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街のチンピラ集団

【街のチンピラ集団】


 学園都市の大商会の一人が依頼をかけたゴロツキ集団。

 冒険者崩れ、傭兵崩れの荒くれ者の集まりだ。

 もっぱら非合法な活動で知られている。

 

『ラルド村村長さん、最近どうですか』


『ジュノー様、ご無沙汰してます。お陰様で変わり有りません』


 僕が食堂の食材生産をお願いしているラルド村。

 アニエス教授の教え子の中で一番最初に取引を行った村だ。

 生産が軌道に乗ってからは、訪問回数が減っていた。

  

 今回、この村を訪問したのは、黒狼のアンガスが大変なことを言うからだ。


『我の仲間の黒狼、ラルド村のガードにつけてる奴らの話なんだがな。おかしな人間がやってきて悪戯するみたいだぞ』


『いたずら?』


『ああ。そのたびに対峙して最初は腹に収めていたが、人間は不味いから、最近は森の奥に捨てにいくといっていた』


『なんだよ、大事じゃないか。どんな悪戯をしてるんだ?』


『火をつけようとしたり、村人をさらったり害そうとしたりしてるな』


『凶悪な犯罪じゃないか。実際の村の被害は?』


『事前に防いでおる。心配するな。村人は誰も気づいておらんよ』


 これは調査に行かねば。

 というわけで、今回の訪問に至ったわけだ。

 だが、アンガスの言う通り村は平穏そのものだった。


『黒狼たち、よくやってくれたね。これはご褒美のチーズケーキだよ』


 盛大に尻尾を振りながら、ケーキを飲み込む黒狼たち。


『次回からさ、犯人を捕まえてくれないかな』


『『『ワフ!』』』


 

 こういうやり取りが他の村でも起こっていた。

 しばらくすると、五体不満足な犯人たちが捕まえられていた。

 手加減をしていても黒狼は力が強いので、

 犯人の身体を破壊してしまうのだ。


 僕のやることは。

 久しぶりに、アースジェイルを実行する。

 前世でホワイトオーチャーと言われた拷問方法だ。


 あらゆる刺激、五感の反応が一切閉ざされた漆黒の闇に

 対象者を閉じ込める。

 常人で10分、訓練を受けたものでも30分を越えると

 精神に異常をきたすという過酷な拷問だ。


 まあ、特別な訓練を受けたわけではなさそうだから、

 10分ほど放り込んでやる。


『アガガ!助けてくれ!』


 拷問を解くと、目を血走らせた犯人が必死に僕たちに訴えかけた。


『君、何の組織?』


『……』


 おお、結構タフなやつだ。

 再度、拷問部屋に放り込む。


『すまん!何でも喋る!もうやめてくれ!』


『すまん?』


『い、いや、申し訳ございませんでした!』


 これでわかったのは、彼の所属するのは学園都市の非合法団体。

 あくどい事はなんでもござれの学園都市のクズのあつまりだ。


『で、君の雇い主は?』 


『……カールス商会だ……』


 カールス商会は、学園都市の5大商会、

 今は一つ潰したから4大商会の一つ。

 大商会の中ではあくどいことで評判の悪い奴らだ。



『よし、君たちのヤサを教えて』


 連れてこられた学園都市の一等地。

 200坪ぐらいの土地に3階建ての立派なビルが立っている。


『じゃあ、中にいる人達を5分以内に外に出して。遅れると死ぬよ』


 犯人は大慌てで建物に飛び込んでいった。

 なにやら大声でわめいているようだ。

 続々と外に飛び出してくる構成員たち。


『はい、タイムリミット。では、アースクェイク!』


 上級土魔法を発動した。

 文字通り、地震を起こす。

 建物の周囲を結界で覆っているから、

 範囲指定した内側のみが大揺れする。


『ガラガラガラ!』


 建物が一斉に崩れ落ちた。

 王国は地震が少ないせいか、脆い建物が多い。


『『『アアア』』』


 外に飛び出してきた構成員たちは目の前の惨劇に

 顔面蒼白だ。


『お前か、やったのは!』


 一斉に、僕に飛びかかってきた。

 こいつらの攻撃など屁でもない。

 ソリッドエアを効かしている僕の防御力にまるで太刀打ちできない。

 攻撃した瞬間に盾に跳ね返されてひっくり返っている。


『どうした、攻撃はおしまいか?じゃあ、僕の番だな』


 僕は初級火魔法を発動寸前で止めた。

 でっかい火球が僕の頭の上で膨れ上がる。

 じりじりと地面が焼けただれてくる。


『さて、この火球で焼き尽くされるのは誰かな?』


 さっきの威勢は霧散している構成員たち。

 腰をぬからかして、イヤイヤをする。


 僕は上空に向けて火球を打ち上げた。

 凄まじい爆音と爆風が地面まで降り注ぐ。

 まるで大地震のような衝撃が構成員を襲う。


『この建物と土地の所有者は誰?僕が買い取るよ』


 誰も手を上げない。

 僕は知っている。

 これが違法に占拠している土地・建物であることを。

 非合法団体のことは、ロベルトがすでに調査済みだ。


『じゃ、ここはこれからは僕のもの。異論のあるものは?』


 誰もいないので、僕は風魔法で残骸を空の彼方に吹き飛ばすと、

 更地に地下2階、地上5階の建物の側だけを立ち上げた。

 みるみるうちに建物が完成していく。


 この世界はこうした強力な土魔法で建築・土木工事を行う。

 だから、公共事業とか金が回らないのだ。


 それからは、僕とロベルトの二人で適当に間仕切りや

 開口部を設けていく。

 構成員は全員、地下に閉じ込めた。

 勿論、アースジェイルの魔法ですっかり牙を抜いたのは

 言うまでもない。


 なお、こうなる前に正式な土地の持ち主には

 ちゃんと話を通してある。

 不法占拠されていた持ち主は喜んで土地を譲ってくれた。


 ◇


 次は、カールス商会の番だ。

 僕はカールス商会まで赴き、宣言した。


『僕は君たちを許さない。潰れてもらう』


 すでに、一連のやりとりは学園都市の注目するところとなっていた。

 大商会の連中は奥に引っ込んででてこなかったが、

 僕たちは踵を返して、次の行動に移ることにした。



 まずは、仕入れルートの破壊。

 仕入れの馬車が馬と御者を除いて

 忽然と消える事件が多発した。

 ルートを変えようとするが、

 それはロベルトによって即座にバレてしまう。


 さらに、隠し込んでいるお金や財宝を持ち出し、

 貧民街でばら撒いた。


 極めつけは、商会長や幹部の家に黒狼を出没させた。

 何頭もの黒狼が自由気ままに彼らの家に出現するのだ。

 寝ても覚めても黒狼が彼らにつきまとう。


 家族は実家に帰ってしまうし、

 使用人は恐れてやめてしまった。


 商会はあっという間に没落した。

 商会長は精神をやられ、一家離散。


 そもそも、この非合法組織は街の嫌われ者で、

 建物ごと吹き飛ばしたことは市民の大喝采を浴びたし、

 カールス商会はえげつない商売でこちらも市民の嫌われ者だった。


 えげつない商売とは、まずは高利貸し。

 返せない人の身ぐるみ剥がすようなやり方をする。

 商売敵は例の非合法組織を使って潰してきた。

 違法な人身売買に手を染めている。

 街のダニであった。


 最後は、たんまりと手に入れた非合法活動の証拠で

 彼らを告発した。

 十分な証拠とともに、彼らは炭鉱奴隷に落とされ、

 街から姿を消した。



【貧民街・ストリートチルドレン】


 さて、拷問部屋の連発で心を入れ替えた反社どもは。

 まず、貧民街の掃除をさせた。

 文字通り、通りの清掃である。

 強制ではあるが、喜んでやってる。多分。


 そして、通りでぶらぶらしているような

 ホームレスのような者共を蹴り上げて仕事を世話する。

 大人しくなったとはいえ、元は非合法組織の組員。

 こういった弱者への睨みは十分だ。


 ホームレスは働けるものなら村へ送り込む。

 ホームレスでも仕事がなくて仕方なく、という場合と、

 働く気がなくて、という2種類がある。


 働く気がなくても、5体満足なら働いてもらう。

 村はかつてない活況のため、人手不足なのだ。

 やる気のないものの活性化はいろいろ手段がある。

 まあ、あまり平和的な手段ではないが。

 

 さらに見込みのあるものは、

 開拓団を結成してもらい、開拓村を立ち上げてもらう。

 たまに、ホームレスでくすぶってる有能者がいる。

 開拓は非常に厳しいが、

 僕たちのヘルプがあれば、100%成功できる。



【孤児院とシングルマザー】


 反社どもの拠点だった事務所はどうなるのか。

 僕が新たに建物を立ち上げ、

 そこの一角で孤児院を始めた。


 学園都市は比較的裕福な街ではあるが、

 貧民街もあるし、ストリートチルドレンもいる。

 そいつらをとっ捕まえて、

 豊富な食事と教育を与えるのだ。


 そして、彼らの保母さんとして

 シングルマザーを大量に雇い入れた。


 無論、子供やシングルマザーの中にはふてぶてしいものもいる。

 そういうのは簡単だ。

 黒狼を使えば、すぐに言うことを聞く。


 それでも言うことを聞かないものは、

 反社と同じようなタイプなので、

 彼らと同じコースを歩むことになるが、

 現状でそこまで酷いものは一人もいない。


 人材の活性化は雇い入れたものの義務だからね。


ブックマーク、ポイント、感想、大変ありがとうございます。

励みになりますm(_ _)m

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