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ボンビー男爵令嬢は可愛い妹と弟のために奮闘中!  作者: 一番星キラリ@受賞作発売中:商業ノベル&漫画化進行中
第四章

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第八十一話:我慢……?

 感動の再会のハグになるのかと思った。


 だがレイノルドは伸ばしかけた腕をすっと引っ込めたのだ!


「わざわざこんな所にまで来ていただき、ありがとうございます。何よりもきちんと自分から説明をせず、申し訳ありませんでした」


「何か事情があったのですよね。こちらも何があったか話したいですし、それに昼食を作ったのです。一緒に食べませんか?」


「このいい香りはウィリス嬢の手料理なのですか!?」


 貴族は料理を使用人に任せるものだ。

 レイノルドが驚くのも無理はない。

 領地では、何だかんだでマチルダが頑張ってくれていた。私もここまでしっかり料理する姿を、レイノルドに見せていない。


「お恥ずかしながら領地でのあの生活ですと、料理は自分でも作らないといけなくて」


「違います! そういう意味ではありません。ウィリス嬢の手料理を、まさかここで食べられるとは思わず。嬉しいんです!」


 頰を高揚させたレイノルドが腕を伸ばす。


 今度こそ「嬉しいです」のハグがあるかと思ったら……。


 レイノルドはまたその腕を引っ込めたのだ!


 抱きつくわけではなく、ハグなのに。


 そう思うがとりあえず椅子をすすめようとして、もう丸椅子がないことに気がつく。するとウォーレンは、あっという間に積まれた薪に魔術を使い、椅子を用意してくれた。


 私は急いでレイノルドの分の昼食も準備する。


 その間にレイノルドは、ウォーレンに自己紹介。毒の調合と聖剣に対する御礼を伝えていた。


 結局、ウォーレンは令嬢姿のまま、レイノルドと会話をしている。


 レイノルドは間違いなく、ウォーレンを女性だと思っているだろう。そこを訂正するべきかどうか悩むが、そこでジーク団長とウォーレンは、喧々諤々としていたことを思い出すと……。


 ウォーレン本人が明かさないなら、そのままにしておこう……と判断する。


「毒と聖剣もそうですが、こんなところまで出向いてくださり、本当に心から感謝しています。ドレスで不便はありませんか? 大丈夫ですか?」


 するとウォーレンは、私に話したのと同じことを伝えている。つまりはドレス丈を魔術で短くして、ブーツを履いていると。


 その様子を見て、何となく思ってしまう。


 同じ質問をジーク団長がウォーレンにしたら……。

 ウォーレンは、噛みつくような答えをしただろう。例えば「余計なお世話です」とぴしゃりと言いそうだ。でもウォーレンはレイノルドに対しては大人しくしている……と、思う。今のところは。


 そして私の方の準備は完了。

 トレイに食事を載せ、テーブルへ運ぶ。


「セドニック副団長、お待たせしました。普段、屋敷で召し上がる料理に比べると、お粗末なものですが……」


「そんなことはありません。限られた食材で、頑張って作ってくださったのです。自分は栄養が摂れればいいと、干し肉はそのまま、ジャガイモをゆがくぐらいしかしていません。魚は久々に口にします。とても嬉しいです」


 そう口にしたレイノルドの表情。

 心から嬉しいと思っていることが、伝わってくる。


 それを見た私は、胸がジーンと熱くなってしまう。


 ウォーレンもそうだが、レイノルドもまた、誰かの手料理を欲していたんだ。


 手料理……暖かい料理よね。きっと。


「それに、こちらのウォーレンさんが、ウィリス嬢の料理を口にしている時の顔を見ていたら……心が込められた料理と分かりました。自分の分まで用意いただけて、光栄です」


 これを聞いたウォーレンは「副団長はいい奴ですね」と瞳をうるっとさせる。


 どうやらウォーレンとレイノルドは、ウマがあうようだ。


 こうして三人で食事を再開することになった。

 といってもウォーレンと私はほぼ食べ終わり、紅茶を飲むことになる。


 その紅茶を飲みながら、ここに至るまでの経緯を話した。


 全てを聞いたレイノルドは大いに驚く。


「そうだったのですね。博物館の古い剣のことは知っています。まさか本物の聖剣だったとは。驚きましたが、良かったです。キングとの追いかけっこには、疲弊していたので……。これで決着をつけられます」


「キングに毎晩追われ、夜明けと共に休む日々だったのですか?」


 紅茶を飲みながら尋ねると、レイノルドは頷く。


「月は満月に向け、満ちています。日に日にキングの力が強まり、攻撃が熾烈になっていますが、こちらの武器は一切通らない。足止めにはなっても、傷ひとつつけられないのですから……。仲間の騎士達が掘ってくれた落とし穴だけが頼りですが、それもほぼ使い尽くし……。既に閉塞感が漂っていたので、本当に今日お二人が来てくださったことに、心から感謝しています」


 そう語るレイノルドは、既に昼食を食べ終えていたので、私は紅茶を出すため、彼のすぐ横に立っていた。


 「……感謝しています」と告げたレイノルドは、顔をあげ、その美しくグラデーションしている瞳で、私をじっと見た。


 その目を見ていると、副団長として、一人の騎士として。弱音を吐けず、厳しい日々を送っていたことが伝わって来る。


 思わず抱きしめたい気持ちになるのは、母性本能?


 ここはぐっと我慢すると。


「……どうしてお二人はそんなに我慢し合うのですか?」


「「えっ」」


 ウォーレンの問いに、レイノルドと私は声を揃え、「えっ」と反応してしまう。


 まさに今、私はレイノルドを抱きしめたい気持ちを我慢していたので、言い当てられた気持ちになり、ドキッとしていた。


「喜びや感謝を伝えるのに、()()をすることは、別におかしなことではないですよね?」


 ウォーレンの指摘に、それはその通り……と思いつつ、さっきの自分の気持ちを振り返る。


 レイノルドに対し、私はハグではなく、何というかいたわりたく、抱きしめたい気持ちになっていた。


 こんな気持ちになるのも、おかしいことではないのかしら……?


 その一方でレイノルドは、確かにハグを二度、ためらっていた。


 私の場合はハグではなく、抱きしめるだから、躊躇するのは仕方ないと思う。


 未婚令嬢が異性にむやみに抱きつくのは……世間的にも白い目でみられるから。でもレイノルドの場合、あれはハグだったと思うから、なぜやめたのか。


 私も不思議でならなかった。


 するとレイノルドはその理由を話し始めた。

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代筆しながらカウンセリングまでしちゃうお仕事ターンも楽しいですし、ハラハラ展開も目が離せません…! ジレジレしてるウィリスとレイノルド、両側からベシっとくっつけたい(笑) いい感じに2人の背中を押し…
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