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海賊姫ミーシア 『船長と魔の秘宝 序章』

「大御婆様、行ってしまいましたね……」

「あぁ」

さびしくなりますね……」

「あぁ、じゃが本当に寂しいのはあ奴が現世に戻った事よりも、現世に戻るとここでの記憶が全て消えてしまう事じゃよ……」

「それでは私達の事も忘れてしまうのですか?」

「あぁ、ここでの楽しく暮らした思い出も抹消(まっしょう)されてしまう……。現世にここでの記憶を持ち帰られては何かと面倒な事になるでのぉ~。死後の世界が有ると知るだけで、人は現世での人生を(おこた)ってしまうものじゃ。伝えられてはいけないのだよ。これは大宇宙の法則なのじゃ」

「でも船長さんなら、口止めしておけば他言する人ではないと思いますが……」

「あぁ、あ奴なら約束は守る男じゃからな。しかしこればかりはわしの力でもどうする事も出来ないのじゃよ……」

 私は忘れて欲しくなかった。大御婆様の事、私の事、そしてここで三人で楽しく暮らした日の事を……。

 水面では皆に囲まれた船長の胸に、ミーシアが抱かれ、邂逅(かいこ)に涙し合っていた。

 その時、船長が大空に向けて高く右手を上げ、ピースサインを出した。

「大御婆様っ、あれはッ?」

「まさかっ、あ奴記憶が消えていないのかッ?」

「ああ、全部聞こえているぜ!」船長が大空に向けて言った。

「ばかなっ、記憶が消えていないどころか、わしらの話まで聞こえているとは……」

 大御婆様は、これまで一度も見せた事のない驚きの表情で水面を見つめている。

「じゃがどうして……」

「それはばあ様、きっとばあ様に杖のこぶで叩かれ過ぎたせいかもなっ」船長が笑顔で言った。

「そんな事で大宇宙の法則を変えれるものではない!」

「ではどうして……」私は気になり大御婆様に尋ねた。

「あ奴のわしらに対する愛情の深さが、そうさせたのかも知れん……」

「ばあ様にしちゃぁ~、珍しく俺を()めてくれるじゃねえかぁ~」

「ああ、お前の愛は宇宙一だからのぉ~。きっと大宇宙の法則も、宇宙一の愛を持つ者には例外を与えたのかも知れんのぉ~。こうして会話する事もまた(しか)りじゃて……」

「ねえとうさん、さっきから誰と話しているの?」

 船長の胸の中で抱かれるミーシアが、船長の顔を見上げ尋ねた。

「ああ、お前の御先祖さんでもあり、俺のいつかは帰るべき場所にいるお袋とだ」

 大御婆様と私は、船長の言葉で前が見えないくらい涙を流した。

「熊五郎……。泣かせよるわいっ! で、熊五郎、これからどうするのじゃ?」

「そうだなぁ~、世も平和になった事だし、これからは、海賊姫ミーシアの父親でもある、この俺達の冒険の旅が始まるのさ!」


 それからまもなくしてミーシアとジョセフは結婚をし、一年後、双子を授かり幸せに暮らしていた。しかし双子たちが五才を迎えたその年……。

「ミーシア大変だッ、船長がァ~ッ!」


  海賊姫ミーシア、第二部、『船長と魔の秘宝』につづく……。

海賊姫ミーシアとは別に、コメディータッチの自伝、

レッツ ゴー トゥ ザ NY ウィズ 岸和田㊙物語シリーズ1『武士はピンク好き 編』

も同時連載しておりますので、よければ閲覧してくださいね!

作者 山本武より!

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