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友情と転校生 2

そうしている間にチャイムが鳴って、三人で慌てて教室へ戻る。

担任が来る前でよかったなんて話をしていると、それぞれ席へ向かう別れ際に清野が俺の背中を軽く叩いてニコッと笑った。

可愛い。

当たり前だが、清野も普通に女の子なんだよな。

運動部所属の男勝りな奴で後輩にも格好いいなんて言われているらしいが、俺はそれを忘れたことはない。


でも、清野が自分をどう思っているかは別の話だよな。

虹川も、愛原も、それぞれ悩みを抱えている。

そんな皆のために出来ることなんて、精々その気持ちに寄り添って、理解を示し、大丈夫だよって背中を押すくらいだ。

俺はカウンセラーじゃない。

でも、友達として誠実に向き合うことは出来る。

だから頑張ろう、日曜、思いきり盛り上げていくぞ!

皆のためが結果として俺のためにもなるんだ、精一杯を尽くそう。


昼休みにこのことを理央に報告するつもりでいたが、チャイムが鳴ると同時に清野と虹川に拉致られて、愛原も一緒に、四人で週末の予定を立てることになった。

まあ、理央には後でメッセージを送ればいいか。

計画に協力して貰っている以上報連相は怠らないようにしないとな。それがけじめってヤツだ。


「私としてはさ、やっぱりフルパラに行きたいんだよね」

「いいよね、食べ放題、健太郎君のお財布にも優しくて」

「あ、あの、賛成、私もフルパラがいいな」


正式名称は『フルーツ・パライソ』

フルーツとスイーツ食べ放題がメインの店で、他に軽食も置いてある。

虹川が言うようにバイキング形式で前払いのチケット制だから俺の財布にも優しい。

有難う、気を遣ってくれて。

それに俺もフルーツもスイーツも好きだから大歓迎だ。


「じゃあ日曜は待ち合わせしてフルパラね、おい、財布」

「ぐッ!」

「こら、リン」


一方で清野は遠慮っていうものを知らない。

虹川に窘められても「いいの、いいの」なんてお構いなしだ、よくねーよ。


「だって下心まみれな健太郎が悪い」

「はあ?」

「実際そうだろ、ねえ愛原さん聞いてよ、健太郎のヤツ、私達のメイド姿が楽しみだなんて言ったんだ、とんだスケベ野郎だよね?」

「えっ、そ、そうなの?」


俺が変態みたいな言い方をするな。

愛原さんも戸惑ってるだろ、それに可愛い女の子のメイド姿なんて男は誰しも見たいに決まってるじゃないか。


「だから詫びを入れさせてやることにしたんだ」

「えっ」

「愛原さん気にしないで、リンはね、今ちょっと拗ねてるの、ほら、くじでハズレを引いたでしょ? だから」

「そ、そうなんだ」


愛原は困ったように清野と俺を交互に見る。

どうしようもないよな、気にしなくていいぞ、愛原。


「まあまあ、愛原さん、虹川さん、それに清野も、日曜はフルパラで美味いもの食って楽しく過ごそうぜ」

「そうだね、健太郎の奢りで」

「もう、リンったら」


調子に乗っている清野に、虹川と愛原は苦笑いを浮かべる。

都合よく事が運んでくれてよかった。

懐事情は当分厳しいことになりそうだが、ツイてるな、運が俺を後押ししている気がする。

この調子でまずは三人の悩みを少しでも軽くするぞ。

日曜は誠心誠意、持て成させてもらおう。


―――その後、あっという間に日は過ぎ、週末の日曜になった。


「おっ、健太郎、もういる!」

「待たせちゃった? ごめんね」


待ち合わせ場所にいると、清野と虹川、愛原も、三人一緒に小走りで駆け寄ってきた。

途中で会って合流したらしい。


「お、おはよう、健太郎君」

「おはよう愛原さん、虹川さんと清野もおはよう、晴れてよかったな」

「そうだね、いい天気」

「まさにフルパラ日和だね」


清野だけ意味不明だが、とにかく今日は絶好のデート日和だ。

天も俺に味方してくれるのか。

集合したところで、早速フルパラへ向かうことにした。

はしゃいで喋る三人から楽しげな雰囲気が伝わってくる。


「そうだ、虹川さん、そのシャツ可愛いな、最近流行ってるんだっけ?」

「あ、うん、友子ちゃんが雑誌で着て人気になったんだよ」

「へえ、すっげえ似合ってるよ、可愛い」


なるほど、流石ファッションリーダー朝稲だ。

それはともかく照れて笑う虹川は凄く可愛い、多分朝稲と同じくらいシャツが似合ってる。


「愛原さんはそのネックレス、チャームが可愛いな、さくらんぼ?」

「う、うん」

「もしかして今日フルパラに行くから合わせたのか」

「そっ、そう、だよ」

「流石だな、センスいい、似合ってるし可愛い」


フルパラに行くからさくらんぼチャームのネックレスって考え方が女の子だよなあ。

俺もフルーツ柄のシャツを着てくればよかった。


「清野、そのキャップ、新しいやつか?」

「うん」

「すげえイケてるな、清野によく似合ってる」

「だろ?」


得意そうにした清野は、けれど一瞬浮かない表情を浮かべた。

あれ? なにか間違えたかな。

褒めたつもりなんだが、うーん。


気にしている間にフルパラの話題で盛り上がる三人に俺も便乗する。

友達同士でこうしてワイワイ騒ぐのって楽しいよな。

しかも全員美少女だから俺にとっては眼福でもある、ありがたや


フルパラに到着した。

事前に予約しておいて正解だったな、支払いも済ませてあるからスムーズに席まで案内された。

やっぱりデキる男はこうでないと。

しかし休日だから混んでいる、俺達みたいなグループや、家族連れにカップル、まさに大盛況だ。


「健太郎君が予約しておいてくれてよかったね」

「ホント、気が利くじゃん」

「あの、有難う」


三人からも感謝された。

ポイントは細かく稼がないとな、最終的な結果の成否に大きく関わってもくる。

女の子を持て成すための基本だ。


「さあ、ジャンジャン食ってくれよ、今日はどれでも食べ放題のコースにしたからさ」

「えっ、そうなの?」

「よっ健太郎、太っ腹!」

「あ、あの、有難う」


一番高いコースを四人分。

いざという時のために毎月の小遣いを地道に貯金しておいてよかった、今日はその成果を如何なく発揮する!

それに、皆が楽しんでくれたら元は十分取れる。

まずは荷物番を承り、三人は早速フルーツやスイーツを取りに行った。

今日の俺は下僕、謹んで控えよう。


「リン、そんなにたくさんとって食べられるの?」

「余裕、余裕!」

「す、すごいね」


戻ってきた三人が持つプレートには個性が如実に表れている。

清野のプレートはスイーツもフルーツもてんこ盛り、さらに追加で軽食まで取りに行った、食いしん坊め。

虹川のプレートはバランスよく、盛り付けも綺麗だ。

まさに美味しいものをちょっとずつっていう女の子らしい印象を受ける、量も適量だな。

愛原のプレートは乗っている量こそ少ないが、おお、これはプロの盛り付け!

SNS映えしそうな雰囲気に虹川と清野も感心している。

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