表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ボンビー男爵令嬢は可愛い妹と弟のために奮闘中!  作者: 一番星キラリ@受賞作発売中:商業ノベル&漫画化進行中
第一章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

4/167

第四話:将来お嫁さんにしてね!

 勝利を確信したのに。

 レイノルドは木から落下することになる。


「どうして!? お兄さんは勝利したのではないの!?」


 ミルリアが泣きそうな声になり、隣に座るギルがその手を握り「泣かないで、ミルリア」と宥める。


「そうですね。勝利を確信した時程、慎重にするべきでした」


 レイノルドはそこで深いため息をつく。


「弱点を一斉攻撃されたのです。驚き、そして激痛を感じ、マトリアークは暴れた。その体は大型の4頭立ての馬車に匹敵するサイズ。そんな体で暴れれば……」


 つまりその巨体が木に激突。

 レイノルドを含め、木にいた騎士達は、次々と地面に落下することになった。だが地上では、もっと大変な事態が起きている。


「激しい振動で、雪崩が起きていました。地上にいた騎士、木から落ちた騎士、皆、雪崩に巻き込まれ――。だが自分は幸か不幸か、落ちた先がマトリアークの背だったのです」


 これを聞いたギルとミルリアは「「ええーっ」」と盛大に驚いている。医者も「これはたまげた」と口をぽかんと開けてしまう。


「驚いたのは、自分だけではありません。マトリアークも同じでした。自分を振り落とそうと暴走を始めたのです。一方の自分は、振り落とされまいと必死で……。気付いたら山を下り、麓の辺りを駆けている。このまま近隣の村や町へ向かえば、大変なことになると分かりました。そこからは激しい揺れに耐え、落下しないようにしながら、マトリアークへ攻撃を開始したのですが……」


 沢山の矢が刺さっている、例の毛色の違う弱点のところまで何とか移動し、そこで何度か剣を突き立てる。


 マトリアークは激しい咆哮をあげ、次の瞬間。


「振り払おうとしても、振り落とすことができない。ならばとその巨体を倒したのです」


 暴走状態で、自身の体を倒し、地面に激突させたのだ。


 これにはさすがのレイノルドも落下することになり、地面を何回も転がることになった。


 幸いどこか骨折するということはなかったが、マトリアークはその牙を、レイノルドの背に突き立てた。


 魔獣は牙に毒を持っている。


 レイノルドはすぐに解毒と回復薬のポーションを立て続けに飲み、激痛を堪え、マトリアークと対峙した。


 お互いに満身創痍だった。


 その結果、決定打となる一撃を双方与えることができず、苦しい戦闘が続く。


 だがレイノルドが戦闘をしている場所は、村はずれだった。


 まさかここでレイノルドとマトリアークが戦っているとは思わず、子供たち数名が、姿を現わした。


 魔獣は人間の子供を好んだ。捕えやすい格好の獲物として見ている。


 レイノルドは、子供たちにマトリアークの興味が向かわないよう、囮となるべく動く。


 すなわち自身が血を流し、その匂いで自分の方へ、誘き寄せたのだ。


 そうやって動く中で、あることに気付く。


 ブラックウッド連山の、麓に広がる森の中へと移動したところ、切り倒した木が積み上げられていた。その木は春になって増量した川に流され、下流で木材として回収される仕組みになっているのだが……。


 マトリアークをその木材の山まで導き、木を結わくロープを切り落とすことを、レイノルドは考えた。


 木材が一斉にマトリアーク目掛け、落下すれば……。


 レイノルドはその作戦を決行した。

 そして必死にその場から逃げ出す。


 だがポーションを一気に二種類飲んでいた。そしてポーションを飲むと、体を横にし、休める必要がある。


 なぜならポーションの力が体に作用すると、体力を激しく奪う。動き回っている場合ではなかったのだ。


 それでも少しでもマトリアークから離れる必要がある。完全にポーションが全身の血流を巡ると、意識を失う。マトリアークの目の前で倒れたら……。


 大変なことになると、分かっていたからだ。


 こうして村はずれから必死に逃げ、辿り着いた場所。


 それがこの村を領地とするウィリス男爵家、つまり我が家の敷地だった。


「助けを求めたいと思ったのですが、ポーションの効果も作用し、限界でした。ついぞ意識を失ってしまい……。助けていただき、ありがとうございます」


 レイノルドが深々と頭を下げると、ミルリアがソファからピョンと立ち上がる。


 何をすると思ったら、レイノルドが上半身を起こしているベッドへ飛び乗った。


「お兄さんを見つけたのはこの私なのよ! しかも体が冷えないように、藁と落ち葉をかけてあげたの!」


「そうだったのですね。可愛らしいお嬢さん、ありがとうございます」


 レイノルドが騎士らしく、胸に手を当て、一礼すると……。


 ミルリアはポッと頬を赤くする。


 ウィリス男爵家の領地は、魔獣の巣窟であるダークウッド連山に近い。近いと言っても、目と鼻の先、とういうわけではない。

 間にいくつかの村と町を挟む。

 そう、間にいくつかの村と町があるため、魔獣討伐で出向いたアルセン聖騎士団の騎士達が、ウィリス男爵家の領地に立ち寄ることはなかった。


 そもそも宿もなければ、騎士が喜ぶような、豪快な料理と酒を出すレストラン兼居酒屋もないのだ。立ち寄る必要性はゼロ。


 つまりミルリアは本物の騎士を初めて見たのだ。


 しかもレイノルドはその話を聞くだけでも、騎士としてかなり勇敢で戦略的、そして強い。


 木から落下することになったが、それは仕方ないと思う。むしろ落下後、マトリアークから振り落とされることなく、戦闘を続けたのだ。


 かなりの凄腕、医者が指揮官クラスでは?と言っていたが、多分正解だと思う。


 ともかくそんなすごい騎士に礼の気持ちを示されたミルリアは……。


「ではお兄さん。御礼として私を、将来お嫁さんにしてね!」


 可愛らしい笑顔で、とんでもないことを言い出した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【一番星キラリの作品を紹介】
作品数が多いため、最新作を中心にバナーを並べています(2025年12月の大掃除で・笑)。 バナーがない作品は、作者マイページタイトルで検索でご覧くださいませ☆彡

●紙書籍&電子のコミカライズ化決定●
バナークリックORタップで目次ページ
悪役令嬢に転生したらお父様が過保護だった件~辺境伯のお父様は娘が心配です~
『悪役令嬢に転生したらお父様が過保護だった件~辺境伯のお父様は娘が心配です~ 』

●これぞ究極のざまぁ!?●
バナークリックORタップで目次ページ
悪役令嬢は死ぬことにした
250万PV突破『悪役令嬢は死ぬことにした』

●出版社特設サイトはコチラ●
バナークリックORタップで出版社特設ページへ
婚約破棄を言い放つ令息の母親に転生! でも安心してください。軌道修正してハピエンにいたします!
80ページが試し読みできる特設サイトへ
『婚約破棄を言い放つ令息の母親に転生! でも安心してください。軌道修正してハピエンにいたします!』


●溺愛は求めていませんよ?●
バナークリックORタップで目次ページ
平凡な侍女の私、なぜか完璧王太子のとっておき!
『平凡な侍女の私、なぜか完璧王太子のとっておき!』

●壮大なざまぁを仕掛けます!●
バナークリックORタップで目次ページ
婚約破棄された悪役令嬢はざまぁをきっちりすることにした
『婚約破棄された悪役令嬢はざまぁをきっちりすることにした』

●章ごとに読み切り!●
バナークリックORタップで目次ページ
ドアマット悪役令嬢~ドン底まで落ちたらハピエンでした!~
『ドアマット悪役令嬢はざまぁと断罪回避を逆境の中、成功させる~私はいませんでした~』

●商業化決定●
バナークリックORタップで目次ページ
悪役令嬢はやられる前にやることにした
『悪役令嬢はやられる前にやることにした』

●もふもふも登場!●
バナークリックORタップで目次ページ
断罪の場で自ら婚約破棄シリーズ
『断罪の場で悪役令嬢は自ら婚約破棄を宣告してみた』
日間恋愛異世界転ランキング3位!

●コミカライズ化も決定●
バナークリックORタップで書報ページへ
断罪後の悪役令嬢は、冷徹な騎士団長様の溺愛に気づけない
ノベライズは発売中!電子書籍限定書き下ろし付き
『断罪後の悪役令嬢は、冷徹な騎士団長様の溺愛に気づけない』


●心温まる物語●
バナークリックORタップで目次ページ
悪役令嬢は我が道を行く~婚約破棄と断罪回避は成功です~
『悪役令嬢は我が道を行く~婚約破棄と断罪回避は成功です~』は勿論ハッピーエンド!

― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ