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コンフィアマション・カトリーヌ

【コンフィアマション・カトリーヌ】


 カトリーヌは。

 彼女は卒業後、以前に話し合った通り、

 製薬・化粧品・香水部門を担当することになる。


 特に目玉の一つは、化粧品製造・販売の店だ。

 名付けて、

 コンフィアマション・カトリーヌ

 カトリーヌのチェックというような意味の古代語。


 共同代表として、エレーヌを抜擢した。



【拠点】


 超高級路線で始めることにした。

 場所は元貴族の別荘を改装。

 学園都市から馬車で数時間程度の距離にある。

 

 別荘とはいうものの、むしろ領地といったほうがいい。

 敷地は約2千ha。

 森林地約3百ha。

 公園地約2百ha。

 農地1500ha。


 ※2千ha=20平方km。

  山手線の内側の面積は約63平方km。

  大阪環状線内はおよそ30平方km。


 住居はまさしく田舎の大邸宅にふさわしい。

 お城のような大きさで、部屋の数がいくつあるのか

 わからないぐらいだ。


 もともと、前王朝時代の公爵の建物で、

 500年ほどの歴史がある。

 買い手がつかず荒れ放題になっていたのを

 僕が購入したのだ。


 王国領であったから、購入は容易であった。

 父上である陛下に話をつけるだけだったから。


 荒れ放題になっていたのは、

 ここに様々な凶悪魔物が住みついたからだ。

 レイスといった上級アンデッド系もおり、

 生半可なことでは浄化できなかったのである。


 もちろん、サクッと魔物は退治。

 そして、極力オリジナルを復元。

 適材適所に魔法で強化を行ったり、

 全ての窓は強化ガラスに取り替えたりした。


 

 この大邸宅は、僕たちの住まいにもなる。

 使用人も数十人に及ぶ。

 家事は極力魔道具化しているのだが、

 それでもそれだけの人数が必要なのだ。


 ただ、使用人の中には化粧品販売の従業員も含む。

 僕は、この場所をコスプレ喫茶のようにとらえ、

 使用人たちのうち女性についてはゴシックロリータの

 ファッションで統一した。


 ファッションはゴスロリ調だが、

 いくつかのパターンがある。

 これも僕の前世のイメージ記憶をもとにしたものだ。


 強く反応したのが、大蜘蛛のアレク。

 繊細で耽美的な装飾過多のスタイルが

 彼女の何かをいたく刺激したようで、

 人間の女性に変身し、日夜様々なバリエーションを

 打ち出すのに熱中している。

 もちろん、自分が着るためなのが第一。

 

 ゴスロリファッションは動きにくいとか暑いとかの

 不満があるそうだが、

 そのへんも対策はバッチリ。

 ここは魔法の世界なのだ。


 使用人にも事欠かない。

 選考はルックス第一。

 選考委員の一人であり、最も強い影響力を持つのがアレク。

 要するにアレク好みの女性が優先して採用される。


 アレクはなりこそ大蜘蛛なのだが、

 実は本当の姿は不定形らしい。

 元を正せば、自然のディザスターが具現化したものである。


 そして、破天荒な成り立ちにも関わらず、

 アレクは繊細で優美だ。

 趣味にも反映しているし、女性の趣味にも現れている。


 ※アレクは無性。


 この世界は美男美女の世界でもあるので、

 選び放題だが、

 まあ、見事なくらい美形が揃った。


 労働条件も非常にいい。

 給料、福利厚生、労働時間、その他労働環境は、

 前世日本と比べても優良企業だろう。


 何より、ここでは社食が僕たちの料理だ。

 そして、最先端のファッションに包まれ、

 長い歴史を誇る大邸宅での仕事。

 彼女たちの健康、特に肌チェックは

 細密になされ、美しさが磨き上げられていく。


 当然、猛烈な競争率になる。


 採用されるのも、貴族の子女ばかり。

 別に差別しているわけではない。

 貴族の子女には教育・教養がたっぷり仕込まれている。

 所作が一般人とは全然違う。



【コンフィアマション・カトリーヌ】


 さて、カトリーヌの店。

 会員制販売とした。

 高額な入会金とそれなりの人物による推薦が必要だ。


 この場所にくるのも、馬車でくることになる。

 来場にあたっては、予約が必要で護衛付きとなるが、

 実は地中に黒狼を潜り込ませている。

 しかも4体。


 この黒狼の気配を察して、

 魔物・魔獣のたぐいは寄ってこない。

 寄ってくるのは、山賊とかであるが、

 そういうのは早々に排除される。

 馬車の中の人は危険な気配に一切気づかない。



 施術は利用者の肌のチェックから始まる。

 肌のチェックは魔道具。


 お肌のキメ、シミ、油分、肌色、角質、毛穴、

 目尻のシワ、水分の8項目を解析するのだ。


 肌を撮影し、健康な肌との比較画像を

 拡大して見せられると、全ての人がのけぞる。


 その後、既存の化粧品を使った場合の

 恐ろしさをレクチャーする。

 水銀・鉛その他の重金属中毒の結果を

 画像にして見せるだけで十分な効果がある。


 そして、健康的な肌とは。

 実例が周りにたくさんいる。

 カトリーヌを始め、使用人は肌が綺麗なものばかり。

 さらに、そこに磨きをかけている。


 彼女たちがほぼノーメイクであることを知らされると、

 全員が大いに驚く。


 そこまでして施術だ。


 ただ、化粧品や薬を使ったからと言って、

 一朝一夕に肌の美しさが戻るものではない。


 利用者には1週間ほど屋敷に住んでもらう。

 そして、例の魔力枯渇法と早朝のランニングをしてもらう。

 即座に特製のジュースが配布されるので、

 苦しさはすぐに喜びにつながる。


 苦しみはそのぐらいで、

 温泉には入り放題。

 温泉から出れば、エステ、マッサージ。


 朝昼晩は、ラテンス・ロコから直送した料理。

 その間は、フード・コートで流すビデオ。

 トランプ、ルーレットなどの遊戯は豊富にあり、

 画像満載のファッション雑誌とか、

 その他書籍・漫画なんてのもある。


 気が向けば、庭園は素晴らしい美しさだ。

 ティータイムを東屋で行う。

 退屈する暇がない。


 一週間もすると、以前と見違えるほど美しくなる。

 肌が綺麗になるとともに、

 表情に明るいオーラ満載となるのだ。


 無論、アフターケアもぬかりはない。



 店の利用者が人々に与えた衝撃は

 押してしるべし。


 王国の美の基準が一瞬にして変わった。

 本人を目の前にすれば納得せざるを得ない。

 光り輝いているのだ。

 肌の美しさがこれほどまでにルックスに影響を与えるのか。


 健康的な明るさを知ってしまうと、

 旧来の厚化粧には醜悪ささえ感じるのだ。



 この化粧品販売で成功した後は、

 一般向け化粧品の販売も行った。


 ブランディング⇒一般展開という、

 食堂パターンを踏襲したのだ。


 当然、カトリーヌの名前は、

 その美貌とともに王国に広がることになった。


 貴族・富裕層の女性を仕切るカトリーヌ。

 後年、女帝と呼ばれるようになるのであった。



【コンフィアマション・カトリーヌ取り扱い製品】


 カトリーヌの店で研究・販売する製品は3種類。

 1 化粧類

 2 石鹸類

 3 医薬品


 

【石鹸類】


 こちらはエレーヌが担当する。

化粧品同様、魔道具にて髪質チェックをして、

 それに見合った石鹸をオススメしている。


 オイルもオリーブオイル、ココナッツオイル、

 グレープシードオイルなど多様な選択肢があり、

 グリセリン、魔石水溶液の有無も選択できる。

 

 機能性石鹸もあり、

 抗菌・殺菌、肌荒れ防止、消臭機能を強化した

 石鹸もある。


 泡タイプのハンドソープも好評だ。

 泡の仕組みはシンプルだ。

 この世界にもポンプが発明されている。

 それをハンドソープに応用する。

 ポンプの途中に網状の金具をつける。

 きめ細かいシャボン玉が出てくる感じになる。



【薬】


 従来の回復薬や各種異常回復薬は

 カトリーヌの製法チェックを受けてより強化された。


 ただ、回復薬にせよ、回復魔法にせよ、

 傷や状態異常にはめっぽう強いのだが、

 感染症には効き目が強くない。



 そこをブレイクスルーしたのが、

 菌類の研究だ。


 もともと、酵母菌の研究が始まりだった。

 

『そういえば、化膿に効く薬は青カビから作るんだっけ』


 と、前世の曖昧な知識を披露したことが始まりだ。

 それをエレーヌが拾い、

 おそらく前世のペニシリンの類似物質を発見した。


 前世のペニシリンとは同じではないだろうが、

 ペニシリンと名前をつけた。

 抗生物質だ。


 ただし、万能ではない。

 細菌感染にしか効果がないし、

 細菌の種類も限定している。


 とりあえず、ペニシリンは肺炎、破傷風、結核に効く。

 化膿止めとして、

 冒険者ギルドにはなくてはならない薬となった。



 現在は様々なカビを培養して、

 効果的な抗生物質の発見に努めている。


 膨大な量になり、

 エレーヌやカトリーヌだけでは手が足りない。

 だから、ここには10名程度の研究員を投入している。



 なお、

 カトリーヌには2年生時に初級回復魔法が発現した。

 その後、料理強化を+200にして過酷な訓練を課した。

 次の年には上級回復魔法を発現するまでになった。


 ペニシリンを発見、臨床するうちに、

 同じ上級回復魔法師のエレーヌとともに、

 ペニシリン魔法を取得した。


 ただ、この魔法が発現する条件として、

  病気を薬で直す

 という経験が必要であった。

 逆にいうと、薬の効能外には役に立たない。


 例えば、化膿をペニシリンで直す。

 すると、次回からは化膿を魔法で直せるようになる。

 しかし、それ以外の感染症にはまるで役に立たない。



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