追放された直後に街が壊れかけるの、だいたい俺のせいじゃないかもしれない
酒場を出た。
正確には、追い出された。
扉を閉めた瞬間、背後からまだ怒鳴り声が聞こえた気がしたけど、
たぶん気のせいだと思うことにする。
夜風が冷たい。
(さて……)
これからどうするか。
宿はある。
金も、まあ最低限。
仕事は……そのうち。
問題は、時間だ。
もう夜。
この時間に街の外に出るのは、正直あんまりおすすめできない。
魔物が活発になるし、
巡回も減るし、
何より――めんどくさい。
「……まあ」
今日は街で一泊だな。
そう考えながら、
いつも通っていた城門の方へ、なんとなく足が向いた。
門は、いつも通りだった。
巨大な石造り。
上部には、防衛用の魔道具。
外敵が来たら、勝手に迎撃するやつ。
さっきも、パーティーで通ったばかりだ。
「……」
歩きながら、ふと足が止まる。
理由はない。
ほんとにない。
ただ、
(……なんか、気になるな)
城門の上。
防衛魔道具が、月明かりを反射している。
壊れてるわけでもない。
光ってるわけでもない。
音も、しない。
異常は、何もない。
なのに。
「……さっきより、なんか……」
俺は首を傾げた。
「いや、気のせいか」
だいたいこういうのは、
考え始めるとろくなことにならない。
めんどくさい。
俺は歩き出そうとして――
その瞬間。
――ズドン!!
城門の上で、爆発音。
「え?」
次の瞬間、
迎撃魔法が四方八方に乱射された。
「うわああああ!!」
「何事だ!?」
「伏せろ!!」
門番たちが叫び、
街の中が一気に混乱する。
扉に向かいながら、
ふと思い出したように言った。
「ちなみにこの街――」
「言うな!!」
全員が即座に叫んだ。
俺は何も言わず、宿場へ向かう。
――空は、やけに静かだった。




