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MAGA×Maga  作者: 千崎桜子


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1/6

追放される側にも、言い分はある けどめんどくさい

「――もう無理だ。俺たちは限界なんだよ」


酒場の二階。

いつも使っていたテーブルの向こうで、リーダーがそう言った。


ああ、来たか。

今回はやけに早いな。


「限界って、どの辺?」


俺が聞くと、横にいた魔法使いが机を叩いた。


「どの辺、じゃねえよ!」


魔法使いが机を叩く。


「あの洞窟!

落盤しただろ!」


「したな」


「原因、誰だと思ってる!」


「……俺?」


「お前以外に誰がいる!!」


俺は腕を組んで考える。


「いや、でもさ。

あのあと俺、たまたま転んで壁蹴ったら隠し通路見つけたし」


「結果論を言うな!!」


前衛が吠えた。


「そもそも!

お前が変なタイミングで立ち止まらなきゃ、落盤も起きてねえ!」


「でも全員無事だったろ?」


「それが怖えんだよ!!」


今度は回復役が声を荒げる。


「いつもそう!

毎回“全員無事”で終わる!

でもその途中は――」


言葉を探すように、彼女は一瞬黙った。


「毎回、死にかけてる!!」


沈黙。


……確かに。


「……でも助かってるじゃん?」


俺は言ってから、

あ、これ火に油だな、と思った。


「だから混乱してんだよ!」


リーダーが頭を抱える。


「お前がいたから助かったのか、

お前がいたから死にかけたのか、

もう分からねえんだ!!」


「いや、それは俺も分からん」


「そこが問題なんだよ!!」


魔法使いが叫ぶ。


「毎回毎回!

奇跡みたいに助かる!

でもその直前まで、

絶対に起きなくていい事故が起きる!!」


「事故って言われてもなぁ……」


「前回もそうだろ!」


前衛が指を突きつける。


「森で魔物に囲まれた件!

お前が“なんか嫌な感じする”って言い出して

進路変えた結果だ!」


「あれは結果的に古代遺跡見つけたし」


「その遺跡で呪われただろ俺ら!!」


「でも解けたじゃん?」


「三日間寝たきりだったんだぞ!!」


……うん。


反論が雑になってきた。


「つまりだ」


リーダーが、静かに言った。


「お前がいると、

・必ずトラブルが起きる

・必ず死にかける

・でも最終的には助かる」


「そう聞くと悪くないな」


「悪いわ!!」


全員声を揃えた。


「耐えられねえんだよ!」


回復役が震える声で言う。


「助かるって分かってても、

毎回、命賭けるの……」


誰も俺を見ていなかった。


「……だから」


リーダーは、目を逸らしたまま続けた。


「悪いが、

ここで別れよう」


「追放、ってやつ?」


「そうだ」


俺は少し考えてから、言った。


「まあ……

そうなるか」


「怒らないのか?」


「慣れてる」


「は?」


「いや、なんかこう……

そういう星の下なんだと思う」


沈黙が落ちた。


「……達者でな」


「ああ」


荷物を持って立ち上がる。


扉に向かいながら、ふと思い出したように言う。


「ちなみにこの街――」


「言うな!!」


全員が即座に叫んだ。


俺は何も言わず、外へ出た。


――空は、やけに静かだった。

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