学園都市入り1
【学園都市入り1】
僕たちは再び馬車に揺られながら、3日後に
学園都市に到着した。
『まずは入学手続きだよね』
『お坊ちゃま、あと土地の賃貸ですね』
生徒は学園内の土地を借りて、
家を建てることができる。
卒業と同時に敷地は現状回復、
つまり更地にして返還する。
建物は、通常は土魔法で側を立ち上げる。
壊すのも一瞬だし、費用もかからない。
学園の門から中に入ってみる。
2ヶ月前の入学試験を思い出す。
募集人員は100名。
それに対して数千名の希望者が殺到する。
ここを卒業するかどうかで、一生を大きく左右する。
国のエリートコースに乗っかるからだ。
テストは、魔法・武術・学業の3つからなる。
それぞれ点数の割合は6割・2割・2割だ。
困ったのは魔法のテストだ。
5つの石がおいてあり、
火・水・土・風・聖魔法の魔力を測定する。
聖魔法は主に回復魔法だ。
エレーヌに発現している。
それぞれの石に手をあてて、
力をこめると測定されるらしい。
測定は石の色変化で行われる。
下から、橙1、橙2、黄1、黄2、黄3と変化し、
やがて、白、青白となる。
僕は特に魔法で目立ちたくなかった。
キョロキョロと観察してみると、
大抵は橙。たまに黄1。
ごくごくまれにそれ以上。
僕は、黄1に合わせて見た。
体力測定で握力の計測で手を抜く感じだ。
僕の魔法力はおそらく、
国の魔導師の最高峰を越えてるだろうから。
だって、僕の精神力は800弱。
1億人の頂点に立つような数字だ。
そんな力を白日のもとにさらしてみろ。
どんな騒ぎがおこるか。
それに、敵に自分の力をしられたくない。
学業は簡単で満点のはず。
剣はわからないけど、多分満点だと思う。
剣は得意というわけではないが、
ロベルトにしごかれたし、
僕の身体能力は半端じゃない。
順位はわからないが、合格は勝ち取った。
◇
さて、事務局のようなところへ行く。
『おはようございます。ジュノー・クノールです。入学手続きに参りました』
『ジュノー・クノール様ですね。こちらに記入願います』
学費は城のほうから払い済だ。
記入が終わると、どう測ったのか知らないけど、
制服を2セット渡された。
『あと、土地の賃貸をお願いしたいのですが』
賃貸については、エレーヌに調べてもらっていた。
千平米ほどある敷地を借りられる。
だいたい300坪程度、
1辺が30m強の正方形の土地である。
賃料は月金貨1枚。
高いのか安いのか判断がつかない。
ちなみに、王都のそれなりの住宅地だと、
金貨3枚ぐらいはかかるらしい。
学園内に千平米もの土地を借りる。
前世日本だとありえないような話だ。
だけど、魔法高等学院はむちゃくちゃ広い。
学院自体が一つの街だと考えていい。
いや、街どころじゃない。
縦横数kmはあるのだから。
のんびり歩くと、端から端まで2時間はかかる。
その広大な土地を高い外壁で囲う。
外壁には当然、結界魔法がはられている。
その中にぽつんと言う感じで建物が点在するが、
殆どの土地が整備されており、
庭園になっている場所も多い。
建物は豪華絢爛。
前世で言うとベルサイユ宮殿の小型版が
ずらりと並んでいる。
ちゃんと窓ガラスもしっかりハマっている。
この世界では窓ガラスは高級品だ。
建物は土魔法で側を立ち上げることができるが、
ガラスを作る魔導師や職人は不足している。
観光名所になりそうな見事な場所だ。
在校生・卒業生はみんな誇りに思っていることだろう。
勿論、僕も圧倒されている。
前世など、汚いアパート住まいだったし、
王都の城だって、これほどじゃない。
話によると、王国の歴史よりも以前から、
この学院は存在しているらしい。
それ故、先生や周囲の住民は気位が高く、
独立独歩の気風があるという。
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