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急な反撃

 ――ちょっとまともにベルガさんの顔が見れないので一週間待ってください。


 ――せんせなにがあったのちょっとふんいきかわりすぎであたしこまるっていうかごめんなさいねじまきまきき――


「カタリナとメルがこんな感じでな? 俺が居ない間に何があった?」


「あ、あはは……何かあったのは師匠の方なのでは? 正直、ボクとしてはお二人の気持ちがよくわかるのでボクもちょっと帰っていいですか? 一週間待ってくださいそれでは」


「は? え、あ……う、うーん?」


 待てと言う前にトリアですら行ってしまった、いやほんとになんだってんだ。


 まともに会話出来たのはアルル様位のもんだよまったく。

 まぁ言われた一週間は各部隊への見学期間が終わるまでってことだろうし、構わないんだけども。


「これじゃ、新しい魔法がなぁ」


 どうしたものかと。


 編み出した四つの新しい魔法。

 テレシアとのやり取り中はほとんど無意識だった。


 正直、テレシアとヤるときはいつだって限界ギリギリの戦いになるのが常ではあったけど、あそこまで一方的に不利な状況へ追い込まれることはなかったから。


 はっきりって閃きに近い魔法の構築で。

 あの後俺自身魔力切れでトんでたこともあって、自分ですらあまり把握していない魔法だったりする。


 それでもテレシアの解析のおかげである程度の情報というか、仕様は掴んだ。


「うん? ベルガ? どうしたのだ、こんなところで」


「お? お疲れさん、アーノイド」


 城の中をこんなところでなんて言って良いのかというのはさておき。


「トリアにちょっと手伝ってもらいたかったことがあったんだけど、逃げられちまって」


「トリアが? 珍しいな、あの口を開けば師匠師匠と言うヤツが」


 え、そうなの?


「ほんとかよ、みたいな顔をされてもな。言っておくが、メル様やカタリナ様も同じだぞ? 将軍としてお会いしようが、最近されている部隊見学の時であろうが、一言目か二言目にはお前の名前がひっついてくる。仲睦まじいようで何よりだ」


 生暖かい目を向けられてしまった……嬉しいやら恥ずかしいやら。


「あぁ、もちろん見学自体は自分が見る限りではあるが集中されていたぞ。中でもやはりカタリナ様だな、あの方の集中力は常より自分も学ばねばと思ってしまう」


「もちろん、そこは疑っていな――あぁいや、最近の様子を見るに心配ではあったかな。アーノイドにそう言ってもらえて安心したよ」


 あの演習後から敬語をやめたせいか、なんだろうな、この人になら裏切られても良いなんて思えるようになった。


 そんなベロニカで誰よりも信用、信頼しているとアーノイドの言うことだ、間違いない。


「それで? 都合よく今時間があるのだが、自分に手伝えることは?」


「やめろよ惚れちまうだろ」


「自分はとっくにベルガへ惚れている、両想いになれてなによりだ」


 あぁっ! 眩しい! この人ほんと最高だよまったく!


「じゃ、ちょっといいかな?」


「あぁ、もちろんだ」




 そんなわけで。


「――成長する、魔法か。やれやれ、そんなもの聞いたことがないぞ。ベルガには驚かされてばかりだ」


 新しい四つの魔法について話をしてみれば、呆れられた。


 驚きを通り越してって意味だろう、鼻が高い。

 まぁ実際、客観的に評価するのであればいずれの魔法も現在の効果はともかく、成長性を見込んで神級の魔法と言えるだろう。


「話した四つの魔法は、彼女たちを魔法で表現したもの。つまり、俺が彼女たちを知れば知るほど、強きを導けば導くほど強くなる。今でもそれなり以上の威力や効果を有しているけど、逆に言えば、彼女たちから手を引けばそこ止まりになる。だからこそ、もっと生徒と弟子のことを知りたくてな」


「……あぁ、なるほど、それでトリアは逃げたのか。確認だが、メル様やカタリナ様も?」


「一週間待ってくれってさ。魔法のことはまだ話してないのに、何を待てというのやら」


「いやそれは……はぁ、ベルガの朴念仁振りは最早治ること叶わんのだろうな」


 なんだよ、アーノイドにそう言われるとちょっと傷つくぞ?


 っていうか、お前だって鈍い側だって自分で言ってたじゃないか、一人だけわかってんじゃないよ。


「そう睨むな。単純だ、今までお前は受け入れる側に努めてきただろう?」


「受け入れる側……まぁ、そうだな。そういってもいい」


「それが、だ。自分から歩み寄って相手のことを知りたいという姿勢を見せた。根幹は指南役、あるいは師匠として。ひいては自分の強さのためと変わらないが。それでも防戦一方だった相手が急に反撃してきたのなら驚き戸惑う、そういうことだ」


 そういうものなのかね。


 けどまぁ、確かに急な反撃に驚くってのは理解できるし。

 何より一週間ってちゃんと言ってもらえたわけだ、焦れる気持ちはあるけど、待つことにしますか。


「ところでその魔法だが」


「うん?」


「自分を再現することはできるのか」


「……あぁ」


 急な反撃に驚く。


 まさにそうだったわ。


「アーノイドのことも、再現できると思うよ」


「なら、相談に乗った礼は……わかるな?」


「礼なんて言わなくても。貸しにしといてくれよ、アーノイドのお願いなら大体なんでも聞くって」


 魔法を確かめるって意味でも、都合がいい。


「じゃ」


「やろうか」

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