表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ボンビー男爵令嬢は可愛い妹と弟のために奮闘中!  作者: 一番星キラリ@受賞作発売中:商業ノベル&漫画化進行中
第四章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

77/167

第七十七話:私が留守番だ

 転移の魔術は魔力を使う。

 そのため今日は、ジーク団長と私の二人を転移させることは出来ないと、ウォーレンが言った。


 これは仕方ないと思う。


 私はジーク団長に「では私は王都で朗報をお待ちしますね」と答えることになる。


「いえ。ウィリス子爵令嬢。あなたが毒と聖剣を届けてください」


「えっ!?」


「この二つを見つけ出したのはあなたです」

「正確には私ですが!」


 ウォーレンが間髪を入れずに声をあげた。

 だがジーク団長はそれを気にせず、私を見る。


「あなたに向かっていただくのには、二つ理由があります。こちらの魔術師は、ウィリス子爵令嬢を第一に考えているでしょう。もしもあなたを置いて、自分を連れて行くように伝えたら……連れて行かないでしょうね」


「当然です! 私は」「ほら、この通りね」


 ジーク団長は、ウォーレンが盛大な抗議をしているが、それを無視して私に話し続ける。


「セドニック副団長も、あなたに会いたいと思っているはずですよ。きちんと連絡もせず、あなた方のことを王都に放置することになったのですから。気に掛かっているでしょうし、申し訳なく思う気持ちもあるはずです」


 ジーク団長の言葉に、それはそうかもしれないと思う。

 彼は真面目だし、とても誠実。

 こんな形で連絡が途絶えたことに、責任を感じていると思う。


「って、領主様、この人間、とてもムカつくんですけど!」


「ウォーレンさん。私をセドニック副団長のところまで、連れて行ってもらえますか?」


 真摯な表情で頼むと、ウォーレンは可愛らしい令嬢の表情に戻った。


 そして神妙な顔つきで尋ねる。


「分かりました、領主様。それで場所は?」


 ジーク団長を見ると「地図を用意させます」と応じた。


 こうして見習い騎士が地図を用意する間、ジーク団長はこんな提案をする。


「北東の地は、王都とは違い、そもそもが村が点在するような場所。道が整備されているわけではありません。自然に溢れたところなんです。つまりドレスにパンプスで行くような場ではない。すぐに戻るのであれば、そのままでもいいでしょう。でもセドニック副団長と、話をされたいのでしょう?」


「そうですね。足手まといにはなりたくないので、キングが姿を現わす前には戻ります」


 私の返事を聞いたジーク団長は、ウォーレンを見て尋ねる。


「行きの分の魔力しか残っていない……なんてことはないだろうね」


「団長はわたしを馬鹿にしているのですか! 当然ですよ。往復分の領主様と自分の分の魔力は残っています!」


 ウォーレンが可愛らしい令嬢姿で頬を膨らませた。


「それならば日没前までは滞在しても構いません。あの辺りにもう魔獣は残っていません。村人も避難させていますし、ならず者もの類も魔獣が出ると分かり、早々に姿を消しています。キングが出没する点を除けば、北東のあの地が、今一番安全な場所ではあるのですよ。ただしそれも日中限定です」


 何とも皮肉な話だ。


 つまり今頃、レイノルドは昨晩のキングとの防衛戦を終え、眠っていると思うのだけど……。

 一切の危険がないわけだ。


 キングとレイノルドとの防衛戦に巻き込まれまいと、通常の野生の動物たちも、あの場所を離れているだろう。


 つまり。


 レイノルドが気絶するように眠っていても、襲われることはないわけだ。


「あの場所に滞在するのであれば、服を着替えた方がいいでしょう。魔獣を相手にするアルセン聖騎士団に、女性の騎士はいません。ですが王族を護衛する近衛騎士には、女性の騎士もいます。彼女達は宮殿の敷地内に宿舎があるので、隊服を借り受けましょう。それに着替えてから出発されては?」


 レイノルドは間違いなく、今、一番安全な状態。

 早く会いたいと思うが、急がないと大変!というわけではない。

 それに私が会いに行けば、レイノルドは起きることになるのだ。

 ならば着替えをする。

 さらにはギルとミルリアに、夜には戻ると手紙を残す。

 それから向かえばいいだろう。

 そうすればレイノルドは、少しでも長く休める。


 私がそんなことを考えた時、ウォーレンが口を開いた。


「服なんて。魔術で」「ダメです」


 今度はジーク団長が、ウォーレンに言葉を被せた。


「魔術師というのは、魔術を湯水のように使うのですか」


「失敬な! 領主様には特別です!」


「ですがその特別をやり過ぎて、いざという時に魔力不足でした――ではすまされません。温存してください。これからキングがいる地に向かうのですから」


 これはジーク団長の言うことが正しい。

 ウォーレンはまさにぐうの音も出ない状態。


 こうして私は、女性の近衛騎士が着る隊服を借り、着替えることになった。


 騎士団本部の更衣室を借り、着替えをすることになったのだ。

 宮殿で働くメイドが駆けつけ、ドレスを脱ぐのを手伝ってくれる。


 ドレスさえ脱げれば、あとの着替えは自分だけでもできた。


 白シャツにワイン色のジャケットとモカ色のズボン。

 足元は黒革のロングブーツだ。


 この世界で初めて履くことになったズボン。

 割と細身でピタッとしているのは、いざという時に動きやすいためなのだろう。


 髪は後ろでお団子でまとめ、身支度は整った。


「では出発ですね」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【一番星キラリの作品を紹介】
作品数が多いため、最新作を中心にバナーを並べています(2025年12月の大掃除で・笑)。 バナーがない作品は、作者マイページタイトルで検索でご覧くださいませ☆彡

●紙書籍&電子のコミカライズ化決定●
バナークリックORタップで目次ページ
悪役令嬢に転生したらお父様が過保護だった件~辺境伯のお父様は娘が心配です~
『悪役令嬢に転生したらお父様が過保護だった件~辺境伯のお父様は娘が心配です~ 』

●これぞ究極のざまぁ!?●
バナークリックORタップで目次ページ
悪役令嬢は死ぬことにした
250万PV突破『悪役令嬢は死ぬことにした』

●出版社特設サイトはコチラ●
バナークリックORタップで出版社特設ページへ
婚約破棄を言い放つ令息の母親に転生! でも安心してください。軌道修正してハピエンにいたします!
80ページが試し読みできる特設サイトへ
『婚約破棄を言い放つ令息の母親に転生! でも安心してください。軌道修正してハピエンにいたします!』


●溺愛は求めていませんよ?●
バナークリックORタップで目次ページ
平凡な侍女の私、なぜか完璧王太子のとっておき!
『平凡な侍女の私、なぜか完璧王太子のとっておき!』

●壮大なざまぁを仕掛けます!●
バナークリックORタップで目次ページ
婚約破棄された悪役令嬢はざまぁをきっちりすることにした
『婚約破棄された悪役令嬢はざまぁをきっちりすることにした』

●章ごとに読み切り!●
バナークリックORタップで目次ページ
ドアマット悪役令嬢~ドン底まで落ちたらハピエンでした!~
『ドアマット悪役令嬢はざまぁと断罪回避を逆境の中、成功させる~私はいませんでした~』

●商業化決定●
バナークリックORタップで目次ページ
悪役令嬢はやられる前にやることにした
『悪役令嬢はやられる前にやることにした』

●もふもふも登場!●
バナークリックORタップで目次ページ
断罪の場で自ら婚約破棄シリーズ
『断罪の場で悪役令嬢は自ら婚約破棄を宣告してみた』
日間恋愛異世界転ランキング3位!

●コミカライズ化も決定●
バナークリックORタップで書報ページへ
断罪後の悪役令嬢は、冷徹な騎士団長様の溺愛に気づけない
ノベライズは発売中!電子書籍限定書き下ろし付き
『断罪後の悪役令嬢は、冷徹な騎士団長様の溺愛に気づけない』


●心温まる物語●
バナークリックORタップで目次ページ
悪役令嬢は我が道を行く~婚約破棄と断罪回避は成功です~
『悪役令嬢は我が道を行く~婚約破棄と断罪回避は成功です~』は勿論ハッピーエンド!

― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ