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凶暴なヘンシェン鶏2

【凶暴なヘンシェン鶏2】


 さて、ヘンシェン鶏戦だ。

 前にも言った通り、油断するとかなり危ない。


『坊っちゃん、見なくてもわかりますね』


『ああ。鶏の鳴き声がうるさい』


 ヘンシェン鶏というだけあって、

 前世の鶏のようにコケコッコーが鳴り響く。

 100m強ほど向こうに鶏が集団でいる。


 僕たちは風下から慎重に近づいていった。

 鶏はかなり敏感な嗅覚を持つという。


『50mほどまで近づきました。後ろを大樹でカバーして、三方を盾で囲いましょう』


 僕たちは陣形の打ち合わせをし、

 魔道具ソリッドエアをオンにした。


『発射!』


『ギャー!』


 ロベルトが弓を集団に向けて射掛けた。

 途端に騒がしくなる鶏たち。

 すぐさま、鶏は空を飛び始めた。


 ただ、10秒程度の対空能力しかない。

 だから、木に伝わりながら、こちらに近づいてくる。


『風刃!』


 僕はさっそく迎撃を始める。

 

『坊っちゃん、その風魔法、C級冒険者以上の威力はありますよ』


 ロベルトはそう褒めてくれる。

 だから、上機嫌で、


『風刃!』『風刃!』『風刃!』


 って使いまくっている。


 僕は、風刃を同時に5つ発射できる。

 連射も1秒で5つぐらいなら大丈夫だ。

 さらに風刃が敵を追尾するようになっている。



『お坊ちゃま、一流の魔道士みたいじゃないですか』


『えへへ。大分使えるようになってきたね』


 僕は得意満面だ。

 頭脳についてはともかく、

 前世日本の記憶のある僕としては、

 魔法というのは厨2が疼きまくるのだ。

 褒められると、素直に嬉しい。


『それにしても坊っちゃん、もうB級クラス越えてますね。なんですか、そのしつこい風魔法は』


『ホントですよ。私も追尾するなんて見たことないです』


 ロベルトもエレーヌも褒めるのか呆れるのか

 分からない顔をしている。

 自分でも、この追尾魔法は凄いと思う。


 そうこう言っているうちに、

 ヘンシェン鶏の集団は迎撃してしまった。


 この集団は30羽ぐらいしかおらず、

 迎撃は難しくなかった。

 何羽かは僕たちのところまで近づいたが、

 盾の防御力は強く、鶏の攻撃をまるで寄せ付けなかった。


 ◇


『お坊ちゃま、私の出番がありません』


 そうむくれるのはエレーヌだ。

 エレーヌも一通りの狩りの経験があるが、

 僕が殆ど一人で狩ってしまい、することがない。


『坊っちゃん、私も腕を磨きたいですぞ』


 この二人は弓の実力がそれなりにある。

 だが、魔法は初心者の域を出ない。


 ところが、ハンバーガーの効果により、

 魔法の威力が爆上がりしていた。

 それに気づいた二人は、

 嬉々として魔法の練習をしているのだ。


『じゃあさ、ヘンシェン鳥は二人が魔法で狩るってのでいいかな?近づいてきたら、僕も参加ということで』


『『了解です!』』


 盾の優秀さが実証されたので、

 僕たちには随分と余裕が出ていた。

 

 当初は、30M離れていると二人の魔法が届かず、

 悔しい顔をしていたのだが、

 少しずつ飛距離を飛ばしていった。


『魔法の才能は諦めてたんですけど、ハンバーガーのお陰ですか、少しずつ才能が伸びているのがわかって楽しいです!』


 エレーヌは興奮している。


『ですな。私も魔法はサッパリでしたが、冒険者時代の仲間に笑われない程度には威力が出てきました』


 この世界、魔法が使えるのとそうでないのとでは、

 人の扱いが違う。


 確かに魔法はほぼ全員が使える。

 しかし、生活魔法程度だ。


 火魔法 いわゆるチャッカマン

 水魔法 手を洗えるぐらい

 風魔法 そよ風を送れるぐらい

 土魔法 なにそれ?


 こんな感じなのである。


 魔法を実践に使える人材は100人に一人ぐらいだ。

 だから、強い攻撃魔法を放てるようになった二人が

 喜ぶのは当然なのである。


 ロベルトもエレーヌも魔法の習熟度がどんどんあがり、

 やがては30M程度なら命中率はほぼ100%、

 今は50M程度に距離を伸ばしている。


 こうなると、魔道士の見習いぐらいには達している。



ブックマーク、ポイント、感想、大変ありがとうございます。

励みになりますm(_ _)m

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