正妻と次男2
【正妻と次男2】ジュノー9歳
『ユベール。まずは、魔法高等学院の卒業おめでとう。主席で卒業して私は鼻が高いです。陛下もお喜びよ』
『ありがとうございます、母上。今後は陛下の元でより一層研鑽を積みたいと思います』
『それで、あなたの卒業後初めての指揮は?』
『母上、残念ながら失敗に終わりました』
『“闇のもの”の手練れという話だったのに』
『とんだおマヌケ野郎でした』
『処分はしたんでしょうね?』
『はい。報告によると、襲撃者は爆発に巻き込まれて負傷したあと、精神が錯乱していたようです』
『精神錯乱?変ですね。何が起こったのでしょう』
『爆発地点も奴の離れから遠いところです』
『逆襲されたということかしら』
『おそらく』
『ということは、彼らは“闇のもの”をコケにするほど強いということですか?』
『信じられませんが』
『そうなると、使用人のロベルト。彼は元B級冒険者でしたね。それとエレーヌでしたか。それほどの実力者ですか?』
『彼女は回復魔法持ちでしばらく教会を手伝った後、奴の母親のお世話係になりました。強いという情報はありません』
『前回の襲撃から3年経っています。ロベルトもエレーヌも実力を増しているかもしれません。ちゃんと見張っているんでしょうね』
『それが母上。奴らが何をしているのか、見当がつかんのです。まず、離れは強固なバリアができています。それから、彼らが離れで食事をしている風には見えません』
『まず、バリアですか。前から報告があった件ですか。それほど強いのですか?』
『魔導師に見せたところ、中級風魔法のソリッドエアだろうと。それもかなり魔力が高いということです』
『三人の中の誰かか、それともいずれかの協力者が結界をかけているということですね』
『はい』
『それから、食事をしている風にはみえない?』
『食材を運び入れる気配がありません。と申しますか、出入りしている気配がありません』
『地下道でもあるのでしょうか』
『そう思い、城を周囲を探索しましたが、出口のようなものが見当たりませんでした』
『そうなると、もっと長い地下道か。それとも転移魔法のようなものか』
『長い地下道となると、強大な土魔法が必要となります。あの三人にそのような魔法が使えるとは信じられんのですが』
『いつも言ってるでしょ、予断を排しなさい。堅牢な結界魔法、“闇のもの”を軽くあしらう実力、密かに城の外へ出る隠密性。かの者たちが相当な力を持っていることは歴然としています。城で情報が得られないのなら、街や周囲の村に調査を飛ばしなさい』
『はい、母上』
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