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最近カトリーヌの機嫌がいい2

【最近カトリーヌの機嫌がいい2】


『貴方、古代ナード語を教えなさいよ』


 薬草採取も一段落したところで、

 とうとう恐れていたことがやってきた。

 これがめんどくさいのだ。


『おいおい、古代ナード語ならオレも混ぜてくれよ』


 もうひとり、めんどくさいのが加わった。

 前々から古代ナード語に興味を示していたボンズである。


 仕方ないので、僕は二人にひらがな・カタカナを

 教えた。



『なんだ、簡単だな。ちょろいぜ』


 そう言っていたボンズ。

 ふふ。これからなんだけど。


『えー、何よ、この文字。変態すぎるわ!』


『これか、悪魔の言語だっていう理由は!』


 ちなみに、常用漢字が2千文字強。

 音訓があるから、読み方で4千強。

 更に、ここにある漢字辞典で6千文字。

 すべての漢字が10万文字以上あることを伝えると、

 絶句していた。


 前世の僕だって、常用漢字パーフェクトじゃなかったもの。

 気にすることなんて全然ない。


『で、お前は覚えたのかよ』


『僕も先生もこの辞典に載っている漢字は』


 僕も先生も映像記憶スキルがある。

 だからなんとかなっているのと、

 僕は30年近く日本人をやっていたから、

 応用が効く。

 そこが先生との大きな違いだ。


 逆に言えば、全然文法も文字体系も違う異世界の文字を

 独学で読み込んでいる先生が異常である。


『おまえらバケモンか』


 だけど、必死にくらいついてくる。



 他の生徒でもナード語を学びたい学生はいた。

 だけど、漢字辞典を見せたらみんな退散した。

 最近は悪魔の言語ではなくて、変態言語、

 と呼ぶものもでてきたぐらいだ。


 その理由の一つは、カトリーヌ経由で、

 “薄い本”がクラスでこっそり流行り始めたからだ。

 どうもいけない妄想をしている女子がたくさんいる。


 誰が、薄い本を出力したんだ。

 レイ・カトウとかいう日本人?だ。

 となると、この人女性か。


 この人の出力したマンガ。

 映像記憶をスキルで主力しているわけだから、

 一度は読んでるわけで。

 少年ジャンプから薄い本まで、カバーするジャンルが広い。

 


 対象にはロベルトが選ばれやすい。

 ロベルトのハンサムぶりは、学園中で有名になっていた。


 僕は選ばれたことがない。

 まったくお呼びでないらしい。

 一応、王子様で美形なんだけど。


 カトリーヌいわく、

 超絶すぎて別な意味で変態だから。

 だそうだ。

 前世も全然もてなかったけど、

 ついに非モテ40年を突破したぞ。


 もっとも、たまーに、ホントに極稀に、

 キャイキャイ言う子もいて、本当に癒される。

 ま、ガキには用がないんだけど。

 と強がってみる。


 ◇


 カトリーヌとボンズ。

 かなり真剣に古代ナード語、つまり日本語の勉強に

 熱を入れている。

 二人共、頭脳も優秀だから、

 かなりのスピードで学習が進んでいる。


 だから、少しだけ僕たちの研究成果を見せることにした。


『あのさ、二人共。先生と僕の研究成果を見せるけど、鉄の誓約をするつもりある?』


『『ありまくり』』


 二人に誓約してもらって、


『これから見せるのは、古代ナード語を解析して、魔法陣に落とし込んだもの。凄いのばかりだから、心の準備をして』


『おっしゃ』


『じゃあ、魔力測定器』


『汎用魔力測定器?しかも、数字で測れるって?』


『うん。火・水・風・土・聖なら魔法の種類を問わずに、魔力を測定できる。でも、数字は絶対値じゃない。とりあえず、測定限界を10万に設定しているだけ』


『ほー。基礎ステータスとは意味が違うんだな』


『そう。あっちの数字とこの測定器の数字はリンクしていない』


『ま、いいか。測ってみるか。ワクワクすっぜ』


 ボンズは約4400、カトリーヌは約4900だった。

 席次3位のアリシアが約3700だから、

 二人の実力はかなり高い。


 ちなみに、アリシアはじめE組のみんなは、 

 1年生末よりも数字が落ちている。

 これは、料理エンチャントを+100⇒+70

 ⇒+50と落としていったから。

 3年になったら、+20にまで落とす。


 卒業後のことを考えたからだ。

 いつまでも僕に依存しているのは良くない。



『で、おまえはいくつなんだよ』


『内緒』


『絶対、しゃべらないから』


『あー、先生も僕も1万以上』


 目を見開く二人。

 二人の倍以上の数字だから、そりゃ驚くだろう。


『驚いたな。あの演習事件以来、スネーク・スレイヤー様の評価はダントツということで決定してたが、そこまで差があるのか』


 本当は僕は5万、先生は2万なんだけどね。


『これは、あくまで魔力の一つの目安。他にも魔法力を決定する要素はあるからね』


『そうだな。経験の差や戦術の理解度とかもあるしな』


『この機械は、2年後に公開する予定。多分、全国に広まるはず』


『ああ、売れまくりそうだな』


 ◇


『では、続いて魔素バッテリー。空中の魔素を魔石にする』


『なんだと?そんなの聞いたことがないぞ。こんなのあったら、世の中が激変するぞ』


『各国で奪い合いになるわね』


『うん。だから、極秘中の極秘。鉄の誓約をしてもらったのもそのため。下手に口にすると、どうなるかわからないからね』


『わかる』


『これで魔石が無制限に獲得できるから、なんとか魔道具とか以外で使えないか、話し合っていたわけ』


『ああ、そこにカトリーヌが現れたと』


『うん。ちょっとした救世主扱いだよ。先生も大喜びさ』


『ふふふ』


 カトリーヌが顔を上気させている。

 珍しく素直だぞ。


『もう、魔石回復薬の検討がはじまっているんだろ?』


『そうよ。私が提案しているのは、後遺症の低減。強い薬だから、後遺症が出やすいのよね。後遺症といっても、胃痛とか嘔吐とかの程度。深刻なものじゃないけど』


『うまく行ってる?』


『貴方の言う通り、私には薬師の才能があるみたい。薬を調合したときに、それがどの程度効能を発揮できているのかが何ていうか薬の光具合でわかるし、100%に向けての提案も頭に浮かびやすいのよ』


『おー、画期的な才能じゃないか?』


『先生もそう褒めてくれる』


『凄いな。オレにもそういう才能ないかな』


『ボンズには剣があるだろ。ガイルが目標にしてるぞ』


『ガイルか。最近メキメキ力をつけて来やがって。オレも遊んでおれんわ』


『二人とも卒業したら、王国軍へ行くんだろ?』


『多分な。やっぱりオレには魔法より剣。それに二人共長男じゃないから気楽だしな』


『いや、必ずしも長男が家を継ぐとは限らんぞ』


『だな。王家も次男が継ぎそうじゃないか』


『長男が寝たきりだからね』


『まあ、人の家の話はだいたいにしておきましょ』


『だな。好奇心は猫も殺すっていうからな』


 ◇


『もうないのか?』


『まだあるんだけど、表に出せるものはマジックバッグ』


『ほう。また凄いものが』


『たまにスキルで持ってるとか、古代遺跡で見つかるとか』


『ジュンも持ってるしな』


『マジックバッグ、近々公表される予定』


『おー、世間が大騒ぎするな』


『ああ。先生はマジックバッグに興味なくして次の研究に移ってるけどね』


『なぜこの時期に?』


『毎年、先生は研究結果を公表することを義務としているらしい』


『で、マジックバッグか。売るのかな?』


『わかんない。でも1つ1億円以上の値段がつくだろうね』


『わお』


『値をつけるのは学院。1/4は先生、3/4が学院の取り分になるらしい』


『ほお。学院が結構持ってくんだな』


『先生はお金は十分あるし、使う当てもないからもういらないっていってる』


『へえ。そういや、先生って結構この学院ながいってな』


『エルフだしね。百年ぐらいはいそう』


 おお。

 僕は少し年上のお姉さんという気でいたけど、

 やはり長命エルフ。

 外見は20代にしか見えない。


 ◇


『それでおしまいか』


『うん。まだあるけど、それは君たちがもっと精進したらの話だな』


『おっしゃー、頑張るぞ』


『期待させて悪いけど、超弩級のもあるからね。頑張って』


『えー、知りたい』


『まあ、お楽しみに』


 

 これは後日の話になるが、カトリーヌとボンズには転移魔法陣と

 僕の料理の強化効果を教えた。

 そして、実際に二人には+20のエンチャント効果を付与した。

 それ以上は3年になってからということにして。


ブックマーク、ポイント、感想、大変ありがとうございます。

励みになりますm(_ _)m

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