入学式
【入学式】
お決まりの入学式。
校長の話とか来賓の紹介とか。
新入生代表者の挨拶もあったな。
彼女の名はカトリーヌ。学年主席だ。
どこかの伯爵の娘らしい。
貴族家の名前を覚えるのは、
王侯貴族の最低限の嗜みなんだけど、
だるいんだよな。
いや、僕は映像記憶能力があるから、
実は王国中の貴族家を丸暗記してるんだけど。
なんとなく、活用したくないというか。
見たくない、というか。
ただ、彼女が壇上に上がるとざわめきが起こった。
稀に見る美形だったからだ。
僕の見てきた中ではトップクラスの美形である。
方向は違うが、王国の百合の花と呼ばれたという、
僕の母親といい勝負するんじゃないか。
僕の母親が優しそうというか気が弱そうな感じに対して、
彼女は見るからに気が強そうという違いはあるが。
ちょっと驚いたのは、クラス編成。
僕はE組だった。
新入生は100人。
上から成績順に20人ずつクラス分けされる。
A⇒Eへと。
つまり、僕は劣等生クラスに編入されたということ。
ちょっと冷や汗が垂れた。
確かに魔法で手を抜いたことは確かだけど、
危うく落ちるところだった。
油断禁物。
でも、周りが僕をなめてくれるから、
これはこれで好都合だろう。
できれば、劣等生でいけますように。
でも、僕は注目度がそこそこあるみたいで。
(あれが王家5男か)
(昔神童、今只の人ってか)
(“料理人”だって、祝福が)
(学校卒業したら、城を追い出されるって話)
(まあ、Eクラスだもんな)
おお、酷い言われ方だ。
って、事実か。
入学式の後は、各クラスへ。
【Eクラスへ】
さて、Eクラス。
クラスごとに棟が別れている。
食堂、寮、教室が一つの建物にまとめられている。
教室に入ると、男が叫んでいた。
『俺は剣は優れているんだ!』
ここは魔法学院だぞ。
剣が得意なら、騎士高等学院へ行けばいいのに。
まあ、出世を考える人は魔法高等学院一択だけど。
彼にもいろいろあるんだろうな。
とか、勝手に忖度する。
席は決まっていないので、適当に座る。
すると、男が入ってきて、担任だと名乗った。
『ここはEクラスだが、例年、2年時に半分はD以上のクラスに上がるから頑張ろう』
的な演説をして帰っていった。
あんまり気のある話じゃなかったな。
ただ、この学院ではドベクラスだといえども、
数千人の中から選ばれた100人に入るわけで、
Eクラスでもエリートであることには変わりはない。
今日はこれだけで終わり。
何のイベントも起こらなかった。
僕はさっそく食堂に向かう。
学校で何が楽しみかと言えば、やっぱり食事。
王国随一の伝統を誇る学院の食事は。
……
クソまずかった。
学園都市の評判のいいというレストランがあれだ。
期待はしていなかったのだが。
期待値というか、想像を下回っていた。
なんだ、この臭くて味のないスープは。
それに、やっぱり臭くて塩っぱすぎる肉は。
固くてスープにひたしても柔らかくならない、
スッパ苦いパンは。
もうね、見た瞬間に僕は1mmたりとも口にできなかった。
この仕打はEクラスだからか?
それとも、他のクラスもこのぐらい不味いのか?
後日わかるのだが、
この学院は他のクラスも壊滅的にまずかった。
だから、上位貴族とか富裕層は、
貸地に家を建てて、コックを連れてきている。
周りの人たちは。
もう見事なぐらい無表情でご飯を食べている。
食事に楽しさとかないんだろうな。
早々と食堂を諦めた僕は、
マジックバッグからハンバーガーを取り出し、かぶりつく。
まあ、いいか。
僕は次の目的地、図書館へ向かうことにする。
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