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ボンビー男爵令嬢は可愛い妹と弟のために奮闘中!  作者: 一番星キラリ@受賞作発売中:商業ノベル&漫画化進行中
第二章

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第二十九話:緊張!

 昼食会は、王広間で行われた。


 その人の多さに、ただもうビックリだった。

 多分、領地で領民を全員集めた人数より、参列者が多い気がする。


 信じられない長さのテーブルが用意され、そこにズラリと正装した男女が着席している。しかも本日の主役はレイノルド!


 レイノルドの正面に座るのは、国王陛下。その隣には王妃殿下。つまり私の正面に王妃がいるのだ!


 もう緊張しまくり。


 王妃殿下は私の領地のことや、普段の生活ぶりを尋ねるのだけど……。嘘はつけない。そこで鶏の声で目覚めた後は、菜園の手入れをして、家畜に餌をやり、ギルやミルリアを起こして……という日々について話したのだけど……。


 恥ずかしくて仕方ない!


 でも王妃殿下は「何だか素敵な田舎暮らしね。私、こう見えて結婚前は、自分だけの庭園を持っていて、好きな花を育てていたのよ」なんて言ってくれる。


 さすが賢王の奥様。

 いい人だった。


 その王妃殿下の隣に座る王女は、ミルリアが喜びそうな、まさにお姫様。クリーム色のドレスに頭上にはティアラ。王妃と同じ見事なウェーブのブロンドに青い瞳。


 性格は王妃殿下に比べ、おっとりで、おしとやか。


 ミルリアに会わせたくなるけれど……。


 まだ社交界デビューしていないギルもミルリアも、昼食会には参加できない。でも今頃、パレードの終わった街のレストランで、祝賀記念の特別なランチを食べているはずだ。


「それでウィリス嬢は、まさに聖女のようにセドニック卿を助け、逃げたマトリアークの居場所を卿に知らせ、見事とどめを刺すことに成功したのよね。しかも怪我を負った卿のために、恐ろしい魔術師のところへ単身乗り込み、美しい髪と引き換えでポーションを手に入れた。素晴らしい献身よね」


 緊張で機械的に口に運ぼうとした肉を、フォークから落としそうになる。


 一体全体どうして私が聖女!?

 しかもマトリアークの居場所を知らせた!?


 とんでもない誤解をされているが、王女までこんなことを言い出す。


「街の劇場では、マトリアーク討伐を描いた上演が始まっているそうだけど、そちらだとウィリス嬢がセドニック卿に聖剣を授けたり、奇跡の力で卿の怪我を回復させたとなっているわ」


 なるほど、なるほど。

 これはレイノルドの活躍を、よりドラマチックにするために、私がいい小道具にされているのね。


 盛り過ぎと思うけれど、これでレイノルドの名声が高まるなら。


 私は聖女だろうと、聖剣を出すだろうと、もう何でも構わない──なんてことを思っているうちに、昼食会は終了した。


「ウィリス嬢、エントラスまで送ります」


 レイノルドはそう言って私の手をとり、エスコートして歩き出すが、何だか浮かない顔をしている。国王陛下やその隣に座ると宰相、さらにはジーク団長と楽しく談笑し、食事をしていたはずなのに。


 どうしたのかしら?


「セドニック卿はお疲れですか?」


「! い、いえ、そんなことは。……緊張を、そう、緊張をしているだけです」


 何だかとってつけたような回答ではあるけれど。いろいろとあるのだろう。ここは深く追求しない方がいいと判断し、レイノルドの気が紛れるような話をしようと考えた。


 そこで巷で私が聖女と言われていたり、聖なる力を使えることになっていると話すと、レイノルドはビックリしている。


 浮かない顔から一転、何だか元気になってくれた。


 こうしてエントランスに着くと、「舞踏会に合わせ、またエントランスに迎えに来ます。気をつけていらしてください」と微笑む。


 本当に。


 サラサラのプラチナブロンドに綺麗な瞳で、やはり王子様みたいだ、レイノルドは。


 そんなレイノルドに見送られ、屋敷に戻ると……。


 先に帰宅していたギルとミルリアから、質問の嵐。


「お姉様、王様に会ったのでしょう! すごいわ! 王様はどんな方だったの、お姉様!」


 こんな感じでドレスを着替える間、ミルリアは私に質問をしている。ギルは流石に着替えの最中は、別室にいたが……。


 私の着替えが終わり、三人でお茶をすることになると、ギルもやはりパレードや昼食会のことを聞きたがった。その一方で、自身がパレードを見ていた時の様子や、街のレストランで食べた料理について教えてくれる。さらに……。


「レストランを出たら、チラシを配っていたんだ。近くの小劇場でやっている演劇の案内。それってセドニック様と姉様の話なんだ。姉様は地方に住んでいるけど、実は聖女で、魔獣討伐にやってきたセドニック様助ける。聖剣を与えたり、癒しの力でセドニック様を回復させるってなっていて……驚いたよ」


「そう、そうなのよ。お姉様が出ている演劇、観てみたいわ! 今度連れて行って!」


 ミルリアは、国王陛下や王妃殿下に夢中だった。

 だがギルの言葉にチラシのことを思い出したようで、観たいとせがむ。


「分かったわ。セドニック卿がお休みの時に、みんなで観に行きましょう。セドニック卿が主役なのだから、卿もいないとね」


「「うん、そうしよう!」」


 ギルとミルリアが瞳を輝かせた。

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