クラス選抜対抗戦
【クラス選抜対抗戦】
決起集会から2週間後。
クラス選抜対抗戦が開催された。
クラスでの班対抗戦の優勝班が、
この戦いに出てくる。
戦闘方法は、班対抗戦と同じ。
選手にはプロテクターがつけられる。
で、武器や魔法でお互い攻撃し合う。
プロテクターは当たり判定だけをする魔道具だ。
基本的に攻撃を通さない。
剣や弓などの武器は、この戦い専用の、
威力の出ないものが使用され、
魔法はほぼ完全にプロテクターにブロックされる。
ほぼ、であって完全ではないが、
その限界以上の出力を出せるのは、
生徒の中では僕以外いないだろう。
そういい切れるのは、
アニエス先生が以前壊したことがあるそうで、
その時の威力が魔力測定器だと推定1万数千ぐらい、
とのことだったからだ。
まずは、E組とD組戦。
その勝者とC組戦。
その勝者とB組戦。
そしてA組との優勝戦。
E組が一番不利だが、仕方ない。
ドベクラスだからな。
勝ち上がっていかなくては。
だが、僕たちには関係ない。
『ドベクラスー!』
『お荷物、はよ帰れー』
ヤジが酷い。
だけど、試合開始直後、ヤジはピタリと止まった。
アレシアが魔法を連発。
試合は数秒で終わったのだ。
アレシア一人でD組班を圧倒してしまった。
『アレシア、自分だけずるい』
『だよな。オレたちの見せ場がないぞ』
『あー、ごめんね。ヤジ聞いたら熱くなっちゃって』
『まあ、アレシアは同時複数攻撃できるしね』
『次はさ、一人一殺で頼むよ』
C、B戦はその言葉とおり、一人ずつ担当の敵をつけた。
試合が始まると瞬殺だった。
4人共、汗一つかかなかった。
『なんだか、拍子抜けね』
『ホント。彼らにはスキが有りすぎる感じ』
『ジュンが試合前に言ってた、普通にやれば楽勝って言葉、俺たちを勇気づけるためだと思っていたけど、単なる事実だった』
『次はA組。少しは歯ごたえが出るはず。だから、作戦をたてよう』
僕たちは初めて作戦会議を開いた。
◇
さて、A組戦だ。
選手は、やはり主席で入学してきたカトリーヌ。
そして、次席のボンズ。
カトリーヌは魔法。
ボンズは魔法も強大だが、本来は剣を本分とするらしい。
王国軍的には、ボンズは欲しい人材だろう。
そして、もう二人は省略。モブだからだ。
だって、開始早々にその二人はあっさり退場したから。
作戦はこうだ。
僕が氷・風・土魔法で足場をこっそりと崩す。
ふらついたところを他の3人で魔法乱射。
僕が裏方に回ったのは、
極力全面に出たくなかったからだ。
この作戦、なかなか上手くハマった。
開始早々、二人が退場。
さすがの主席様と次席様はかろうじて魔法を防ぎ、
反撃しようとしたが、僕が魔法キャンセルを実行した。
魔法詠唱をリバースして相手の詠唱に上書き、
魔法の発動を消してしまう上級技だ。
カトリーヌとボンズの二人は戸惑った顔をしている。
そのすきに、僕が少し強力な魔法で相手の足場を崩す。
それで二人はたまらず転倒。
『『『今だ!』』』
3人の魔法攻撃がカトリーヌとボンズへ。
『よしっ!』
開始僅か10秒足らずで決着がついた。
E組応援席は大盛りあがり、
対して静まり返る他のクラス。
まあ、すっきりした。
ことあるごとに、E組は他のクラスから
酷い罵詈雑言を浴びせられてきた。
何度も言うが、他のE組の子たちが
唇を噛みしめるのを見るのは堪えた。
前世の僕を見ているようだったからだ。
それに、A組の大部分とE組とは、
実力にさほどの違いがあるとは思えない。
今のA班のメンバーだって、
主席と次席は少し実力がありそうだが、
残りの二人の相手選手はもう少ししたら、
E組全員に抜かれるぞ。
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