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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。

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短編集

メイド長の屋敷防衛戦

掲載日:2026/10/18

「お嬢様、どうかお元気でお過ごしくださいませ」


私がお嬢様にかけられる言葉はこれしか思いつかなかった。


突如屋敷が襲撃されお嬢様に生きてもらうために、誰かが刺客たちの相手をしなければならなくなった。



「離しなさいウィンメル、アルマが……アルマがまだ!!」


「お断りします!! 離してはお姉様の意思が無駄になります!!」


「ありがとう、ウィンメル」


お嬢様に生きてもらうためには誰かが残らないといけない。


ならばその役割はメイド長の私の役割……いいえたとえメイド長でなくとも私はお嬢様のためならばこの命を差し出します。


「お嬢様には指一本たりとも触れさせません。このアルマ・ヴェルニクスの名に誓って!」


「ガーッハッハッハ、お嬢ちゃんだけでこの俺たちをどうにかできるとでも? 甘くみられたもんだぜ!!」


「そう思うのでしたら、試してみなさい!!」


お嬢様の成長をもう少し見ておきたかったのが、後悔と言えるでしょうけど……ここで生き残ることができれば再会することが可能になる。


その間お嬢様を頼みましたよ、ウィンメル。



刺客の人数は視界内に十四、おそらく増援も来るでしょう。

それに比べて私は一人……だとしても半数近くは隙が多い。

そのことも踏まえれば、援軍という薄い望みに賭けるのでしたら踏ん張れても一時間が限度。


それだけあればお嬢様は屋敷から離れられますね。


昨日お嬢様と眠っておけば、もう少し力が出せたのですが……昔の私からは想像もつきませんね。


今は余計なことを考えている暇などないでしょうが!


「来ないのでしたらこちらから行きます!!」


私との距離で、一番狙いやすいのは二時の方向の斧使い。


「テメェを殺して報酬を総取りしてやるぜ!!」


「そんな大振りで命中するとでもお思いですか」


可能な限り殺さず行動不能にしておきたい。

誰が刺客を送り込んだのかを知らなければならないのですから。


斧使いの足を切断しながら直線上の近い剣士を狙った。


「メイドにしてはやるではないか!」


「お褒めに預かり光栄ですが、その言葉はお嬢様にいただきますので貴方にお返しします」


この方々なぜ一斉に私を襲わないのでしょうか?

……まさか何か別の意図があるのではないでしょうか。


あることに気づいた私は剣士の首を刎ね屋敷の屋上に登った。


「貴方何をしようとしましたか?」


屋上に奇妙な杖を持っているこの男はお嬢様の方角を狙っていた。


魔道具だと想定すればお嬢様が狙われる可能性がある。

即座に始末しなければならない。


「流石はメイド長とでも言ってやろうか?」


「結構です」


右脚に力を込め、斬りかかった。


ですが、男は刀を左手で支えた杖で受け止めて大きな音と共に魔法を打ち込んできました。


耳鳴りがするなかで魔法は私の頬を掠めた。


しかしそれで脚を止める理由にはならない!


「仕留めます!!」


どうにか男を始末出来ましたが、未だに刺客の数は多数。


そして先ほど受けた魔法に付与されていたであろう毒で身体が思うように動かない。


「……私もここまでですかね。最期にお嬢様に触れたかったです」


……ですがまだ出来ることはある。


隙だらけの刺客を始末すること、せめてそれだけでも……しておかなければ、お嬢様に顔向けが出来ませんから。


刺客たちに気づかれると分かった上で私は叫びながら斬りかかった。


もはや情報を引き出すなど言っている余裕は、私には残っていない。


それに叫ぶことで少しでも注意を引きお嬢様がお逃げになる時間が稼げるのなら、私は構わない!!



しかしあと六人というところで、私の身体は限界を迎えてしまった。


「女の動きが止まったぞ、今すぐ殺せ!!」


私は役目を果たせたのでしょうか……そのような疑問が浮かびながら、私は動かない身体で降りかかる斧を眺めていた。


私の人生ここまでかと、そう覚悟を決めていた時でした……旦那様のマントが私の視界を横切ったのは。


「遅くなってすまないアルマ。お前のおかげでみんな無事だ」


死ぬ前に苦痛を感じないように脳が見せている幻覚……おそらくはそうなのでしょうね。


ここで私が助かる道などありはしないのですから。


「アルマ……おい…………マ」


薄れていく意識の中で旦那様の手により倒される刺客が見えたことに安堵しながら、私は倒れた。




慣れ親しんだ手の温もりを感じながら、私は目を覚ましたのだ。


「アルマ……アルマァァ!!」


「お嬢様、ご無事で何よりです」


私が目覚めることが出来たのは、お嬢様を守れとの天啓なのでしょうか?

もしそうなのだとすれば……私は感嘆を禁じ得ない。


「良かった。もうお嬢様には会えないかと…………諦めてしまいました。私に……触れていただけませんかお嬢様」


「そんなの……いくらでも触れるわよアルマ」


「私もいますからね、お姉様」


誓います、このアルマもう二度と諦めたりなど致しません。

お嬢様とウィンメルのこの温もりに誓って。



おしまい


見つけて読んでいただきありがとうございます!!

突然時間を稼ぐために残るメイドが書きたくなったので、書きました。

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