表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ボンビー男爵令嬢は可愛い妹と弟のために奮闘中!  作者: 一番星キラリ@受賞作発売中:商業ノベル&漫画化進行中
第一章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

10/167

第十話:尊敬しています

 愛馬マルグリットに乗った私は、全速力で屋敷へと戻った。そしてベッドに横たわるレイノルドに、丸薬(ポーション)を飲ませた。


 その後はもう怒涛の忙しさ。


 私が朝から屋敷をあけていることを心配したギルとミルリアを宥め、朝食を摂らせる。その後はマチルダと手分けして、洗濯物と食事の後片付け。その間ハドソンは、ギルとミルリアにダンスのレッスン。


 その後、ハドソンと交代し、ギルとミルリアに勉強を私が教え、マチルダは掃除を開始。ハドソンは領主宛に届いた様々な書類を整頓しつつ、レイノルドの様子を見てくれる。丸薬を飲んだレイノルドは爆睡。朝食を摂っていないが、今は食べるより、眠る必要があるのだろう。


 あっという間にティータイムの時間が近づき、マチルダが揚げパンを作り始める。


 ギルとミルリアがティータイムの準備を手伝う間、私はハドソンが仕分けしてくれた書類に目を通し、サインをしたり、返信をしたり。領主としての執務をこなす。


「エレナお嬢様、セドニック卿が目覚めました!」


 ハドソンの知らせに客間へ向かおうとすると、ギルとミルリアがついて来ようとする。


 今回は即効性のあるポーションを飲んでいないので、前回のようにはいかないだろう。


 つまり元気なギルとミルリアの対応を、レイノルドができない可能性がある。ここはハドソンに二人を任せ、私一人で客間へ向かった。


 「失礼します」とノックして部屋に入ると、予想通り。レイノルドはあの美しい瞳を開けているが、横になったままだった。


「ウィリス嬢。またあなたに助けていただくことになりましたね。重ねてありがとうございます」


「そこはお気になさらないでください。セドニック卿は人命のために、身を挺して戦われているのです。無事にマトリアークを倒すことでき、本当に良かったです」


「……体が急に楽になりました。ポーションはもうなかったはずです」


 そこで私は魔術師ウォーレンのことを話すことになった。


「まさかとは思いますが、髪が短くなっていることと、ポーションを手入れたことが、関連していますか? 魔術師は動物の骨や毛、人毛を用いると聞いたことがあります」


「ええっと、髪は……その、気分転換で切っただけです」


 咄嗟に聞かれ、上手い言い訳が浮かばない。


「そんなはずはありません! 嘘はつかないでください。本当のことを教えていただきたいです!」


 真摯な瞳に問われると、嘘はつけない。髪と引き換えに丸薬を手に入れたことを話すことになった。


 すると……。


「な……ウィリス嬢、なんてことを! 貴族令嬢にとって髪は、その地位と美しさを象徴する、とても大切なもの。その髪を差し出すなんて」


 レイノルドは上半身を起こし、私の腕を掴み、ふわりと自身の方へと引き寄せる。


 髪はポニーテールにしていたのだけど、彼の手はそっと毛先に触れると……。


「髪を要求するとは……その魔術師、自分が」「待ってください!」


 そこで私は慌ててウォーレンを擁護し、ここまで切ってもらったのは、私の指示であること。髪を切ることでお金も浮き、領民全員が助かる量の丸薬が手に入ったのだから問題ないと、説明することになった。


「ウィリス嬢、どうしてそんな風に考えることが出来るのですか……まるで聖母のようです」


 レイノルドが眩しそうに私を見るので、なんだか照れ臭くなってしまう。


「そんな……領主として当然のことをしたまでです。それにセドニック卿もこれで助かります。あ、お腹は空いていませんか。昨日と同じ揚げパンになりますが、今すぐ焼き立てを出すことができます」


「ありがとうございます。いただきます」


 こうして昨日と同じで揚げパンを出すが、奮発してバターを一緒に出した。ミルクにはたっぷりの蜂蜜を加えてある。レイノルドは喜んで揚げパンを食べると……。


「ウィリス嬢から受けた献身を、自分は一生忘れることはありません。その一点の曇りのない決意と生き様に、強い感銘も受けました。同じ領主として、尊敬しています」


「そんな……でもセドニック卿のような方にそう言っていただけると嬉しいです。マトリアークを倒したということは、この国の英雄ですから……あ、騎士団に連絡をとらなくて大丈夫ですか?」


「実はその件、お願いをしようと思っていました」


 レイノルドは揚げパンとミルクを綺麗に食べ、レストルームへ行った後。

 すぐにベッドへ横になった。

 解毒のポーションを飲んだとはいえ、毒牙にかかってから時間が経っていたので、毒はある程度体を巡ってしまったのだろう。前回のように、すぐには元気になれない。


 ベッドで横たわったまま、レイノルドは話し始める。


「団長に自分の無事と、マトリアークの殲滅を知らせたいのです。討伐のためにブラックウッド連山に向かったのは、アルセン聖騎士団の全員というわけではありません。麓のバームという町に、団長他数名が、本部として待機しているのです。そこへ手紙を届けて欲しいのですが」


「お任せください。その手紙は……」


「お恥ずかしい話ですが、今の自分はこれが精いっぱいで、手紙を書く体力が残っていません。代筆をお願いしたいのですが……」


 羽根ペンを使い文字を書くこと。実は神経を使うし、地味に時間がかかる。今のように毒が抜けていない体のレイノルドが集中し、手紙を書くことは、辛いだろう。


「勿論です。私が代筆しましょう」


 こうしてベッドで休むレイノルドが話したことを、私が代筆し、騎士団への手紙を用意することになった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【一番星キラリの作品を紹介】
作品数が多いため、最新作を中心にバナーを並べています(2025年12月の大掃除で・笑)。 バナーがない作品は、作者マイページタイトルで検索でご覧くださいませ☆彡

●紙書籍&電子のコミカライズ化決定●
バナークリックORタップで目次ページ
悪役令嬢に転生したらお父様が過保護だった件~辺境伯のお父様は娘が心配です~
『悪役令嬢に転生したらお父様が過保護だった件~辺境伯のお父様は娘が心配です~ 』

●これぞ究極のざまぁ!?●
バナークリックORタップで目次ページ
悪役令嬢は死ぬことにした
250万PV突破『悪役令嬢は死ぬことにした』

●出版社特設サイトはコチラ●
バナークリックORタップで出版社特設ページへ
婚約破棄を言い放つ令息の母親に転生! でも安心してください。軌道修正してハピエンにいたします!
80ページが試し読みできる特設サイトへ
『婚約破棄を言い放つ令息の母親に転生! でも安心してください。軌道修正してハピエンにいたします!』


●溺愛は求めていませんよ?●
バナークリックORタップで目次ページ
平凡な侍女の私、なぜか完璧王太子のとっておき!
『平凡な侍女の私、なぜか完璧王太子のとっておき!』

●壮大なざまぁを仕掛けます!●
バナークリックORタップで目次ページ
婚約破棄された悪役令嬢はざまぁをきっちりすることにした
『婚約破棄された悪役令嬢はざまぁをきっちりすることにした』

●章ごとに読み切り!●
バナークリックORタップで目次ページ
ドアマット悪役令嬢~ドン底まで落ちたらハピエンでした!~
『ドアマット悪役令嬢はざまぁと断罪回避を逆境の中、成功させる~私はいませんでした~』

●商業化決定●
バナークリックORタップで目次ページ
悪役令嬢はやられる前にやることにした
『悪役令嬢はやられる前にやることにした』

●もふもふも登場!●
バナークリックORタップで目次ページ
断罪の場で自ら婚約破棄シリーズ
『断罪の場で悪役令嬢は自ら婚約破棄を宣告してみた』
日間恋愛異世界転ランキング3位!

●コミカライズ化も決定●
バナークリックORタップで書報ページへ
断罪後の悪役令嬢は、冷徹な騎士団長様の溺愛に気づけない
ノベライズは発売中!電子書籍限定書き下ろし付き
『断罪後の悪役令嬢は、冷徹な騎士団長様の溺愛に気づけない』


●心温まる物語●
バナークリックORタップで目次ページ
悪役令嬢は我が道を行く~婚約破棄と断罪回避は成功です~
『悪役令嬢は我が道を行く~婚約破棄と断罪回避は成功です~』は勿論ハッピーエンド!

― 新着の感想 ―
> 髪と引き換えに丸薬を手に入れたことを話す 聞かれてもいないのに髪と引き換えたことを自ら話すのは、今までの彼女の性質的になんか違和感があるな
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ