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アイテムクリエイション

 なんだか一抹の恐怖があるとはいえ、アルル様に今後の動き方は了承してもらえた。


 メルに対しても自信満々にアストラの遺産魔法を再現してやるなんて言ったんだ、しっかり準備をしなければならない。


「ご主人様? 何を取り出しますか?」


「既存の魔法道具(マジックアイテム)だけじゃ足りないだろうし、とりあえず錬成具を用意してくれ」


「かしこまりました!」


 そんなわけで離宮の自分の部屋に籠もってアイテムクリエイションの開始である。


「魔力消費はなんだかんだでえぐいだろうから、マナタンクは必須だろうな」


「わたしのストレージにはエメラルドがいくつかありますけど、足りそうですか?」


「あれ? ルビーかサファイアなかったっけ? エメラルドにしてももっとあった気がするんだけど?」


「あの鍛冶師に沢山渡したじゃないですか」


 あー、そうだった。

 付与効率がいいし、当面使わないだろうと思って大盤振る舞いしてしまったんだよな。


「んー……採掘に行くか?」


「この辺りに魔力保存可能な宝石類が採掘できる鉱山はなかったはずです。市で見繕った方が良いかと」


「そうするか。けど、金足りるかな」


 魔力をプール、つまり保存しておくのに最適なのは宝石だ。

 そこらに転がっている石だなんだにも魔力を込められないことはないが、100注いで1以下でしか引き出せないんじゃ話にならない。


 ルビーは炎系の魔法として出力すれば等倍効率、サファイアは水系で等倍効率と。

 何の属性魔法として出力するかにそれぞれ適性がある。

 仮にサファイアで炎系魔法を出力しようとすれば一気に変換効率がそこら辺の石と同じになるし、ちゃんと合わせないとならない。


 無属性魔法に使うだろうし、できればダイアモンド辺りが欲しいところだけど……めちゃくちゃ高いんだよなぁ。


 それなり以上に給金を貰っていても、宝石を爆買いできるほどとは言えないわけで。


「おっぱいオバケに言えばもらえるのでは?」


「今回の件で物入りだろうからな。俺がやるだろうことの後始末にも必要だろうし、気は進まない」


「気になさらずとも、利害の一致はあるのですし。良いように使ってやればいいのですよ」


「相変わらず平常運転だな、テレシアは」


 プライド云々を大事にしているつもりはないが、金の無心は流石にと思ったりする。

 言った通り、貰ったせいで後始末が滞ってしまうのなら本末転倒だし、微妙だろう。


「既存のマジックアイテムですと……照明弾(フラッシュボム)拘束蔦(ソーンバインド)変声の仮面(ペルソナボイス)がありますよ、ご主人様」


「こっちは疾風靴(ウィングドブーツ)、後は……簒奪の篭手(グリードベヒモス)だな」


 ふぅむ……最近サボってたから思ったより少ないな、どうしたもんか。


「――うん? もしかして、使えるんじゃ?」


「どうされました?」


「いやさ、最近アルル様の手のひらの上で転がされてばかりだし。このまま俺が素顔を晒して神になるのは不味いんじゃないかなーって思ってたんだよ」


「わたしにとってご主人様は神ですし構わないのでは? むしろ大々的に喧伝いたしましょう! 愚民どもをひれ伏せさせるのです!」


 テレシアが通常運転過ぎて困る。


 カタリナを手に入れるって言えば変な言い方だけど、そうするためになら何をしても構わない。


 が、正直剣聖って名前だけでも肩が凝るというのに、神なんて更に面倒くさいものまで背負いたくないっていうのは本音としてある。


 ペルソナボイスで素顔を隠し、声を変え。

 これはベルガじゃありませんよーってのをゴリ押しすればいいんじゃなかろうかと。

 自分は神の使徒ですよーカタリナとアストラは結ばず、この国の者へと嫁ぐべきですよーなんてムーブは通用するんじゃかなろうかと。


「うん、アリだな」


「申し訳ないとは思っているのですが、なんとなーく無駄な徒労に終わりそうな気がするのはわたしの気の所為でしょうか……」


 だいじょーぶだって、安心しろよ。


「とはいえペルソナボイスですが、核の宝石にヒビが入っております。これでは使えませんよ?」


「まじか。このクラスのダイアモンドは店じゃそうそう手に入らないぞ」


 確か貿易都市カザモールで買ったやつだ。

 この大きさ、純度なら結構なマジックアイテムが作れるぞって無理したんだよなぁ。


 テレシアからペルソナボイスを受け取って確認してみれば……うーん、こりゃダメだな。

 魔力回路に問題はないからダイアモンドを取り替えたらそれで機能は復活するだろうけど。


 力技で魔力を垂れ流して起動するか?

 いやいや、遺産魔法の再現で魔力消費はえぐいってあたりをつけたばかりだ。


「ダイアモンドか……」


 ヒビの部分をきっちり処理してマナタンクにはできそうだし、それはそれでありがたいけど。


「――せん……ベルガさん?」


「うん? あぁ、開いてるよ」


 どうしたものかと悩んでいればノックの音とカタリナの声。


 そういや腹減ってきたしメシの時間だろうか。


「お邪魔するわね、ご飯もうすぐできるよ……って、なんだか凄いことになってるわね? あ、テレシアさんこんばんは」


「あぁ、こんばんはだニンゲン。時に聞きたいのだが、お前はダイアモンドを持っていないか?」


「ちょ!? テレシア!?」


「ダイアモンド? 一応、いくつか持ってるけど……えぇと?」


 どういうこと? なんて視線が向けられる。


 うぬぬ……仕方ない、話すか。


「あぁ、実はな――」

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