正妻と次男4
【正妻と次男4】
これはジュノー学院入学時の城での一コマである。
『母上。峠での襲撃は失敗したようです。奴らにはまるで打撃を与えられなかったようです』
『そうですか。襲撃者は?』
『連絡が途絶えました』
『なるほど。今まで、襲撃者は命を取られることはありませんでした。今回は明らかな意図があるかもしれませんね』
『はっ』
『私達に対する反意です』
『私達が動いていると感づいているのでしょうか』
『普通は感づくでしょう。いま、あれに敵対心を燃やすものは私達以外に考えられません』
『それにしても、お母様のおっしゃる通りになりました。奴らは強い』
『ええ。今回は“闇のもの”最上級の手練れを用意しました。しかし、彼らにはなんの被害も与えられませんでした』
『はい。彼らも馬車さえも全くの無傷で学園都市に入城したとのことです』
『わかりますか、A級とされる大蛇を2頭。前後から、それも横にそれることのない隘路で襲われて、軽々と切り抜けたわけです』
『腹立たしいですが、彼らにはA級以上の力があることは認めざるを得ません』
『その中心には間違いなく、あれがいます。“料理人”なる祝福、その名前に騙されてはいけません。ただの元B級冒険者や田舎から出てきた下級貴族の娘が、こんなに実力をつけるわけありますか?普通なら有りえません。秘密は“料理人”にあります』
『はっ(認めづらいが、母上の言うことが外れたことは殆どない)』
『次の手は、もっと違う手を考えています』
『というと?』
『このさきは貴方にも教えられません。発覚したら害が及ぶかもしれませんから』
『はっ(母上は、これ以上の危ないことを考えておられるのか?私にも知らせることができないこととは?)』
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