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爾後、依然として人跡を認めず

作者: バニラ
掲載日:2026/05/18

※注意

・現代にそぐわない言動(差別や偏見)が出てきます。またこれらを支持する意図はありません

・これはフィクションです。実在の人物・団体・事件などには一切関係ありません

・明治時代の価値観で話が進みます。

・人が死ぬ描写あり

・未熟者なので生温かい目で見てください。


 暦上は、肌暖かい季節で天気もよく夜は雲一つなく月が見えるはずなのに、今日は月は隠れ、外はザーザーと音を奏でている。

 そのせいか、今夜は少しだけ肌寒いと感じる日だった自分も、さっきまでは肌寒いと感じていたはずなのに、今は羽織っている被布(ひふ)がとても邪魔だと感じる。

 錆臭い匂いが部屋に充満し強烈に鼻につく、それもそうだろうたった今、目の前(あに)を殺したからだ。

 (あに)は、なんとも幸せそうな笑みを浮かべながら開き切った瞳孔でこちらを虚空に見つめている、それはさっきまで〈自分は殺される訳も無い〉と思っていたのであろう、まぁ人間いつ死ぬかなど分からぬ物だ。けれど実の妹に殺される(じぶん)になんて思ってもみなかっただろう、自分だって人を、しかも身内を殺すなんて思いもしなかったからだけど自分はもう限界だった。

 (あに)が折檻されるところ、(あに)が狂うところ、(あに)が暴れるところも、(あに)の振る舞いや物言いも何もかも、そうなにもかも!、、、、、、、、、、みたくなっかた。

 冷たくなった身体を抱き寄せると、思い出すことがある。

いつも自分がお世話している時は、こうやって抱き寄せてながら頭を撫でてくれる。だが手も、熱くなりすぎた身体に冷やすには、丁度いい温度だ。


「はは、、、、は、、、、、ぁぁぁぁぁ!!!」


 涙がポツポツと流れるように、後悔や罪悪といった念が波のように押し寄せてくる。

 今更そんなものが出てきてもなんも意味も無いとゆうのに。


ーーーー












「誰も来ないな」


 “怪談屋の店主”奏恵(かなえ)は新聞を広げながらそう呟く、まぁ店は裏路地に開いているのでそうそうに来る人など多くは居ないだろう。

 何、客が全く来ない訳でも無い、ちゃんとここを贔屓してくれるお客はいる。


「、、、、アイツもいないし今なら大丈夫か」


 少し年季かかった机の引き出しに、置いてあった煙管(きせる)を手に取り、火鉢に火をつけて障子を開け吸い始める。

 吸えるのはこの時間か末吉(すえきち)が寝た後ぐらいでしか吸えない。

 末吉とは、ここ“怪談屋”を開く前に拾った元物乞いの棄児(きじ)でお人好しで厄介事をよく持ってくるアホだ。

 そんな末吉は大の煙管嫌いそんな奴の前で吸うもんなら煙管を隠されたり、ご飯を減したりと、そこらにいる煙管嫌いでも中々に見ない程に煙管嫌いな奴だ。

 そんな末吉の煙管嫌いなんとかしたい、せめて多少吸っていても怒らないぐらいにそしたらいつでも吸えるからな、そんな風に考えていると、目先にある道の端で近所の主婦達がだんだん集まってくる。

 いつも昼時を知らせる鐘が鳴るちょっと前に集まり、井戸端会議をするがそのほとんどが噂話しや家庭の愚痴ばっかだ。

 それと同時に、コレが始まったら高確率で末吉が帰ってくる時間帯でもある。

 煙管の葉を外に落としているとこんな会話が聞こえてきた。


「、、知ってます?」

「あぁ、、、、、丁目の、、、、さんの娘さん」

「えぇ亡くなった、、」

「、、、ねお兄様も、、、、、、、」

「、、大変、、」


 聞こえにくて何の会話をしているのかは分からないが、主婦達の哀れみに溢れた表情を見るに大方、娘が亡くなりそのあとも続くように、その家の兄も何かあったんだろう。

 腰をあげて、台所に貼ってあった水を汲み茶入れの中にいれ、今朝近所の人から貰ったお餅を持ってそれらを焼いたり沸騰させたりして、のんびりして過ごしていると。

 外から「こっちだよ!」、と聞き覚えしかない声が聞こえてくる。


 ガガガガガッ!


「せんせー!!!おきゃくさん連れてきたー!」


 噂をすればなんとやら、大戸(おおど)を乱暴にあけて入ってきたのは末吉だ。

 末吉はなんとまぁ満面の笑みで褒めて欲しそうにこちらを見ている、だがその隣には鼠色の着物を着ている、なんとも愛らしい少女は、こちらを伺うように見ている。


「そんな風にあけるな、壊れるだろうが」


 「それで前扉を壊したのを忘れたのか?」、そう呆れた声で聞くが、末吉は耳を貸さずに「このひとはね、ちよこさんってゆうだよ!」と自信に満ちた顔でそう言う。

 千代子(ちよこ)と言う少女はその容姿に似合うか細くて可愛らしい声だ。

 だが自分の腕をぎゅっと掴み、顔を少し伏せてどこか暗い雰囲気を醸し出している。

 奏恵はこの着物の色は鳩羽鼠(はとばねねずみ)だと気づく。

 富豪層の女性達は()()()()()()()()で紫かがった着物の色を着る事が多い、奏恵は今回のお客様はどっかの富豪層だと確信する。

 久々の太客だと心の中で歓喜しつつもそれを顔には出さずに、悟られるように対応をする。


「あの、、、、この方がですか?」

「うん!」


 あいも変わらずに末吉は自信満々なで電灯の光にも負けない笑顔でそう答える、一方の少女は不信感と疑いといった表情見てとれる。

 まぁそりゃあ誰だって片眼鏡(かためがね)糸目の狐顔が胡散臭い笑みを浮かべていたら、誰だって警戒はするだろう。


「せんせはいじわるなひとに見えるけどいい人だよ」

「前にね、おらに団子くれたんだー」


 ニコッと少女の方を見ながら微笑みを見せてそう言い放つ。

 最初の部分は言わなくていいだろ、その言葉を喉の奥にしまい、代わりに視線で訴えることにした。

 そんな様子を見てか少女は見てかクスクスと口元を押さえながら笑っていた。

 末吉のいらん事を言う悪癖があるけれども、それで新規のお客には緊張がほぐれたりする時もあるのでやめろとは言わない、まぁ常連だったら奏恵の鉄拳が飛んでくるところだけどね。


「いえこちらこそ、長々と立たせてしまって申し訳ございません。」

「えっと、、、、お、おきになさららずに」

「ささっ、こちらで依頼を聞きますよ」

「、、、、ありがとうございます。」

 

 素早く依頼人の少女に、座布団を用意し、「そちらに座ってください」と言う、少女は少し戸惑いつつもそこに座る。

 そんな奏恵を見て、末吉はいつも地蔵のように重い腰はどこに行ったんだろう?と思いつつもお茶の準備を始める。


「そうえば、自己紹介がまだでしたね。」

「初めまして、私はこの店の店主をやっております。奏恵と申します。」

「お、、、、、私は千代子(ちよこ)と言います」


 千代子と名乗った少女は、緊張か不安からか顔を俯かせ、座ってもなおギュッと着物を掴みながら話す。


「それで、どんなご依頼でしょうか?それか相談事でしょうか?」

「えっと、、、、相談ですね。」

「では、何のご相談なんでしょうか?」

「お、、、、、私の、、、、、、兄についてです。」


 千代子はぽつりぽつりと小さいな独り言のように話始める。

 それは、ちゃんと耳を澄ませていないと外の音で掻き消されそうな小さなか細い声だ。


「、、、、詳細は省きますが、、、、、私はとある商人の娘で兄はそこの長男です。」

「ですが、、、、兄は前世でやらかしをしていまし、普通の人みたいに出来ない事が多いのです、、、、」

「そこで、腕の立つ住職やお坊さんを紹介して欲しいのです、、、、!」


 眉毛を少し吊り上げ、奏恵は心の中でため息をついた。

 千代子の兄は普通の人ではないく、兄の生まれる前の人生、つまり前世で何かやらかしたか、その家系のご先祖様らの怒りを買い呪われてしまい、普通の人みたいに出来る事も出来ないんだろう。

 まぁ、良い意味でゆうなら()()()()()、悪い意味で()()、世間ではそう解釈されている。

 よくこの手の相談はくる事はあるが、ちゃんとした解決方法は依然としてないと言うよりかは、対処法を知らないと言った方が正しい。

 まず医者に行った所で無駄、医者すら分からないと言われ、祈祷やお祓いを勧められて住職の所に行っても効果がないと言われる。

 そんなしなものが、一介の何でも屋が分かるはずもないのだから正直断りたいと思っている。


「私は兄上を救たいのです、、、、!」


 千代子の話を聞いている限り、とても必死でどうにかしたいと感じとれる、だから余計に厄介な相談だと思う。

 この手の話は対応を間違えれば依頼人からの信用を失う可能性がある、最悪店の評判にだって傷がつくかもしれない。

 前に一回だけ、依頼について揉めて評価が下がった事がある。

 そんな風に悩んでいたら、この場にそぐわない明るい声で「お茶入りました〜」と呑気にお茶とお団子を持ってきた末吉が来た。

 千代子は「ありがとう」と軽くお辞儀をして渡されたお茶を飲む。

 

「千代子は商人の娘さんなの?」

「、、、、えぇ」

「そしたらさ、外国のお菓子っておいしいの?」

「えぇ、甘くて頬っぺたが落ちると思ったわ」


 その言葉を聞いた末吉は目を輝かせながらどんな味だったのか、どんなお菓子なのか、ぐいぐいとお構い無しに聞いてくる。

 奏恵が注意しようとするが、千代子は意外にも教えてくれて何となく表情が柔らかくなったような気がする。

 そんな2人の様子を見ているとふと、奏恵の目に千代子の袖から腕が見えた。


「、、、、すみません、少し待ってくれませんか?」


 突然、奏恵は申し訳なそうな顔をしながら、そう言い千代子と話していた末吉はの手を握り戸の方に歩き始める。

 末吉は突然のことに戸惑い、されるがままに外に連れ出される。

 同じように千代子の「え、ちょっと、、、!」さっきまでの楽しい声から変わって、戸惑う声が聞こえるがそんな声を無視して奏恵達は家を出る。

 ぽつんと1人、可愛らしい少女と一緒にお茶とお団子が置かれていた。


ーーー


「あ、あの!せんせ?」


 突然の奇行に戸惑いと驚きを隠せない、今まで依頼人の前でこんな行動を見た事がない。

 そして表通り手前で、突然立ち止まり奏恵にぶつかりそうになるが、くるっと末吉の方を見ながら口を開く。


「、、、、お前ヤバいの持ってきたな」


 さっきまで飄々としていた表情から一変、とても気分が悪そうで顔色は血の気が引いているのか少し青白く、今にでも倒れるんじゃないかと心配になるぐらいだ。

 こんなに顔色が悪い奏恵を見たのは初めて見た、お金が盗まれた時もここまで顔色は悪くなかった。


「せんせ、体調悪い?」

「、、、、少しな」

「少し?少しじゃないよ、大分だよ」


 眉を八の字にして心配そうに見つめる末吉を見てか少し頭をかきながらバツが悪そうに視線を逸らす。


「、、、、、、、、せんせ、何かあったの?」


 この場はまるで、空気が粘り気のように張り付いているように重い、だが対照的に表通りはそんな粘り気とは無縁のように人々が活発的で明るい声が聞こえてくる。

 しばしの沈黙のあと、奏恵は口を開く。


「ーーあの子、丁稚でっちだと思う」


 “丁稚”とゆう言葉に普段、ののほんとしている末吉の表情が固まった。

 丁稚とは、商人に拾われた物乞いの子供や棄児達が()()()と言う名目で、強制的に使用人として働かせられる子の事を指差す。

 末吉も元々棄児で、奏恵に拾われる前に商人達に「使用人にならないか?」「良い待遇だよ」と勧誘を受けた事がある。

 その言葉を鵜呑みにして信じて行ったが、実際は奴隷とほぼ変わらない待遇を受けた、酷い時には熱しられたお湯で顔にかけられそうになった。 

 その時はなんとか避けたが、肩に当たってしまい火傷の跡がある。

 だがまだ命があるだけマシだ、その言葉を同じように信じて行った仲間達は、ゴミを捨てるように冷たくなった身体を投げ捨てられた場面を何回も見てきた。

 だから、末吉にとっては()()はよく思っていない。


「あの子髪綺麗ですよ?前のおらみたいにベトベトしてないよ?」

「それにアザもなかった!」

「そもそもなんで丁稚だっておもうのですか!」


 興奮気味に奏恵の肩を強く握りしめながら詰め寄り怒涛の質問を繰り出す。

 そんな末吉の額に奏恵は強めのデコピンをして、痛かったのか額に手を押さえる。


「、、、、俺が千代子さんを丁稚だと思う理由だが」

「袖から見えた()()()()()()()()()を巻いている事だな。」

「包帯、、、、?」


 額を抑えたまま、ポカンとした顔で奏恵をみる。


「お前、千代子さんとあった時から腕を押さえていなかったか?」

「、、、、、、、、多分押さえてました」


 そこまで見ていなかったが、言われてみればずっと腕を押さえながら話していた気がする、初めてあった時や奏恵と話している時さえも、アレは包帯が見えないようにする為に押さえていたのだろうと言われたら納得はできる、そのまま奏恵は続ける。


「大事な娘なのにそんな事ありえるのか?普通なら変えるものだろ」

「そもそもの話だ、1()()()()()()()()()()()()()

「、、、、あ、確かに」


 その言葉にはっとする、商人の娘が護衛を付けずにぶらぶらと町を歩くなんてとても危ない事だ。

 ましてや、初めてあった男のあとを警戒心なくついていくなんて、もし仮に人攫いや事件に巻き込まれたらたら警察は頼らないのに、もし頼ったら世間からは()()だと認知されて縁談は破談、今後ともそのような話は来なくなることになる。

 それに知らない男の後をについて行き、男しかいない場所に行くなんてこれまた変な噂が立っては困るだろう。

 奏恵は大きなため息をついて、名残惜しそうに腕から銭袋を出して末吉の手に銭を置く。


「お前はこれで買い物してこい」

「なんで!?おら、千代子を助けたいよ!」


 まさかの言葉にまた肩を強く握り、真っ直ぐ奏恵を見つめる、その目は心の底から千代子を助けたい、と強い意志が見える。


「、、、、お前何か勘違いしてるな」

「それで、今から千代子さんにアンパン買ってこい」

「え?」


 まさかの言葉にさっきまでの必死な表情からいっぺん、目をまんまるにしてパチパチと瞬きしながら奏恵を見つめる。

 呆れたように奏恵はため息をする。


「、、、、さっきので菓子がないんだ。」

「だから、千代子さんの為に買ってこい」

「、、、、うん!!買ってくる!」


 その言葉を聞いてかぱぁぁと明るい笑顔を浮かべて末吉はその場を駆け足で離れる。

 奏恵は、末吉の余りにも純粋な気持ちに罪悪感を覚える、だって今から踏み躙る事に罪悪感を覚える、だって今からこの依頼を断るからだ。

 断った事を知ったら末吉との関係はもう戻らないだろう。

 その時は仕方なく、「()()()()()()()()()()()()()()()()」と言い訳が出来るが、あまり言いたくはない。

 それに、こう言う案件は深く首を突っ込まない方が身のためだ。





ーーー





 ギギ、ギ、、と乾燥した木が悲鳴を上げるような音を立てて開いた。


「あの、、、、どうかしましたか?」


 千代子は心配そうに奏恵を見つめる、机の上にあった団子は無くなっており皿の上には串だけが置かれていた。


「、、、、貴方のお話をきいて、住職を紹介するかどうかを少し話し合っていました」

「申し訳ありませんが、私共ではどうにもなりません」

「え?」


 まさかの言葉に空いた口が塞がらない、打って変わってさっきまでの心配そうな顔から、千代子は信じられない、と言わんばりな顔を向ける。


「代金は結構、お引き取りください」

「なんで、、、、!なんで!諦めろと言うのですか!!」


 声を張り上げながら立ち上がりながらバンっ!と力強く机を叩く。

 その衝撃でお茶が倒れ床に茶葉が広がる、早く拭かないと痕が残るだろう、だが今はそんな呑気な事を考える場面ではない。

 千代子の目は、これからの未来に絶望している目だ。


「、、、、、、、、」

「そ、んな、、、、」


 沈黙を貫く奏恵を見てか千代子は膝から崩れ落ちた始めた、だが机に頭をぶつけそうになるが咄嗟に奏恵が千代子を掴み、額から血が出る事はなかった。

 だが奏恵の手を払い、凄い形相で睨みつけながら叫び声に近い声で話し出す。


「そ、そしたら!そしたら、!どうやったら、、、」

「どうやったらっ、アイ、、、、兄上が治るんですか!!!」

「治らない、これが私の答えです」

「っーーーー!!!、、、、、、、、」


 声にならない声で何かを呟いたあと、啖呵を切ったように涙を溢し始める。

 その涙は、治らないと知ったから出る悔しい涙か、それとも解き放てられない使用人(奴隷)からくる絶望の涙なのか、それは分からない。



ーーー








「、、、、お話をきいてくださり、ありがとうございます」


 千代子は深く深くお辞儀をして、怪談屋を後にした。

 奏恵は薄い愛想笑いをして千代子を見送った。

 辺りはすっかり夕暮れ時、点灯夫(てんとうふ)達が街頭をつけるために仕事を始めるような時間になっていた。

 奏恵は千代子を見る、表通りは学校や仕事帰りの人達でごった返していた。

 その波に飲み込まれ、もう千代子の姿は見えなくなっていた。


(あの子がどんな選択をするのかは知らない。が、少なくとも後悔するような選択はして欲しくない)


 そんな事を考えても、どうにかなる世の中ではないが少なくとも分かっている、でもそこの商人の家に使い潰されるずにいる事を願っている自分がいる。


「せんせ、千代子いる?」


 後ろを振り返ってみると、戻ってきた末吉の手にはアンパンが二つあった。


「、、、、ねぇせんせ、千代子どうにかなる?」


 末吉は心配そうに聞いてくる、だがさっきの顛末を話したら余計に不安になるだろう。

 だから、奏恵は希望的観測でこう答える。


「どうにかなるだろ」

 

 それを聞いた末吉は少し間をおき「そっか、、、、!」と物寂しそうな笑みを浮かべたまま顔を伏せる。

 そのまま家の中に入ろうと戸に手をかける、だが突然、奏恵はわしゃわしゃと髪の毛がボサボサになる勢いで末吉を撫で始める。

 突然の事に目をまんまるにして驚きながらも少し笑みを溢したながら、こう言う


「、、、、もう、やめてくださいよー!びっくりしましたよ!」

「、、、、、、、、、、、、」

『、、、、お前は優しいな』


 ぼそっ、と決して末吉の耳に届かないようにそう呟いた。


ーーー






 あぁ、あぁ、うるさい、うるさい!こんなにも自分の鼓動がうるさいと思う日が来るなんて思わなかった。

 もうあそこ(怪談屋)で話して決めたじゃないか、

決心がついたんだ、つけたんだ、そうでもしなきゃきっと千代子(自分)は死ぬ、そうやって千代子(少女)は自分に言い聞かせる。

 自分はもう、あの人()の妹ではないとそう見せつける、たしか難しいことばでゆうと()()をする、アイツら(この家の奴ら)に見せつけるんだ。

 千代子(少女)の瞳は、覚悟と殺意に満ちていた、、、、

 

人物紹介


怪談屋の店主 奏恵(かなえ

金に目がなく金があるかどうかで態度が変わる、だが意外にもお人好しで金がなくともある程度やってくれる事があったりする。

好物はあんぱん


怪談屋の従業員 末吉(すえきち

馬鹿正直なお人好し少年、困っている人がいれば話しかける優しい子、だがそれ故に詐欺とかには騙されやすい

好物は白米とお肉


お客さん 千代子(ちよこ

才色兼備で優しい心をもつ少女と評価されていた、とある商人の名家の娘だった。


千代子の兄 

とある商人の名家の長男で後継者だった。

けれど、生まれつき精神的な障害を抱えており、妹以外の家族からは邪険にされていて、妹が家族の中で信頼できていた。

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