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精油と蒸留酒1

【精油と蒸留酒1】

 

 これはまだジュノー10歳、王都にいる頃の話である。

 

 ジュノーはいつものように朝起きて顔を洗う。

 朝食はエッグマフィン。

 ベーコン、チーズ、ぷるぷるたまごをパンズに挟む。


 ジュースはブルーベリージュース。

 ブルーベリー果汁、ミルク、砂糖に、

 ブルーベリーの実、ミントをトッピング。


 ただ、素手で食べるから、ハンバーガーのソースや脂が

 手についてネチャネチャする。


 食べ終わると再び洗面に行き、石鹸を使って洗い落とす。

 ただ、石鹸の品質が低い。

 灰汁に獣脂を混ぜたもので、非常に柔らかい。



『石鹸、どうにかしたいなー』


『どうにかしいたなーって、どうするんですか』


『まずさ、臭いが獣くさいよね』


『獣の脂肪から作ってますからね』


『洗浄力も今一つだし』


『はあ』


『あとさ、ネチャネチャしてるのもどうにかしたい』


『こういうもんじゃないんですか?』


『石鹸ってさ、実はいろんな種類があるんだよ』


『それも“料理人”の情報ですか』


『うん。これによると、いい石鹸は植物油で作っていい匂いがするし、固形石鹸なんだよ』


『はあ、固形はともかくいい匂いがするんですか』


『ああ。花の香りとか混ぜるからね』


『花の香りですか?お坊ちゃま、それ是非とも推進しましょう!』


 おお、さすがエレーヌは花も恥じらう女子だけある。



【香りの蒸留】

 

 花から精油を取る方法にはいくつかある。


○冷浸法・温浸法

 この2つは古くから使われていた方法。

 ただ、非常に手間暇がかかる。


 アンフルラージュ法(冷浸法)


 花の精油を動物性の油で吸収させる。

 この油をアルコールに溶かす。

 アルコールには精油のみが溶ける。

 アルコールを加熱・蒸発させて精油を取りだす。


 マセレーション法 (温室法)


 花や葉を押し潰し、温かい植物油に入れる。

 油は精油を吸収する。

 その後は冷浸法と同じ手順。


○圧搾法


 柑橘系の原料の精油を抽出するときに用いられる。

 原料の皮を圧縮して、精油を取り出す。

 遠心分離にて水分を取り除く。


○水蒸気蒸留法


 ハーブなどの葉や花などの原料を蒸留釜に入れ、

 下の熱湯から出る蒸気を蒸留釜に送り込む。

 精油が水蒸気とともに上昇する。

 この水蒸気を冷やし、分離した精油を取り出す。



 僕が採用したのは圧搾法。

 柑橘類は皮からすぐに精油がにじみ出てくる。

 簡単に精油を採取できるのだ。

 逆に、この方法は主に柑橘系の植物にしか使えない。


 冷浸法と温室法は効率が非常に悪い。

 水蒸気蒸留法はいずれ試そうと思っている。



 圧搾法で、前世のレモンのような果実(以下レモン)

 から精油を取り出した。

 遠心分離機は、円筒を回転させるだけであるから、

 簡単な魔道具を作った。

 

 この方法は単純に見えるが、前世では意外に新しく、

 19世紀に実用化されたという。


『まあ、本当にレモンの香り!』


『それさ、香りづけもできるんだけど……もう少し待ってくれたら、香水にすることもできるよ』


『香水?』


『その精油の芳香をもっと芳しくするものだよ』


『えー、すぐやりましょうよ』


『うーん、器具が必要だから道具屋さんいないかな』


『街にドワーフの鍛冶屋がいますよ』


『じゃあ、頼みに行こっか』


 ◇


 街に行き、何人かの鍛冶屋を回るのだけど、

 頭の固い人が多くて、なかなか注文を受け付けてくれない。


 でも、ある鍛冶屋が息子さんを紹介してくれた。


『ああ、ドワーフは頭の固い職人が多くてね。作ったことのないものは手を出したがらねえ。この街では俺ぐらいだぜ。頭の柔らかい職人は。おかげで変わり者で通っているがな』


 ガハハと笑いながら、僕の奇妙な注文を受けてくれた。


『これでどうするって?何?精油はともかく、酒を濃くするだと?それは捨て置けねえな。な、どうだ。俺も仲間にいれてくれねえか』


 彼、ダリアンの強い押しがあり、

 彼と守秘義務契約を結んだ。

 魔法による契約で、他人に内容をバラすおそれがない。


 守秘義務契約は、鉄の誓約紙にて行う。

 誓約紙は王国では普通に流通している。

 一種の魔道具で、魔導紙(羊皮)に、

 両者の誓いを血印することで成立する。


 契約内容を口外しないとか様々な用途に用いられる。

 僕も持っているし、ダリアンも普通に持っていた。



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