最初の実戦訓練 一角兎
【最初の実戦訓練 一角兎】
僕たちは、授業活動に加えて放課後も
野外にて一角兎とか熊ネズミあたりと格闘した。
『一角兎なんてすっごく獰猛で、見たらすぐに逃げろって教わるんですが』
『いいかい、一角兎は見たら一直線に突っ込んでくる。
だから、慎重に見定めればよけることは簡単だ。それに、奴らの攻撃ならこの盾が弾いてくれるから』
僕はまず手本を見せた。
まず、一角兎に攻撃させた。
兎が突っ込んでくるが、こちらはなんともないばかりか、
兎は盾への衝撃でダウンしてしまった。
『わかるよね、安全だってことが。でも、盾に依存してはいけないよ。攻撃することを覚えるのが先決だからね』
次に、僕は攻撃を見せた。
『まずは、剣』
兎の突進を躱しつつ、首を両断。
『なんて素早い剣さばき!そんなの、兎が速すぎて無理』
『じゃあ、弓か魔法』
魔法や弓なら、突っ込んでくる前に発見⇒討伐。
『えっ、なんなの、あの風魔法。連射とか獲物を追いかけるとか』
『追尾するなんて見たことない。風刃?』
『そうだよ。初級風魔法風刃』
『うそでしょ』
『あれは僕が6歳の時に編み出しものだよ』
『ああ、どんだけ』
『ジュンが神の子って噂されてたの、聞いたことがある』
『わかるわ、それ』
『祝福は“料理人”なんだって』
『もうわかってます。“料理人”って祝福が並じゃないってこと』
『僕の仲間たちもね。最初は30mぐらいの距離でも魔法が届かなくて。でもしばらくしたら、50mぐらいの距離でも獲物を狩っていたよ』
『そんなこと言われても、当たる気がしない』
『あのさ、剣は最終手段だよ。基本は遠距離攻撃。だから、まずは相手より発見することが第一。有利な位置取りをして近づき、発射』
『どうやって見つけるんですか』
『一番いいのは、パーティに探査スキル持ちがいることだね。冒険者パーティだと、探査スキル持ちは引っ張りだこになるよ』
『ああ、わかります』
『ちなみに、僕だと探査スキルは半径100m』
『すごい』
『僕の仲間だと、探査スキル200m以上。障害物が無ければ目視で500m楽々だよ』
『はあ』
『元B級冒険者なんだけどね』
『それでもB級なんですか』
『いや、普通に冒険者活動していれば、A級は確実の人』
『じゃ、私たちはしばらくはジュン頼りということ?』
『うん。君たちもそのうち目が良くなるはずだよ。探査スキル持ちも出てくるかも』
『それも料理人スキルなんですか?』
『発現するのは、君たちの素質半分、僕のスキル半分ってとこかな』
『『『頑張ろ!』』』
ちなみに、アレシアは水魔法。アデールは風魔法。
ガイルは土魔法が発現している。
それぞれ、初級魔法の氷針、風撃、土球で攻撃する。
しかし、到達距離は20mほどで、
結局、一角兎に突っ込まれることになる。
『うわあっ!』
と腰が引けるのだが、倒れるのは一角兎。
ソリッドエアの効いた盾に兎は抵抗できない。
◇
『どう?一週間頑張ってみて』
『基礎ステータスが10あがったので驚きました』
『だよな。10って1年かけて上げる数字だよね』
『あのね、これからが本番。本当に強くなりたいのなら、僕が6歳からやってる練習、やってみる?』
『6歳?やってみたい。ていうか、6歳でできて僕たちができないっていうのはないでしょ』
『『やります』』
『じゃあね、朝は僕たちとマラソン』
『僕たち?』
『ああ、僕は仲間二人と住んでいて。城にいた頃は近くの森に行くときに毎日かけっこだったから気づかなかったけど、学院にきたら運動不足になって。だから、毎朝ジョギングをしているんだ』
『仲間って、さっきいってた元B級って人とか?』
『ああ。まあ、僕たちの速度には追いつけないだろうけど、体力をつけるにはてっとり早いよ。というか、フィールドで魔物を狩るにはまず足腰の鍛錬が必要』
『はあ』
『それから、寝る前に魔法の訓練。君たち、知ってるよね?魔力を使い切って失神する方法』
『ああ、知ってますけど、あれツラすぎる』
『それをやってもらう』
『えー』
『いったでしょ、僕は小さい頃からやってるって』
『うわー。それは絶対?』
『絶対』
『『『がっかり』』』
『そのかわりにさ、みんなに毎日ジュースをあげるよ。続けられたら、いよいよちゃんとした料理をあげるから
『『『頑張る!』』』
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