第三話 町へ
調べものをした日の夕食後、父上と兄と風呂に浸かっていた。
「テオ、今日はどんなことを調べたんだい?」
「今日はヴェンデ王国とロンベルク領について書かれた本を読みました」
「へぇー、テオはそんな本読んだんだ」
「バン兄さん、そんな本って自分が住んでる国と領のことだよ?将来バン兄さんの補佐をするんだから必要でしょ」
「テオの言う通りだな、バンも読んだだろ?」
「そうだね父上、それで気になるとこはあったのかテオ」
「あったよ兄さん、実際に領民の生活を見てみたいなって思ったとこかな。父上、領都を見て回っても良いですか?」
「構わないよ。ただし、レンと護衛は連れていきなさい。確か、明日ならコルナの手が空いていたはずだ」
「分かりました。コルナ副団長ですね。明日確認してみます」
こうして父上から許可が降りたことだし、明日は楽しみだな。
今日は早く寝て明日に備えよう。
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家族と朝食を食べ終わり、レンを伴って騎士団の詰め所へ向かった。
そこで近くにいた騎士に聞いてみた。
「コルナ副団長はいる?」
「副団長ならいますね。案内します」
騎士の案内で副団長室に着いた。
部屋に入ると、そこには凛々しい女騎士がいた。
「テオバルト様、このような狭い部屋で申し訳ありません」
そう言ったのは、ロンベルク騎士団の副団長であるコルナ・ピピィだ。
コルナはスラリとした体型であり、覇気のある雰囲気を醸し出している。
「レオナルド様より伺っております。領都を見て回りたいと。私が護衛致します」
「お手数お掛けして申し訳ない。宜しくお願いします」
こうしてコルナと合流し、領都の中へ向かった。
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「うちの領都は活気があるね」
「はい、皆豊かに暮らしています」
そんな会話をしながら、城壁の傍まで来ていた。
ふと目を向けると、スラム街が広がっていた。
「コルナ、うちの領都にもスラム街があるんだね。町に活気があったから、驚いてしまったよ」
「はい、ロンベルク領都にもスラム街があります。うちの領だけでなく、どこの領都にもスラム街はあります。どの領主様も頭の抱える問題ですね」
「そうなのか。なぜスラム街が出来たか分かるかい?」
「テオ様、私は執事長の父から聞いたのですが、怪我をして働けなくなった冒険者や孤児などが主な住人だと聞いています」
そういうことか。
この世界には魔物がいるから、怪我を負った冒険者や孤児を保護する制度がないのかな。
「よし、分かった。色々と検討したいことが出来たから屋敷へ戻ろう」
やりたいことをするには色々と準備が必要だな。