許容できるかな?」


真顔で部下の顔をメキメキ言わせるのはやめてぇぇぇぇ!

凪達は人体が上げるべきではない音が聞こえてきた段階で勢いよく止めに入らざるを得なくなってしまった。


数分後。


何故だかピンピンしているイチゴにしれっとした顔の女医。

そして何かがげっそりとそげ落とされてしまい地面に座りこむ凪、ひなた、側室候補(×3)の姿。


「つ、つかれた………」


「な、なんでですの………なんで止めにはいったわたくし達のほうが疲れているの………」


「ふへぇぇぇぇぇん。こ、こわ、こわかっ!」


「な、泣くのはお止めなさい!仮にも後宮で働く者が無様にも泣くなど………」


「手が震えていらっしゃるわよ………」


「そういう貴女も震えてらっしゃるではありませんかっ!」


一体なにがあったのが彼女達の様子からは窺うことはできない。ただ、妙に疲れた顔をしたり泣いていたり震えていたりしているのが妙に気になる。

そんな彼女達の様子にイチゴが可愛らしく頬に人差し指を当て、首を傾げながら顔を覗きこむ。


「おやおや~~~~~~~☆みなさんお疲れのお・か・お♪白衣の天使イチゴがお手当てしちゃうぞ☆しゃららん♪」


うぜぇ………。


全員の顔がウンザリしたものに変わり、その背後にそんな文字が浮んでいるようだった。


「きゃは☆冷たい視線~~~~~~♪イチゴぞくぞくする~~~~~♪」


頬を赤く染めて両手で自分の体を抱きしめるとイチゴがクネクネと体をくねらせる。

無表情な女医の眉がぴくんと一段階跳ね上がる。


「………申し訳ございません。被害もなにも“これ”の存在を見てしまったことこそ被害でした」


痛恨のミスをしたかのような悔恨を滲ませながら女医が再びイチゴの顔を掴む。


「きゃ!先生なんでまたイチゴの顔面にぎっているの~~~~~~~~?」


「なのでこれ以上被害が増えないうちに“これ”を撤去いたします。ご歓談中に失礼いたしました」


優雅な一礼は上級の女官と言ってもいいぐらい洗礼されていた………左手の先に看護師を握ってさえいなければ、という注意書きがつくが。


「いや~~~ん!先生、人間は顔面掴んで引きずっちゃだめなんだぞ☆」


「黙れ、変態」


やんのやんのと言い争いながら遠ざかっていく二人の姿が完全に見えなくなる頃、誰かがぽつりと呟いた。


「そういえば、何、していたんだっけ、私達?」


「………さぁ?」


あまりにも強烈過ぎて直前に自分達が何をもめていたのかもうどうでも良くなった凪たちであった。


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