表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ボンビー男爵令嬢は可愛い妹と弟のために奮闘中!  作者: 一番星キラリ@受賞作発売中:商業ノベル&漫画化進行中
第二章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

20/167

第二十話:初めての

 怒涛の王都での滞在一週間が過ぎると、ようやく日常が送れる状態になった。


 レイノルドには、妹アニスがいるが、彼女は年子。

 王立アルセン高等学院を卒業後、留学していた。


 留学した先は、アルセン王国からかなり離れたテハナント帝国。


 春休暇という、前世でいう春休みはあるが、十日間と期間が短い。そのため実際に会うことができるのは、バカンスシーズン……すなわち夏休みになりそうだった。


 アニスへの直接会っての挨拶はできていないが、手紙の交換はできている。その手紙の中でアニスは、私達三人の滞在を歓迎し、人付き合いの薄い兄を頼むと書かれていた。


 人付き合いの薄い兄。


 レイノルドがそうなってしまうのは、仕方ないと思う。


 何せ魔獣はありとあらゆる場所に現れる。

 アルセン聖騎士団の屯所はあちこちにあり、数が少なければ、その屯所に駐留している騎士達で対処していた。だが数が多かったり、魔獣にしては小賢しい場合、王都にいるアルセン聖騎士団が動くことになる。つまり遠征に出るわけだ。


 その遠征は、度々行われており、レイノルドは王都にいる時間が少なかった。

 社交をしているどころではなかったのだ。


 だがその状況も変わるだろう。


 何せ毎年せっせせっせと春になると数を増やしていた魔獣が、もう増えなくなるのだ。

 魔獣の女王と呼ばれたマトリアークはこの世になく、魔獣の数は頭打ちになる。

 それにダークウッド連山で、大規模な魔獣討伐作戦が行われたが、それは各所にある屯所でも遂行されている。どの場所であろうと、近隣の山や森で魔獣は冬眠していた。春を迎える前に、寝込みを襲う作戦は、アルセン王国内のあちこちで決行されていたのだ。


 昨年よりも、レイノルドが王都へいる時間は、間違いなく増えるだろう。


 そうなれば自然と、社交を行う機会は増えるはず。


 妹のアニスが心配するような“人付き合いの薄い兄”は返上できると思った。


 そんな風に思っていたが、人付き合いの薄い兄の心配は、既に不要に思えた。

 なぜなら。


「ウィリス嬢」


 王都滞在八日目。


 春の陽射しを感じさせるサンルームで、レイノルドと私はティータイムを過ごしていた。のんびりお茶を飲んでいるわけではない。ウィリス男爵領のあの村に、アルセン聖騎士団の屯所が設置されることが決定した。今はその対応について、打ち合わせをしていたのだ。


 といっても私がすることは、騎士団が用意した書類にサインをするだけ。諸々の手配、現地の領民への説明は、騎士団が行ってくれる。しかも既に領民と騎士団は防御壁の時に交流があり、双方の関係は大変良好。領民が、騎士団が来ることに反対するなんて……ないだろう。


 ゆえにレイノルドの丁寧な説明を聞き、書類にサインすることは、問題なく終わったところだった。そこで名前を呼ばれ、彼から告げられたことは……。


「ギル令息とミルリア嬢の家庭教師も決まり、今日から授業も開始しています。昼食の席で確認しましたが、二人とも特に困っていることもなく、教師に対して不満もないとのこと。自分も知っている人物ばかりで、問題ないと思っています」


 それは本当にその通り。


 昼食の席でギルもミルリアも、家庭教師をとても気に入ったと話していた。


「先生はすごいよ。何でも知っていて、僕の質問には全部答えてくれる!」


「見たこともない刺繍の仕方を教えてもらえたの! 先生はとっても美人だし、私、先生みたいになりたいわ!」


 この反応なら問題なく、任せられると思った。


「ウィリス嬢の一番の心配は、ギル令息とミルリア嬢だと思います。そちらは問題なさそうなので、代筆業の方を、そろそろ始動させませんか?」


 それはもうぜひに!だった。


 ギルやミルリアのために、レイノルドに感謝を示すためにも、代筆業は一日も早く始めたいと思っていた。


「騎士団には騎士だけではなく、事務方の職員もいます。今回見ていただいた屯所建設にまつわる書類を準備したのも、その事務方です。その事務方として働いて三年目のパーンという青年がいるのですが、手紙を書くのが苦手。こう言った書類を用意するのは得意なのに。字だって問題なく、整っているのですが……」


 パーンが用意した、屯所建設に関する書類。

 完璧だった。

 字も読みやすく、レイノルドが不思議そうにすることも納得。

 とても手紙が不得意には思えなかった。


「何はともあれ。代筆業の手始めとして、パーンの手紙を担当いただくのは、いかがでしょうか」


「もちろん引き受けます! 私がパーン令息の屋敷を訪ねればいいですか? いつ伺えばいいでしょうか?」


 私の反応を見たレイノルドは、そのサラサラのプラチナブランドを揺らし、朗らかに笑う。


「大変前のめりで頼もしいです。パーンにはこの屋敷に来てもらいます。明日の午前中でどうでしょうか? 彼は明日、代休を取得すると言っていましたが、予定は特にないと言っていましたので」


「はい! それでお願いします!」


「自分は明日、国王陛下に謁見があり、宮殿に出向く必要があります。屋敷を出る前に、パーンをウィリス嬢に紹介しましょう」


 こうして記念すべき初めての代筆業の仕事が決まった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【一番星キラリの作品を紹介】
作品数が多いため、最新作を中心にバナーを並べています(2025年12月の大掃除で・笑)。 バナーがない作品は、作者マイページタイトルで検索でご覧くださいませ☆彡

●紙書籍&電子のコミカライズ化決定●
バナークリックORタップで目次ページ
悪役令嬢に転生したらお父様が過保護だった件~辺境伯のお父様は娘が心配です~
『悪役令嬢に転生したらお父様が過保護だった件~辺境伯のお父様は娘が心配です~ 』

●これぞ究極のざまぁ!?●
バナークリックORタップで目次ページ
悪役令嬢は死ぬことにした
250万PV突破『悪役令嬢は死ぬことにした』

●出版社特設サイトはコチラ●
バナークリックORタップで出版社特設ページへ
婚約破棄を言い放つ令息の母親に転生! でも安心してください。軌道修正してハピエンにいたします!
80ページが試し読みできる特設サイトへ
『婚約破棄を言い放つ令息の母親に転生! でも安心してください。軌道修正してハピエンにいたします!』


●溺愛は求めていませんよ?●
バナークリックORタップで目次ページ
平凡な侍女の私、なぜか完璧王太子のとっておき!
『平凡な侍女の私、なぜか完璧王太子のとっておき!』

●壮大なざまぁを仕掛けます!●
バナークリックORタップで目次ページ
婚約破棄された悪役令嬢はざまぁをきっちりすることにした
『婚約破棄された悪役令嬢はざまぁをきっちりすることにした』

●章ごとに読み切り!●
バナークリックORタップで目次ページ
ドアマット悪役令嬢~ドン底まで落ちたらハピエンでした!~
『ドアマット悪役令嬢はざまぁと断罪回避を逆境の中、成功させる~私はいませんでした~』

●商業化決定●
バナークリックORタップで目次ページ
悪役令嬢はやられる前にやることにした
『悪役令嬢はやられる前にやることにした』

●もふもふも登場!●
バナークリックORタップで目次ページ
断罪の場で自ら婚約破棄シリーズ
『断罪の場で悪役令嬢は自ら婚約破棄を宣告してみた』
日間恋愛異世界転ランキング3位!

●コミカライズ化も決定●
バナークリックORタップで書報ページへ
断罪後の悪役令嬢は、冷徹な騎士団長様の溺愛に気づけない
ノベライズは発売中!電子書籍限定書き下ろし付き
『断罪後の悪役令嬢は、冷徹な騎士団長様の溺愛に気づけない』


●心温まる物語●
バナークリックORタップで目次ページ
悪役令嬢は我が道を行く~婚約破棄と断罪回避は成功です~
『悪役令嬢は我が道を行く~婚約破棄と断罪回避は成功です~』は勿論ハッピーエンド!

― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ