メタボの友達、マヨネーズ
【メタボの友達、マヨネーズ】
さて、待望の砂糖が手に入った。
ハンバーガーや焼肉は美味しいものができる。
でも、物足りない。
ソースのバリエーションがないからだ。
塩かトマトソースしかない。
中でも、マヨネーズと醤油が欲しいところだ。
醤油は手間暇かかりそうなので、
マヨネーズ作りからとりかかることにした。
『ねえ、エレーヌとロベルト。新しいソースを作ろうと思うんだけど』
僕は習慣になった朝ハンバーガーの食卓で二人に提案した。
麦芽糖をシーナ糖に変えたフルグラも追加している。
ジュースはオレンジジュース、砂糖マシマシだ。
この世界の果物は砂糖を入れないと、かなり酸っぱい。
『ソースですか』
二人とは、料理のノウハウをできる限り共有している。
三人の誰であっても同じ料理を作れるように。
『ソースというか、ドレッシングなんだけどね。マヨネーズって、僕は名付けたんだけど、卵と油と酢で作るんだ』
さて、健全なジャンクフードを作るのに
大敵の一つ、マヨネーズ。
前世日本ではマヨネーズが好きすぎて、
マヨラーなる言葉が生まれた。
実は僕も根っからのマヨラーだ。
僕が小さい頃にはマヨネーズの容器をくわえていたぐらいだ。
僕は周りから散々からかわれたものだ。
何しろ、コーラにもかけていたから。
マヨネーズは飲み物だって思ってたもんな。
あれはやりすぎだったと反省している。
メタボ一直線だもの。
でも、マヨネーズが悪いわけじゃない。
量を誤らなければ、むしろ栄養的にいい面を持っている。
少なくとも、この世界ではスーパフード足りうる。
マヨネーズの自作については前世で散々してきた。
Q○マヨネーズなどの日本製のマヨネーズが圧倒的に一番。
でも、僕は既製品じゃなくて、
自分だけのマヨネーズが欲しくなってしまった。
色々研究したぞ。
Q○マヨネーズのコピーみたいなのしかできなかったけど。
だから、“料理人”に教えてもらわなくても、
美味しいマヨネーズを作る自信がある。
『ほお。作ってみましょうか』
僕は二人ににレシピを説明する。
『まず、卵に塩と酢を入れてよくかき混ぜる』
『そこに油を少しずつ垂らしてよく混ぜる』
『クリーム状になったらできあがり』
『なかなかコクのある、でもサッパリとしたドレッシングですね』
『うん。それは基本的な作り方なんだよ。ここからが大事。素材はもっと吟味しなくちゃいけないし、あと、辛子とか胡椒とかも入れたいね』
『お坊っちゃま、これも“料理人”の教えですか』
『うん、そうだよ。ただ、少しマヨネーズをチューンしていきたいんだよね』
僕はプロじゃない。
料理技術はない。
でも、プロと違うことは、コストを考える必要がない。
つまり、素材だけはいくらでも贅沢ができる。
僕は、どんどんマヨネーズを改良していった。
・卵
鶏に似たヘンシェン鳥の卵を使う。
黄身の部分のみ使用。
・油
なるべく癖のない植物油を使用。
この国では植物油といえば、オリーブオイル。
しかし、オリーブオイルは主張が強い。
もっと穏やかな菜の花油とかひまわり油を使う。
もちろん、新鮮なやつだ。
・酢
これもマイルドな味の酢を使う。
この国ではワインビネガーが主流だが、
リンゴ酢を使う。
・からし
イエローマスタードシードを使用。
これ以外に選択肢がない。
・醤油
隠し味に使いたいが、現状では醤油は見つからない。
・その他
砂糖、塩、レモン汁。
それらを適宜混ぜてみると。
『さすが、祝福されたドレッシングだけありますね!むちゃくちゃ美味しいじゃないですか』
『うん。最初の基本のマヨネーズはさっぱりしてて個性がなかったけど、こっちは存在感があるでしょ』
『ええ。マヨネーズだけでもペロペロが止まらんです』
『食べすぎないようにね。適宜なら薬になるけど、食べ過ぎると肥満になるよ』
『肥満だなんて、私達もお金持ちっぽいですね』
この世界の人の肥満に対するイメージは2つある。
1つは、財力の証明。
9割以上はその日ぐらしの人々ばかりで、
満足な栄養をとれない。
だから、たいていは痩せている。
太っているということはお金持ちだからであって、
みんな嫉妬しつつも、羨ましいのだ。
もう一つは怠惰の証明。
剣士や魔導師で太っている人はいない。
太っていると、鍛錬を怠っていると見られ、
馬鹿にされる。
◇
マヨネーズは森の拠点の地下に新たなスペースを作って、
そこで生産に励んだ。
『悔しいですが、マヨネーズだけはお坊っちゃまが作ったほうが美味しいですね』
『自画自賛するわけじゃないけど、やっぱり祝福のお陰かな。作り方は一緒なのにね』
前世の自作マヨネーズよりも美味しくなっている。
明らかに、だ。
『それに、坊っちゃんが作ったマヨネーズを食べると、なんだか体が元気になる気がするんですよ。でね、自分のステータスを見てみると、数字が大幅に改善しているんです』
『えっ、ホント?』
確かに、僕の料理は強化効果のあることが多い。
ハンバーガーが代表的だ。
僕も自分のメニューを見てみた。
確かに数字が増えている。
『更に+50?』
『ですね。かなりの強化効果ですね』
僕の料理の強化効果は、
ハンバーガのプラス100が最大。
重ねがけはできない。
でも、マヨネーズは効果を追加できる。
つまり、ハンバーガー+マヨネーズは、
100+50で150の効果アップが見込める。
さすが、前世で一世を風靡しているマヨネーズ。
凄いバフ効果だ。
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