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大蛇戦の翌日

【大蛇戦の翌日】


 さて、翌日。


 僕は放課後、相変わらずアニエス先生と討論会だ。

 この時間は至福の時間である。

 先生の好きなケーキを食べながら討論を重ねる。


 今日のケーキは、チーズケーキ。

 僕の渾身の作だ。

 これに、コーヒーと行きたいけど、

 紅茶。ジャスミンの精油入り。


 最近の課題は、いかに転移魔法を簡易化するか。

 今でも世界を揺るがせるような秘密だが、

 携帯できるようになれば、本当に世界に革命が起こる。

 国や軍、他国から間違いなく狙われる案件だ。

 

『ガラッ』


 僕は討論に夢中で気が付かなかったが、

 先生が視線をそっちにやった。


『あら、カトリーヌ。ご機嫌よう』


『先生も』


『どうしたの?』


『少し、それを借りてもいいですか?』


『いいわよ』


 僕は『それ』扱いになってる。


 彼女はテーブルの上のチーズケーキをチラッと見ながら、

 ぷいと顔で他の席を指示する。



『まず、ありがとう。助けてくれて。医者から聞いたけど、本当に危ないところだったわ』


『体は大丈夫なのか?』


『貴方の回復薬のおかげよ。医者も驚いていたわ。普通なら死んでるって』


『で?』


『これ。お礼よ』


『はあ。こういうことできる子だったんだ』


『何よ、それ』


『いや、ちゃんとお礼できるなんて偉いよ』


『喧嘩売ってるわけ?』


『まあ、ありがたくもらっておくよ。それだけ?』


『少し質問があるの』


『いいよ』



『まず、あの大蛇。貴方、言いにくそうにしてたけど、貴方に関係があるの?』


 うーん。また微妙な質問を。


『そうだな、これからもこういう騒動が起きるかもしれないから言っておくか。アレは僕を狙ったものだよ』


『嘘!どうして?』


『王位継承権のゴタゴタさ。たまにやってくるんだよ』


『王位継承権のゴタゴタ?』


『ああ。絶対に他人にしゃべるなよ。とばっちりが行くかもしれないからな』


『それに、たまに?』


『ああ。酷いときだと毎月。今は年に数回。このところはなかったけどね』


『!ずっと狙われているっての?』


『ああ。何度も殺されかけたよ。狙撃されたり、家が爆破されそうになったり、昔だと、毒殺疑惑もあったな』


『嘘でしょ。ボンボンだとばっかり』


『結構有名だと思っていたけど。後継者争い。まあ、約1名だけなんだけどね、はっちゃけてるの』


『陛下は対策しないの?』


『父上はそもそも僕に興味がない。彼が気をかけているのは、長男と次男ぐらいだな』


『信じられない』


『僕が学院卒業とともに城を追い出される話、知らない?』


『噂だけなら。嘘だと思ってた。でも、追い出されるのに狙われるって、おかしくない?』


『それだけ怖いんだろ、僕が。何しろ、“頭脳も魔法も天才”だから』


『皮肉言わないで。謝るわよ。少し、貴方のこと誤解してたかも。でもね、あの大蛇どこから出てきたの?』


『テイマーがいたよ。山の上に』


『テイマーだって?イエローボア、A級魔獣3体を操るテイマーがいるの?』


『ああ、僕は以前、大蛇2体を操るテイマーに遭遇したことあるよ。やったのは、僕の仲間だけど。だから、そいつの兄弟子クラスか、師匠かなにかが仕返しに来たのかもしれないね』


『どうしたら、そんなに強くなれるの?貴方の魔法の実力って、規格外すぎるわ。そういえば、私の魔法発動を邪魔したわよね』


『はは。魔法キャンセルって技だよ』


『そんな技、聞いたことないわ』


『まあ、僕のオリジナル』


『どうやったらそんなふうになれるの?』


『修行したから、としか。ちなみに僕の仲間の二人、小さいときから一緒なんだけど、彼らの魔法もかなりのもんだよ』


『それよ。なぜ、貴方と一緒にいると強くなるのかしら?E組のみんなもそうよ。アレシアなんて席次が3位。これも計り知れないわ』


『あのね、それは彼・彼女らに素質があったからだよ。確かに僕は少し手助けした。だけど、大部分は彼らの努力だよ』


『そんなの嘘。それに、貴方がアニエス先生と話しているところを聞いたことがあるわ。貴方は話に夢中だったけど。確かに言葉は聞き取れる。でも、内容は全く理解できなかった』


『僕も君に不思議に思ってることがある。なんで、薬師の能力を伸ばさないの?』


『薬師?薬師なんて、たいしたことないでしょ』


『その感覚が僕にはわからない。せっかく、薬師の祝福を得ているのに。それに、君の薬師の能力、半端ないと思うぞ』


『持ち上げても無理よ』


『あのね、こんなこと僕が言うのもなんだけど、僕の薬師の実力は普通の薬師なみのものがあると思う。それに、昨日の回復薬の共同研究者、彼女は僕の仲間の一人で中級回復魔法の持ち主だ。多分、もうすぐ上級になると思う』


『上級?凄いわね』


『ああ。その二人が開発している薬の欠陥を君はすぐにみつけたわけだ。それこそ、天賦の才だろ』


『……』


『それとも作り込みが甘いといったのは、嘘なのか?』


『嘘じゃないわ。私には薬の良し悪しとか修正箇所とかが光となって見えるのよ』


『ほう。君が何になりたいのか、僕は知らない。一流の魔法使いになることかな?でも、薬師としての才能を埋もれさせるのは本当にもったいないと思うぞ。君の言葉が嘘じゃないというのなら、一度、アニエス先生に相談してみたら?凄いこと教えてもらえるかもよ』


 僕には勝算がある。

 魔石の使い方について、アニエス先生とエレーヌ、

 僕の3人でいろいろ討論している。


 だけど、所詮門外漢なのだ。

 アニエス先生ならば、カトリーヌを導けるのではないか。



ブックマーク、ポイント、感想、大変ありがとうございます。

励みになりますm(_ _)m

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