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学園都市へ

【学園都市へ】


『朝ごはんも食べたし、学園都市へ向かうとしようか』


 今日の朝ごはんは、ソーセージパティに

 卵とチーズをのっけてパンズで挟んだハンバーガー。

 “ソーセージエッグマフィン”だ。


 前世ではこれが大好きで、

 外出したときとか徹夜明けとかは、

 必ずこれを注文していた。


 それに新鮮なラズベリーとバナナをミキサーに入れた

 これまた最近のお気に入りジュース。



『『了解!』』


 エレーヌとロベルトも同じ朝食。

 彼らもこの朝食セットを気に入り、

 最近はいつもこれを食べている。



 では、出発だ。

 数カ月は問題ないくらいの料理を、

 僕のマジックバッグにつめてある。


 入試は2月上旬。

 入学式は4月上旬。

 今は3月下旬である。


 前世日本だと、桜がスタンバイしている季節だが、

 王国でもこの季節は方々で花を咲かせ始めている。

 桜のような象徴的な花はないが、

 その代わりに様々な花が野山を色とりどりに染めていく。

 そんな光景を眺めていると、

 祝福されているような気分で心も晴れやかになる。


『領をまたぐことになりますから、冒険者ギルドで登録しておくのもいいですね』


 冒険者ギルドは全国組織である。

 ここで作った身分証明書は、他の領に行くときにも

 役に立つ。

 証明書がないと、余分にお金がかかったり、

 手続きに追われたりするのだ。


 試験のときは受験生はフリーパスになるのだけど、

 入学の場合は適用されない。



『私もB級ライセンスでしたが、失効してますから、三人ともF級からですね』


 冒険者ギルドは依頼の達成度に準じて、

 F~S級に振り分けられる。

 F級は初心者向けだ。



『おお、私にとっては久しぶりの冒険者ギルドですね。10年ぶりぐらいかな』


 ロベルトは感慨深げだ。

 そういえば、ロベルトは冒険者ギルドを避けていた。


 まあ、冒険者をやめたのは痴情のもつれというやつで、

 見栄えのする話じゃない。


 ロベルトが言うには、向こうから女性が寄ってきて、

 しかも既婚者が多いんだと。

 不倫願望のある女性が寄ってくるので、

 何もしなくても争いに巻き込まれるという。


 だから、ロベルトは少々女性不信で、

 女性のいるところには近づかないようにしているとのこと。


 ◇


 僕たちはギルドの重厚な扉をあけ、

 中に入る。


 ムッとする汗と血の匂いのする広い室内が広がる。


 汗と血は勘違いかもしれない。

 ただ、むくつけき男が9割程をしめているので、

 そう感じたのかもしれない。


 初心者用の窓口に並ぶ。

 しばらく待っていると、


『おーやおや、どこかの金持ちのお坊ちゃんですか?こんな物騒な場所は危険でちゅよ』


 ニヤニヤとした3人組が僕にからんできた。


(おお、ギルド登録での絡み、お約束キター)


 と喜んでいると、


『あれ、黙っちゃって。怖いでちゅかあ?』


 面白すぎんぞ、このハゲ。


『あのさ、世間知らずのお坊ちゃまに叩きのめされる3人組がいるらしいよ』


『なんだと、この野郎!』


『イキりやがって、痛い目みたいらしいなあ?』


『おいおい、おまえら喧嘩するなら裏でやれ』


 そうハゲのおっさんが大声で怒鳴り始めた。

 喧嘩を止めるんじゃないんだ。


 ギルド内での冒険者同士のいざこざはご法度。

 いざこざが発生した場合は、裏の決闘場で決着をつける。

 発生した損害にギルドは関与しない。


 荒くれ者の多い冒険者ギルドでは、

 こうして秩序を保っているのであった。


『いいよ、裏で決闘する?』


『よく言った、この軟弱坊主。裏行くぞ』


『おお、久しぶりの決闘か』



 それで始まった決闘。

 やっぱり、異世界はこうでなくっちゃ。

 僕はお約束の展開に手応えを感じていた。


 それに僕は負けることなど微塵も感じていなかった。

 僕はこの6年間で相手の強さを

 ある程度感じ取れるようになっていたのだ。

 それは相手から漏れてくるオーラである。

 強い魔物はやっぱり強いオーラを放っている。


 ロベルトによると、本当に強い人や魔物は、

 オーラを隠すことがあるという。

 が、目の前の間抜けたちにそんな技はないだろう。

 見た目通り、モブ3人だ。



 立会には、野次馬の冒険者がやってくれた。


『じゃあ、はじめ!』


 僕は素早く魔法を展開した。

 殺すのもなんだから、まずは軽く風魔法。


『『『うわっ!』』』


 三人は吹き飛んで、後ろの壁に叩きつけられた。


『ウウ』


 三人はうめきながらも立ち上がろうとする。

 僕は素早く彼らのそばにたち、

 彼らの武器、剣と弓を弾き飛ばした。


『どうすんの?間抜けさんたち』


『クソっ』


 三人のうち一人が魔法を展開しようとした。

 僕はとっておきの技、魔法キャンセルを唱えた。


 これは、相手の唱える魔法をリバースし、

 相手にぶつけることで魔法を相殺・消滅させる技だ。


『あれ?』


 驚く相手に対して、僕はさらに火魔法。

 僕の頭の上で膨れ上がる火球。

 青白い炎がこの火魔法のヤバさを物語っている。


『さて、まだやる?まだ人を殺したことないけど、最初の人になる?』


 驚愕の表情でイヤイヤをする三人組。

 僕は上空に向けて、火球を解き放った。


『!』


 上空で爆発し、爆風と爆音で周辺がビリビリする。



『なんだよ、あの坊主。見かけはお坊ちゃんなのに』


『だよな。誰か坊主にかけた奴はいるか?俺は有り金全部あのチンピラたちにかけたのに』


 娯楽の少ないこの世界では決闘は格好のギャンプルだ。


『ありゃ、最低でもCかB級の実力はありそうだぜ』


 周りの冒険者達はざわめく。



 すると、さっきのハゲの大男が出てきて、

 僕に話しかける。  


『おまえ、なかなかやるな。どうみても、貴族の坊っちゃん風情だが。初めて見るな』


『ああ、田舎から出てきたばかりなんだ』

 

 僕は風体をなるべく汚くしてきたつもりだけど、

 やっぱり生まれは隠しきれない。


『そうか。カードの発券か』


『ああ。これからいろいろな街を巡るから、資格証をもらおうかと』


『そちらもか?』


『私達もです』


『おまえさん方の身のこなしを見ると、初心者って感じじゃねえな。よし、普通はF級なんだが、三人ともE級でカードを出してやろう。おまえさんならCとかBあたりがふさわしいと思うが、これも決まりでな。ま、少し活動すればすぐに上がるさ』


 彼はこのギルドのギルマスだった。


 F級だと、薬草採取とかスライムのような

 討伐の簡単な魔物狩りに従事しなくちゃいけない。


 それをパスできるのは助かる。


 登録名はジュンとした。

 ジュノーの愛称だ。



【三人のステータス】


  氏 名 ジュノー・クノール

  年 齢 12 性 別 M  種 族 人族

  祝 福 料理人

  ステータス

  ○筋力 141(+200)

  ○体力 138(+200)

  ○速度 137(+200)

  ○知力 661(+200)

  ○精神 590(+200)

  ○意思 349(+200)

  スキル 料理(料理大全、料理エンチャント)、

      4属性魔法、吸血、醸造、魔道具、

      狩猟(探査・気配操作、マジックバッグ)

      各種耐性

  特 記 料理エンチャント



  氏 名 エレーヌ・アルトー

  年 齢 24 性 別 F  種 族 人族

  祝 福 聖魔法師

  ステータス

  ○筋力 179(+200)

  ○体力 182(+200)

  ○速度 173(+200)

  ○知力 237(+200)

  ○精神 246(+200)

  ○意思 214(+200)

  スキル 中級回復魔法、弓、上級水魔法、料理、

      計算、探査、気配操作、魔道具師、

      各種耐性

  特 記 料理エンチャント



  氏 名 ロベルト・オビーヌ

  年 齢 32 性 別 M  種 族 人族

  祝 福 魔剣士

  ステータス

  ○筋力 387(+200)

  ○体力 375(+200)

  ○速度 344(+200)

  ○知力 217(+200)

  ○精神 190(+200)

  ○意思 272(+200)

  スキル 上級魔法剣、弓、中級土魔法、探査、

      気配操作、各種耐性

  特 記 料理エンチャント


 スターテスの数字の見方。


 成人は半数以上が80~120の間に収まる。

 200 百人に一人

 300 千人に一人

 400 1万人に一人

 500 十万人に一人

 600 百万人に一人

 700 千万人に一人


 ジュノーの知力は661プラス200で861。

 超絶した知力の持ち主である。


 ジュノーほどではないが、エレーヌもロベルトも、

 王国随一の人材に成長していた。

 これは、まず料理エンチャント、

 テリヤキチキンバーガーによるところが大きい。

 さらに、本人たちの修練にもよるが、

 ジュノーの料理によって地味に基礎ステータスが上がる。



ブックマーク、ポイント、感想、大変ありがとうございます。

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