表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/122

メタボの友達、マヨネーズ

【メタボの友達、マヨネーズ】


 さて、待望の砂糖が手に入った。

 ハンバーガーや焼肉は美味しいものができる。

 でも、物足りない。


 ソースのバリエーションがないからだ。

 塩かトマトソースしかない。

 中でも、マヨネーズと醤油が欲しいところだ。

 醤油は手間暇かかりそうなので、

 マヨネーズ作りからとりかかることにした。



『ねえ、エレーヌとロベルト。新しいソースを作ろうと思うんだけど』


 僕は習慣になった朝ハンバーガーの食卓で二人に提案した。

 麦芽糖をシーナ糖に変えたフルグラも追加している。

 ジュースはオレンジジュース、砂糖マシマシだ。

 この世界の果物は砂糖を入れないと、かなり酸っぱい。


『ソースですか』


 二人とは、料理のノウハウをできる限り共有している。

 三人の誰であっても同じ料理を作れるように。


『ソースというか、ドレッシングなんだけどね。マヨネーズって、僕は名付けたんだけど、卵と油と酢で作るんだ』



 さて、健全なジャンクフードを作るのに

 大敵の一つ、マヨネーズ。


 前世日本ではマヨネーズが好きすぎて、

 マヨラーなる言葉が生まれた。

 実は僕も根っからのマヨラーだ。

 僕が小さい頃にはマヨネーズの容器をくわえていたぐらいだ。


 僕は周りから散々からかわれたものだ。

 何しろ、コーラにもかけていたから。

 マヨネーズは飲み物だって思ってたもんな。

 あれはやりすぎだったと反省している。

 メタボ一直線だもの。



 でも、マヨネーズが悪いわけじゃない。

 量を誤らなければ、むしろ栄養的にいい面を持っている。

 少なくとも、この世界ではスーパフード足りうる。


 マヨネーズの自作については前世で散々してきた。

 Q○マヨネーズなどの日本製のマヨネーズが圧倒的に一番。


 でも、僕は既製品じゃなくて、

 自分だけのマヨネーズが欲しくなってしまった。

 色々研究したぞ。

 Q○マヨネーズのコピーみたいなのしかできなかったけど。

 だから、“料理人”に教えてもらわなくても、

 美味しいマヨネーズを作る自信がある。



『ほお。作ってみましょうか』


 僕は二人ににレシピを説明する。


『まず、卵に塩と酢を入れてよくかき混ぜる』


『そこに油を少しずつ垂らしてよく混ぜる』


『クリーム状になったらできあがり』



『なかなかコクのある、でもサッパリとしたドレッシングですね』


『うん。それは基本的な作り方なんだよ。ここからが大事。素材はもっと吟味しなくちゃいけないし、あと、辛子とか胡椒とかも入れたいね』


『お坊っちゃま、これも“料理人”の教えですか』


『うん、そうだよ。ただ、少しマヨネーズをチューンしていきたいんだよね』


 僕はプロじゃない。

 料理技術はない。

 でも、プロと違うことは、コストを考える必要がない。

 つまり、素材だけはいくらでも贅沢ができる。


 僕は、どんどんマヨネーズを改良していった。


 ・卵

  鶏に似たヘンシェン鳥の卵を使う。

  黄身の部分のみ使用。


 ・油

  なるべく癖のない植物油を使用。

  この国では植物油といえば、オリーブオイル。

  しかし、オリーブオイルは主張が強い。

  もっと穏やかな菜の花油とかひまわり油を使う。

  もちろん、新鮮なやつだ。


 ・酢

  これもマイルドな味の酢を使う。

  この国ではワインビネガーが主流だが、

  リンゴ酢を使う。


 ・からし

  イエローマスタードシードを使用。

  これ以外に選択肢がない。


 ・醤油

  隠し味に使いたいが、現状では醤油は見つからない。


 ・その他

  砂糖、塩、レモン汁。


 それらを適宜混ぜてみると。


『さすが、祝福されたドレッシングだけありますね!むちゃくちゃ美味しいじゃないですか』


『うん。最初の基本のマヨネーズはさっぱりしてて個性がなかったけど、こっちは存在感があるでしょ』


『ええ。マヨネーズだけでもペロペロが止まらんです』


『食べすぎないようにね。適宜なら薬になるけど、食べ過ぎると肥満になるよ』


『肥満だなんて、私達もお金持ちっぽいですね』


 この世界の人の肥満に対するイメージは2つある。


 1つは、財力の証明。


 9割以上はその日ぐらしの人々ばかりで、

 満足な栄養をとれない。

 だから、たいていは痩せている。


 太っているということはお金持ちだからであって、

 みんな嫉妬しつつも、羨ましいのだ。


 もう一つは怠惰の証明。

 剣士や魔導師で太っている人はいない。

 太っていると、鍛錬を怠っていると見られ、

 馬鹿にされる。


 ◇


 マヨネーズは森の拠点の地下に新たなスペースを作って、

 そこで生産に励んだ。


『悔しいですが、マヨネーズだけはお坊っちゃまが作ったほうが美味しいですね』


『自画自賛するわけじゃないけど、やっぱり祝福のお陰かな。作り方は一緒なのにね』


 前世の自作マヨネーズよりも美味しくなっている。

 明らかに、だ。


『それに、坊っちゃんが作ったマヨネーズを食べると、なんだか体が元気になる気がするんですよ。でね、自分のステータスを見てみると、数字が大幅に改善しているんです』


『えっ、ホント?』


 確かに、僕の料理は強化効果のあることが多い。

 ハンバーガーが代表的だ。

 僕も自分のメニューを見てみた。

 確かに数字が増えている。


『更に+50?』


『ですね。かなりの強化効果ですね』


 僕の料理の強化効果は、

 ハンバーガのプラス100が最大。

 重ねがけはできない。


 でも、マヨネーズは効果を追加できる。

 つまり、ハンバーガー+マヨネーズは、

 100+50で150の効果アップが見込める。


 さすが、前世で一世を風靡しているマヨネーズ。

 凄いバフ効果だ。




ブックマーク、ポイント、感想、大変ありがとうございます。

励みになりますm(_ _)m

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ