前期期末テスト
【前期期末テスト】
学院は前期・後期の2学期制だ。
期末テストは9月末と2月末に行われる。
9月末というのが曲者だ。
つまり、夏休み明け直後に行われる。
夏休みは通常遊ぶ人が多い。
宿題も出ない。
例年、順位が大幅に変動する。
そのとおり、順位に大異変が起こった。
僕たち4人のパーティメンバーは、
揃って学年トップ20に入った。
アレシアが3位。
アデールが6位。
僕が10位。
ガイルが12位。
その他のE組の生徒も
全員が50位以内に食い込んだ。
『なんで、ジュンは実力を隠すの?』
『あんまり、目立ちたくないんだよ』
『変なの。ダントツで一番なのに』
『ていうか、なんで学院に来てるってレベル。もう講師とかやったほうがいいと思う』
まあ、そうだよな。
正直、僕はもう学院の勉強に興味がない。
在籍しているのは、城的なものと、
アニエス先生がいるからだ。
彼女との討論や古代書の解析、
そして、魔道具への応用は、非常に楽しい。
今取り掛かっているのは、転移魔法陣だ。
古代書の中でも大物の一つで、
詠唱はページ数で100pに及ぶ。
これをきっちり魔法陣に記述する。
僕は図書館の地下をこっそり掘って、
広大な地下室を作った。
前世の日本ならバスケットボールコート2つ分だ。
ここにきっちり魔法陣を記述し始めている。
直径20mもの魔法陣だ。
ケアレスミスや論理エラーなども頻出する。
それらの訂正もする必要がある。
だから、半年はかかるだろうと、先生が話している。
僕には魔法陣は先生ほどの知識はない。
学習はしているのだが、そもそもキャリアが違う。
それに、先生は魔法陣関係の祝福を得ている。
それもあって、先生には全然かなわない。
それと、僕が古代ナード語で先生をリードできたのは、
単に僕が前世日本人だったからだ。
そうじゃなければ、かなり苦労したと思う。
◇
期末テストの結果には、他のクラスの生徒は勿論、
学校側も大変驚き、
僕たちの活動と結びつけて考える人が増えた。
朝晩の訓練にも勝手に参加する人が凄く増えた。
朝はともかく、晩は失神してもらっても困る。
際限がなくなるし、魔石の出どころを怪しまれる。
それと、基本は自助努力。
だから、E組以外はフォローするつもりはない。
仕方がないので、僕はE組生徒のために、
僕の借りた敷地の地下深くに訓練室を増設した。
広さはバスケットボールコートが2面張れる程度。
敷地一杯の広さで、30m弱x30m弱の広さだ。
高さは10mぐらい。
学院の訓練所と比べると、高さ以外は一回り小さい程度だ。
しかし、ずっと頑丈に作ってある。
僕が風魔法ソリッドエアと土硬化魔法で
強化しているからだ。
『こんなこというと先生たちに申し訳ないけど、学院の勉強よりこっちのほうが大事だよね』
『だよね。最近では魔法の訓練も高度になってきたし。学院の勉強は食い足りないんだよな』
そんなことをいう生徒も増えてきた。
前世で学校で遊んで塾で勉強する、
という子供が話題になることがある。
あれと似ているかもしれない。
なお、訓練室のさらに下には、
同じ大きさのスペースが設けられている。
ここには、将来的に転移魔法陣を記述するつもりだ。
図書館との魔法陣をつなげるためだ。
実験のためである。
できれば、将来的にはずっと簡易化したいのだが。
今は、完成・成功させるのが目標だ。
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