古代語研究者の教授2
【古代語研究者の教授2】
僕は1週間ほどで漢字辞書を制覇した。
『先生、じゃあその本を読んでみますね』
僕はマンガを受け取り、どんどんと読みつつ、
翻訳を進めていった。
『ええ、マジなの?私が何十年もかけた成果を僅か1週間で越えていくわけ?』
申し訳ない。何度も心の中で言うんだけど、
僕は元日本人なんだ。
『先生、僕にはマルチリンガルのスキルがあります。完全なものではありませんが。どうやら、“料理人”のお陰で世界の料理を作るためのもののようです』
勿論、嘘である。
『マルチリンガル?初めて聞くスキルね。どんな言葉でも翻訳できちゃうってことかしら。さすが、神の子とも噂されただけあるわ。ね、本命はこれからよ。実は古代魔法の原書があるの。私の研究の一つがその解読』
といって、先生は難しそうな本を出してきた。
『レイ・カトウ著。魔法解説』
レイ・カトウ。
加藤?
ひょっとしたら、彼は日本からの転生者だろうか。
それとも、この世界が日本の未来?
レイも、玲?礼?麗?いろいろあるぞ。
中を開いてみる。
目次には興味深い言葉が。
・マジックバッグ
・飛空魔法
・転移魔法
……
・魔素バッテリー
……
・魔力測定器
……
これは熱いぞ。
『先生、すべて、革命的な魔法ばかりですね。何から行きますか』
『どれでもいいわ。一つでも解読したい』
『では、魔力測定器から行きましょう。さっと見た感じでは一番やさしそうです』
『易しいか。詠唱すると1時間以上かかりそうなんだけど』
その日から僕たちは解読に入った。
僕は読みと意味を。
先生はそれを魔法陣言語に翻訳していく。
何度かトライアンドエラーを繰り返し、
火魔法の魔力測定器の製作に成功した。
『学校の測定器の上位バージョンね。魔力を数値化できる』
『魔力の絶対値ではなくて、最高値を定めた中の相対的な強さですけどね』
『最高値、どうする?』
僕はこの2週間ほどの期間で、この先生をかなり信用していた。
この人は学問に身を捧げている。
学問の使徒のような存在だ。
悪い言い方をすれば、学者バカ、研究バカだ。
『先生、これ本当に内緒にしてほしいんですが』
『どうしたの、改まって』
『先生を信用したうえで話をします。少し覚悟してほしいのですが。いいですか、僕の秘密を教えますね』
『……大げさじゃなさそうね。いいわ、教えて頂戴』
『僕の魔力は底抜けしてます。精神ステータスが799です。知力に至っては861です』
『ほんとに?私の知力は520で、私より高い数字を持つ人、あまり見たことないわ』
『先生、落ち着いて』
『あなた、本当に神の子じゃないわよね?いや、信じてないわけじゃないわ。あなたの異常な解読力を見れば納得の数字よ。でも、気持ちがついていかない』
『祝福は“料理人”なんですけどね』
『祝福は“料理人”だっていうのも本当なのね。じゃあ、“料理人”という祝福も特別なもの?』
『そうです。先生は理解が速くて助かります。”料理人”という祝福が半端ないんです』
ちなみに、ステータスの目安は次の通り。
200 百人に一人
300 千人に一人
400 1万人に一人
500 十万人に一人
600 百万人に一人
700 千万人に一人
こういうレベルを意味する。
僕はおそらく1億人の頂点にいるような頭脳の持ち主だ。
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