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魔法剣士という選択

「メル様は完全詠唱魔法は何を?」


「え、えと、一応、火と風なら聖級まで。土と水は、じょ、上級って認定はもらった、よ?」


「四属性全て扱えるのですか、素晴らしいです」


 ベルガが心底すごいと言ったように褒めてくれる、ちょっと嬉しい。


 でも多分、この人は当たり前のように四属性使えて、それぞれ聖級どころか、王級、もしかしたら帝級くらいの認定は貰えてるんだろうな、なんて思えて素直に喜びきれないけど。


「ご存じの通り、魔法の破壊力、効果、範囲対象などを加味されて下級から神級までの認定を受けます。とはいっても、聖級を超えた魔法は極めて詠唱が長く実戦に向いてはいません。特に魔法と剣技を組み合わせて戦う剣士、魔法剣士は一般的に無詠唱や短縮詠唱で中級に相当する魔法を好みます」


 魔法の等級認定はしたから、下級、中級、上級、一級、聖級、王級、帝級、神級ってなってる。

 自分の使える魔法、最高等級の魔法使いを名乗れるから、あたしだったら聖級魔法使いだね。


 中級までの等級なら、魔法の才を持つ人ほとんどが至れるものだし、考えた通り一番汎用性が高いからなんだろうな。


 うーん、ベルガってどのくらいの魔法使いなんだろ? 聞いたら教えてくれるかな?


「あ、あの、話の腰をおっちゃう、けど。ベ、ベルガは、一番最上位認定された魔法って、何級?」


「生憎私は認定を受けていません、意味もありませんし。ですが認定されるのでしたらテレシアが神級に認定されるでしょう。もっとも、それは完全開放した場合のみですので、実体化や一部開放はせいぜいが王級止まりでしょうが」


 や、やっぱり……。

 というかしれっと神級とか言わないでよ、人間には到達できない域って言われてるのにさぁ……。


 けど、だからこそ蘇生魔法を使えるってことが信じられる。


「蘇生魔法、だったら?」


「一つの魔法だけではありませんので、それぞれを言うのであればそうですね。精霊を呼び出す魔法は聖級、契約が上級、実体化は王級といったところですか。さほど難しい魔法ではありませんが、これらを同時にこなすことを考えれば帝級と言えるでしょう。実際に行うときはお手伝いしますので、ご安心を」


「う、うん……わかった」


 だから難しくないとかさ……はぁ、なんだかいちいち驚くのが馬鹿らしくなってきたや。


「話を戻します。火と風に聖級の認定を受けておられるなら、短縮詠唱、無詠唱ともに中級魔法の威力は出せるでしょう。ではここで問題です、短縮詠唱の特徴をどうぞ」


「わわっ!? え、えとえと、単純な、指向性を持たせるためにする詠唱、だよね? 曲がる、炎、とか、切り裂く、風、とか」


「正解です。短縮詠唱は体内で属性を編み、単語を口にすることで魔法の形状や効果を指定します。一般的には三句までが短縮詠唱の範疇ですね」


 一応、知っている。

 というか、ベルガに向けて放った魔法が、豪、火、球で三句だった。

 思えばほんとに殺すなら完全詠唱魔法のほうがよかったよね……殺せなかったろうし、今となっては殺さなくてよかったと思ってるけど。


「では無詠唱魔法は?」


「た、単純な、火だったり、み、水だったりを、ほう、放出するための詠唱、だよ」


「よくできました。想像するのが難しいかもしれませんが、剣を打ち合っている際には無詠唱で、大きく隙を作れた際には短縮詠唱でトドメを狙う。これが魔法剣士の基本的な戦い方と言えるでしょう」


 なんとなくだけど、わかる。


 無詠唱の魔法に大した威力はないから、目くらましとか緊急避難、あるいは牽制に使って、最終的に短縮詠唱の魔法で仕留めるまでの道筋を作るってことだよね。


「そして魔法陣構築がお上手なメル様の場合、剣技や魔法で相手を設置した魔法陣に追い込むといった戦法が取れる可能性もあります」


「うん? あ、あぁうん、わかった。あ、予め、し、しか、仕掛けておいて、罠みたいな、使い方、するって、ことだね?」


「いえ? ……あぁ、なるほど。独学の弊害がそんなところに……わかりました、ではそれを含めて実演することにします」


 実演?

 そういえば、実演するにはって言ってたや。


 でも、どうやってやるんだろ?

 あたしはまだ到底相手なんかできないと思うんだけど……え? もしかして?


「完成系とまでは言えませんが、そうですね。これくらいが出来るようになれば蘇生魔法を教えますよって目標があったほうが良いでしょうし。どうぞ、ご覧下さい。――テレシア」


「はいっ! お呼びですか! ご主人様っ! 最近こうしていっぱいお会いできて幸せですご主人様っ!」


「遊ぶぞ。出力はそうだな、三割程度なら見えるか」


「わぁ~っ! 良いのですか良いのですか!? わたし、嬉しいです! 大好きですご主人様愛してますっ!」


 うわっ!? ね、熱烈だよぅ……そ、そんな、男の人のお顔をあんな風に舐める、なんてぇ……。

 うぅ、ドキドキしてきた。す、すごいなぁ……あれが、男女の営みって言うものなんだ、ねぇ……。


「契約履行の時じゃないからな? メル様に授業するためだし、はしゃぎすぎて調子に乗るなよ?」


「はいっ! コイツのためというのがものすごく嫌ですが! わたし! がんばります!」


「よ、よよ、よろしくお願いします!」


 な、なんでこんなに敵視されるんだろ? あたし、何か悪いこと、したかなぁ?


「テレシアが申し訳ありません、どうかお気になさらず。とはいえしっかり見ていてくださいね? メル様が目指す魔法剣士の形、その一つとなるのですから」


「は、はは、はいっ!」 

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