古代語研究者の教授3
【古代語研究者の教授3】
『先生、ここからが本番です。この先は、先生に鉄の誓約をしてもらうことになります。先生を信用していないということではありません。先生を守るためのものだと思ってください。その内容は、多くの人が熱望するような内容なので』
『ここまで来たんだもの。誓約を結ぶわ』
誓約魔法は王国では普通に流通している。
一種の魔道具で、魔導紙(羊皮)に、両者の誓いを血印することで成立する。
守秘義務契約とか様々な用途に用いられる。
口外しようとしても口外できなくなるのだ。
僕も持っているし、図書館にも普通に置いてある。
『では誓約を結んだところで、先生に新しい世界を見せることができます』
『心の準備はできてるわよ』
『では、先生、この食品を食べてみてください』
僕はマジックバッグからハンバーガーを取り出し、先生に渡した。
『へえ、マジックバッグね。マレなスキル持ちなのね。それにしてもこの食べ物いい匂い。じゃあ遠慮なく……なに、これ。衝撃的な美味しさ!』
『先生、ステータス見てください』
『?……うわっ、+100って何?』
『“料理人”のスキルの一つです。強化効果』
『じゃあ、私の知力は520+100で620ということ?』
『そうです。他のステータスも爆上がりしていますから、気をつけてくださいね。特に力が強くなっていますから』
『なるほど』
『それで原書を読んで見てください』
『わあ、読解スピードが爆上がりしてる!』
『わかりましたでしょ、僕の祝福の凄さと危うさ』
『理解した。あなた、狙われるわね』
『ええ。実際、私は王室の後継者争いに巻き込まれています。今のところは私が無能ということでなんとか回避していますが、それでも攻撃はやみません』
『なるほど。あなたの無能説は結局貴方がばら撒いたのね』
『私ではありませんが、まあ、極力そう仕向けました』
『それに、このスキルが表に出たら、貴方の争奪戦が起こるわね』
『ええ。いっその事、排除しようという勢力も激しくなるでしょう』
『なるほど。鉄の誓約を結ばせた理由がわかるわ。よくぞ、打ち明けてくれた。これで私は新しい扉を開くことができる。さあ、一緒に古代魔法を解読していきましょう!』
『では、先生。魔力測定器の数値ですが。僕の現時点での最大値の2倍を測定器のMAXにしたらどうかと』
『なるほど。その最大値を越える人は多分、神ね』
僕の最大値の2倍を10万と定める。
僕の魔力は“5万”である。
『先生、この魔方陣を書き換えて、特定の魔法にとらわれない、汎用的な魔力数値を出せませんか』
『ああ、火魔法とかじゃなくて、そのものずばり“魔力”とするのね。できそうな気がする。ちょっと時間を頂戴。あとね』
『なんですか?』
『また美味しいものを持ってきて頂戴』
1週間後、汎用魔力測定器ができた。
『これは発表したらダメよね』
『僕が卒業するまで待っていてください。僕の数字を測定されると困るので』
『わかったわ。これ、学院史上でも有数の発明品ね。私の名で発表するけど、かまわないわね』
『というか、そうしてもらわないと困ります』
『まあ、共同研究者がいる、ぐらいのことは言わせてね』
◇
その後、先生とは定期的に研究会を開き、
次々と古代魔法を解読していくのであった。
解読された古代魔法の一端。
・飛空魔法
・転移魔法
・魔素バッテリー
・マジックバッグ
ただ、詠唱で発動するものではない。
魔法陣を展開して、そこに魔力を込める必要がある。
その魔力も魔法によりけりだが、
例えば、転移魔法はアニエス先生や僕クラスでないと発動できない。
しかし、その問題を解消することができる。
魔素バッテリー。
魔石を生成する魔法だ。
これを魔道具化し魔石を作れば、魔力不足は解消できる。
ただ、転移魔法と魔素バッテリーはこの世界を根本的に改変しそうなので、
二人の秘密に留めることにした。
それと、興味深い魔法が。
“映像記憶プリンター”
なるほど。
カトウさんは、映像記憶スキルの持ち主だったんだろう。
僕のようにね。
そして、それを出力することができると。
つまり、あのマンガはカトウさんの記憶を出力したわけだ。
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