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学院講師会議

【学院講師会議】


『今年の1年のクラス対抗戦。とんでもなかったですな』


『毎年、1年の前期クラス対抗戦は番狂わせが多いんですが』


『ですね。入学試験ではしっかりした実力差を見極められませんからね』


『ええ。ですから順位が流動的なんですが、今年のはちょっと極端ですね』


『まず、E組の4人全員が極めて実力が高い。A組班を圧倒するなんておかしすぎます』


『確かに、4人とも実力がかなり高い。特にアレシアは目立ちました』


『でも、やっぱり王子様ですな』


『ええ。彼はとんでもない実力の持ち主ですね』


『対A組戦。まず、A組の足元崩しを狙って土魔法と風魔法を同時に発動しました』


『同時発動など、我々でもできません』


『ええ。威力はさほどでもありませんでしたが』


『目的は足元崩しですからね。でも、強い威力を出せるはずです。他のクラス戦では、強い魔法を放ってましたから』


『強い魔法と言っても、全力からは程遠い感じだったですけどね』


『ですね。力を抜いているのがありありとわかりました』


『では、彼一人でもA組を撃破できたと』


『そこまではわかりませんが、可能性は強いでしょう』


『なぜ、功を他のメンバーに譲って補佐に周るんでしょうか』


『王子様は実力を隠したいのではないしょうか』


『うーん。後継者争いは割と有名ですから、手を隠したいんでしょうかね』


『まあ、そうなんでしょうね。隠しきれてませんが』


『ですね。驚きは次の魔法ですよ。あれは何でしょうか。カトリーヌとボンズの魔法を止めたみたいですが』


『それですよ。確かに、二人の魔法発動に妨害をしました』


『しかし、妨害魔法の魔法ジャマーならばもっと雑音が出るんですが、二人の魔法はすっと消え去るような感じでした』


『ですね。あんなに自然に魔法を邪魔するなんて、魔法ジャマーでは見たことないです』


『非常に高度な魔法ジャマーか、我々の知らない魔法の類か』


『彼に聞いても教えてくれないでしょうね』


『ま、普通はそうですね。マナー違反ですしね』


『もうひとつなんですが、E組の生徒が全員燃えていますな』


『はい。毎朝1時間のランニング。晩は有名な魔法枯渇法』


『私、時々朝のランニング見るんですが、王子様のお付きのロベルトさん。めちゃくちゃ速くて驚きました』


『ああ、凄い美形で父兄の間で噂になってますよ』


『僕はストレートですが、彼の美貌には思わず見つめてしまいました』


『同性も抗えない美貌ですか。王子様も美形なんですが、ロベルトさんはちょっと別格ですな』


『もう一人のお付きの女性、エレーナさんですか、彼女も美しくて、チェック入れてる人多そうですね』


『そのエレーナさんも脚がすごく速いんですよ』


『ロベルトさんにはかないませんが、王子様とエレーナさんがいつも全力疾走のような速さで学院を走り回ってるんですよね』


『あの脚の速さを見ると、王子様は体力も別格のようですね』


『ええ。実際、彼は剣も強いです。技術は今一つなんですが、フィジカルが凄くて、力と速さで他を圧倒してますね。多分、強さは1年生で一番です』


『ボンズよりもですか』


『ボンズは剣技が素晴らしいのですが、実際の試合では王子様に負けますね。しかも、王子様は全力を出してるように見えません』


『魔力も剣もですか』


『いや、本当に凄いのは頭脳でしょう。あのアニエス教授と放課後に討論を繰り広げてますよ』


『ああ、私も少し聞いたことがあります。まるでチンプンカンプンな会話でした』


『古代ナード語でしょう。先生の専門なら』


『5種類の文字体系からなる言語です』


『ああ、特にカンジなる文字が非常に難解で、しかも文字数が非常に多い』


『多い?』


『辞書があるのですが、それに載っているのが6千。噂によると、10万文字以上あるとか』


『はー』


『しかも、一つの文字に2つ以上の読みがあるとか』


『私、一文字だけ覚えました。酒のネタにと思いまして……(鬱)……メランコリーのような意味なんですが、この文字、ウツって読みます』


『なにこれ』


『鬱は特別複雑なんですが、でも、これでも一番難しい文字じゃないんですよ』


『はは、狂ってますね。アニエス先生もモノ好きですね』


『いや、そうでもないらしいですよ。古代魔法の粋が集められているそうで。読み解ければ革新的な成果を上げられそうだとアニエス先生は言ってました』


『では、王子様は古代ナード語を理解しているということでしょうか』


『そうみたいですね。アニエス先生から教えを請いている、というふうには見えませんから。むしろ、アニエス先生に教授してるようにも見えました』


『はー、ホントですか?』


『わかりませんが、王子様は小さい頃“神の子”とも言われていたらしいですから』


『魔法、剣、頭脳。神の子が学園にやってきたということですか』


『なんにしても、夏休み明けの期末テスト。どうなりますかね』


『E組大躍進かもしれませんね』




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