歩きスマホをしていたら転生した
歩きスマホには気を付けましょう。
わたし、有城須磨穂。ちょっとドジだけど元気で明るい高校1年生。
趣味はネット小説を読むこと。
買ってもらったばかりのスマートフォンが嬉しくて、登下校中もずっとお気に入りのネット小説を歩きながら読んでいた。
そして・・・・・
気が付いたら、さっき読んでいたネット小説の世界に転生してました。
読んでいた小説の名前は「転生したら悪役令嬢だった件」。
乙女ゲームをモデルにして書かれた悪役令嬢モノの小説だった。
乙女ゲームのヒロインの名前は、セーラ。平民として暮らしていたけど、魔法の才能があるってことで、男爵家の養女になったありがちなヒロイン。でも、明るく天真爛漫な性格で、攻略対象をメロメロにしちゃうというあり得ない設定(でも、よくある設定)。
そんなヒロインをいじめ抜くのが、悪役令嬢イザベラ。
公爵令嬢として生まれ育ったプライドの高い自己中心的なお嬢様。
甘やかされて育ったので、自分の思い通りにいかないことがあっても、手段を選ばず、財力と武力でもって願ったとおりにしてきた。
そんなイザベラでも思い通りにできなかったのが、セーラに対する攻略対象たちの恋心ってわけ。
それで、イザベラの怒りが爆発して、セーラに対する苛烈ないじめにつながった。
といっても、持ち物を壊したり、服を破ったり、罵詈雑言を浴びせたり…少なくとも身体的な暴力だけは振るわない、という設定だった。
しかし、そのイザベラに転生した元日本人が、知っているゲームのストーリーを先取りして、セーラが攻略するはずのヒーローたちを攻略していくという、ありがちな小説が「転生したら悪役令嬢だった件」だ。
舞台設定としてもなんちゃって中世西洋風の世界観、はっきり言って、ネット小説を読みまくっていた私としては、ありきたりすぎて覚えてもいられないような小説だったはずだ。
だけど、この小説は私が死ぬ直前に読んでいた小説だったので、嫌でも覚えていたらしい。
気が付いたのは悪役令嬢イザベラが4歳の時だった。
攻略対象の一人、第一王子のアルバートと婚約者候補の一人として悪役令嬢であるはずのイザベラが引き合わされたとき。アルバートって名前もよくありがちで、外見も金髪碧眼でよくありがち。そんなんでよく気付いた、私!!ってくらいだけど、何しろ死ぬ直前に読んでいた小説だから、気づくことができた。これは「転生したら悪役令嬢だった件」の世界だって。
それだけでは「転生したら悪役令嬢だった件」の世界だとは特定できないって?
元の乙女ゲームの世界である線も否定できないって?
確かに。
けれども、私には、ここが小説の世界だと確信する決定的証拠があった。
悪役令嬢イザベラが、第一王子アルバートを見て、ありがちな感じで大声で叫び、気絶したのを目撃したからだ。
え?私は何に転生してたのかって?
歩きスマホ中にトラックに轢かれて死んだ私らしい転生先だった。
歩きスマホは危ないですよ。
約束は守りました。




