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大型獣ー森猪は美味だった

【大型獣ー森猪は美味だった】


 こうして、意気揚々と帰り支度に取り掛かった僕たち。


『坊っちゃん、大型の獣が近づいています』


 ロベルトがいち早くレーダーに敵を捕らえた。

 僕もロベルトの指差す方向に集中すると、

 確かに、大きさが数mはありそうな敵がいる。


『私が囮になります。坊っちゃんは風刃で首切断を狙ってください。エレーヌは坊っちゃんの周囲警戒を』


『『了解』』


 僕とエレーヌは木陰に隠れた。

 そして、ロベルトが大声で囃し立てる。

 途端にブヒブヒ鼻息を荒くした獣がこちらに突進してきた。


『森猪だ』


 森猪は猪が森(魔素)に適応したもの。

 体長3mほど、体高は2m近くある。


 図体はでかいが、かなり脚が速い。

 時速100kmを越える。

 この森猪も、100m以上離れていたのに、

 僅か数秒で盾を持って構えるロベルトの前に迫っていた。


『風刃!』


 僕は風刃3連発を森猪の首めがけて発射した。


『グオ!』


 2発が命中。

 ただし、首を切断するまでに至らず。

 森猪は僅かに速度を落としたものの、

 そのまま直進した。


『!』


 ロベルトは見事に横っ飛びでかわすと、

 森猪は大樹に激突した。

 大樹は当たったところ辺りが見事に粉砕され、

 猪は脳震盪を起こしているのか、静止している。


『風刃!』

 

 間髪入れず、僕はさらに風刃3連発を放った。

 今度は3発とも命中。

 見事に首は切断された。



『坊っちゃん、お見事!』


『ごめんよ、一発で決められなくて』


『私も驚きました。こんなに大きい森猪は初めて見ました』


『僕の風刃って、太さ30cmの木でも切断できる。でも6発発射してようやくだなんて』


『ボスクラスだったんでしょうか』


『次回からはもっと気をつけるよ。とにかく、解体』


 僕は森猪に手をあて、吸血を行った。

 この大きさだと、吸血に30秒ほどかかる。

 あとは3人で内蔵を取り去った。


『森猪は肉の美味いことで有名です。熟成肉、期待ですね』


 熟成には2週間ほどかけた。

 重くて吊り下げるのが大変だった。


 僕の魔道具、送風・冷風魔道具があるので、

 部屋の温度はかなり低い。

 ほとんど水が凍りそうな温度だ。

 そこに強い送風をあてる。


 地下だからある程度の湿気がある。

 でも、水魔法魔道具で湿気マシマシ状態にして

 乾燥を防いでいる。

 これで、表面が殆ど乾燥しない。



 熟成肉はロベルトの言葉とおり、

 食べてみるときめ細かくて柔らかい。

 しかも弾力のある誠に申し分のない食感だ。


 肉には特有の臭みはない。

 野獣には珍しく脂肪が豊富で、脂肪に甘味がある。

 寝かしたこともあり、アミノ酸もたっぷりしており、

 旨味をたっぷり含んでいる。


『この森猪、すごい肉が取れたね』


『どうですか、500kgはありそうですね』


『マジックバッグに入れれば保管できるけど、周辺の村におすそ分けしたらどうかな』


『ああ、みんな喜びますね。ばーっと配りましょうか』



 肉は100kgほど残して周辺の村に配った。

 以前、麦を買った村だ。


『おお、今日は祭りですな!』


 引き止められたが、辞退して帰ってきた。

 一応、汚い格好をして変装したから、

 僕たちが誰だかわからないと思うけど。


『多分、朧気ながらバレてますよ。私達、立ち居振る舞いが庶民とは違いますから』


 まあ、そうか。

 王様の息子、下級ながら城勤めの貴族階級出身の二人。

 所作に現れてしまうよな。

 それに、服だってボロに見せかけているけど、

 質が良さそうだもの。



ブックマーク、ポイント、感想、大変ありがとうございます。

励みになりますm(_ _)m

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