表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
来界者《フォールナー》リュウトの異世界遍歴 ~勇者の息子の最初の仕事は、女子寮の雑務係でした~  作者: しょぼん(´・ω・`)
第二巻/第二章:勇者の息子、約束を果たす

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

62/62

第十四話:可愛い

「その、今日のアイリスって、凄く着飾ってたでしょ?」

「あ、うん。そうだね」

「その……リュウトは、そんなアイリスを見て、可愛いって思った?」

「えっと……まあ、そうだね。似合ってるなとは思ったよ」


 ……まただ。

 今のエスティナって、昨日の風呂掃除の後と同じ反応をしてる気がする。

 そんなに俺の恋愛の事が気になるのか?

 別にこっちの事なんていいから、早くエスティナに幸せになってほしいんだけど。


 内心そう思っていると、まるで様子を伺うように、エスティナが上目遣いにこっちを見ると、こう尋ねてくる。


「ちなみに、その……変な事、聞いてもいい?」

「えっと、どんな?」

「あ、あのね。今日アイリスが着てた服と、私が今着てるような服だと、リュウトはどっちが好み、かな?」


 え? どっちの服?

 しかも、俺の好み?


「答える前に、なんで質問されたかって、聞いてもいい?」


 戸惑いつつそう尋ね返すと、エスティナが顔を真っ赤にした後、身を小さくして目を泳がせる。


「あ、あの。その、ね。男の人ってどっちの方が好きかなって、色々みんなに聞いてるんだけど。折角だから、ちゃんと男の子の意見も聞きたいなって……」


 つまり、例の片想いの男子の心を掴むために、どんな服装が良いか模索してるって事か……。

 恥ずかしそうに俯く彼女の心に、想い人がいるんだと思うと胸が痛む。

 でも、エスティナの力になって、彼女に幸せになってもらうって決めたんだから。

 俺はそう思い直し、自分が決めた覚悟を心に刻み直した。


「えっと。あくまで俺だったら、だけど。エスティナがアイリスさんの着てた服を着ても、似合うと思う」

「そ、そっか」

「うん。でも」

「……でも?」


 俺の会話が切れなかった事に、彼女が赤い顔のままこっちに目線を向けてくる。

 ……やっぱ、可愛いよな、エスティナ。じゃなかった。


「え、えっと。エスティナは今の服装の方が似合ってるし、可愛いと思うよ」

「え!? か、可愛い……」


 少し色白に戻ってきていた彼女の顔が、またぽんっと赤くなると、また目を伏せたエスティナ。


 ……うん。可愛い。

 その愛らしい仕草も、恥ずかしそうな顔も。


 彼女に釣られ、少し赤くなった俺。

 いや、だって。服の話だから間違ってないけど、彼女に可愛いって言ったら、本人が目の前で照れてるんだぞ?

 ただ……。な、なんか違う意味に勘違いされてないかっていうのもあって、ちょっと不安だな。嫌がっている感じがないとはいえ……。


 エスティナは俯いたまま、何も言わない。

 けど、俺も何て言えばいいか分からず困ってしまい、ごまかすように視線を逸らし、頬を掻くしかできなかった。


 一気に静かになる部屋。

 何となく気持ちが落ち着かなくなっていると。


「……リュ、リュウト」


 エスティナがか細い声で、囁くように俺の名前を呼んだ。

 釣られてそっちを見ると、彼女は上目遣いのまま、じっとこっちを見つめている。


 顔は真剣。目は潤み、顔は真っ赤なまま。

 何が起こるのか。そんな気持ちすら忘れ、吸い込まれそうな瞳に魅入られたまま、俺は呆然とし息を飲む。


「あの、あのね。わ、私って、本当に、可愛い?」

「あ、えっと……う、うん。可愛いよ」


 彼女の言葉に釣られ、考えなしに本音を漏らす。

 それを聞いたエスティナは、少しだけ目を閉じ、大きく深呼吸すると。


「あ、あのね。私、実は──」


  コンコンコン


「エスティナー。いるー?」


 突然扉の向こうから割り込んだミネットさんの声に、俺達がビクッと身を震わせ背筋を伸ばす。


「い、いるけど。ど、どうしたの!?」

「お。良かったー。これからみんなで食事でもしよーって話してたんだけどー。エスティナやリュウト君もどうかなーって」


 慌てて返事をしたエスティナに、相変わらずの元気そうな声をあげる。

 っていうか、俺の名前を口にしたってことは、いるのは知られてるって事だよな……。


「ど、どうしよう?」

「え、えっと。食べかけのこれを持って、一緒に食べるでもいいんじゃないかな?」

「そ、そっか。そうだよね。ミャウちゃんもいい?」

「ミャーウ」


 俺達のどこかぎこちない会話に首を傾げながらも、いいよーと言わんばかりにミャウはひと鳴きする。


「こいつも大丈夫みたい。一旦それで話してみたら?」

「う、うん。わかった。ちょっと話してくるね」


 どこかあたふたしながら、エスティナが席を立つと、部屋の扉の方に向かっていく。

 その背中を見ながら、俺は旨を撫でおろした。


 いや、安心っていうと変なんだけど。

 絶対さっきのエスティナが醸し出した空気は、ちょっとおかしかったと思う。

 まるで、俺に告白しようとしてたみたいだったし……。


 落ち着いたはずの心臓がまたドキドキ言い出してしまい、俺は慌てて大きく深呼吸する。

 さ、流石にそれは考えすぎだろ。俺に意見を聞きたいって言ってたんだし。

 だけどあの時、凄く真剣だったような……って、ないないないない!


 ぶんぶんと頭を振り雑念を振り払うと、俺は気持ちを落ち着けるため、そっと紅茶を口に運ぶ。


「ミャーウ?」


 俺を見たミャウが、また首を傾げる。

 そんな相棒に肩を竦めた俺は、


「お前も気にしなくていいから」


 なんて言って、気持ちを誤魔化すようにあいつの頭を撫でてやった。

 一シーン数話で、と思ったんですが。

 気づいたら章の区切りまで書ききっていました(汗)

 ということで、次回から新章となりますが、予定通りたの作品と並行で連載を続けますので、すいませんが次回更新はまた間が空く予定です。

 次回。

 第二巻/第三章「勇者の息子、学園に呼び出される」

 更新まで暫くお待ちくださいませ!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ