表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

無限の夢幻

作者: 莉雨

私は、夢の中で彼と出逢う

沢山のビルが立ち並ぶ、そのビルの屋上場所で                                                                



                                 

そこにいるのは私と彼だけ

いつも彼は哀しそうな顔をして立っているのに

私がいる事に気がつくと、私に笑ってみせる

そんな彼を見るのが、私は哀しくて、辛くて

私は必死に彼に向かって何かを叫ぶ

なのに、思った言葉は叫ばれることなく・・・






そこで目が覚めた。

いつからか、毎日見るようになった、不思議な夢。

夢の中に出てくる男の子も、その場所も、私にはまったく覚えがない。

これは私が作り出した空想なのか何なのか。また何の意味を表すのか。

私は何も知らず、また、何も分からなかった。






   出逢う前から知っていた・・・――






トクン


心臓がはねる。目の前に、彼が立っていた。


「今日は何処に行こうか」


いつもの夢の中とは違い、笑顔で彼はそう言った。

そんな彼を見て、私は何故だかとても嬉しくて。


「この前新しく出来たテーマパークにしようよ」


何故だか、口が勝手にそう言っていた。

いいよ、行こうか。

そう彼が言って、私たちは手をつないでそのテーマパークへと向かう。

何だか、普通のカップルみたいだな、って思った。


「ねぇ」

「何?」


彼に話しかけようと思って、声をかける。

彼は振り向き、そして・・・。

声が出ない。視界がぼやける。

何で?

そう思ったら、見慣れた天井が映し出された。


「夢・・・か・・・・・・」


なんだか今日は、いつも以上にリアルだったな、と思う。

それとも単に、いつもと違っていたからそう感じただけなのかもしれないけど。

そう、今日見た夢は初めてだった。

今まで見ていたのは、毎回まったく同じ夢。

初めて、彼の笑った顔を見た。彼の、笑った、顔。

思い出したら、また、心臓がはねた。


「貴方は、誰?」


そう問いかけても、もちろん答えてくれる人はいない。

それから、新しい夢をいくつも見た。

でも。

いくら夢を見ても、何も分からず。

彼は、彼のままだった。





 

   夢の中の思い出だけが増え、

   私の心は彼で埋まる―――






ある日。

私の転校が決まった。

親の転勤で、引っ越すことになってしまったのだ。

今まで、ずっと一緒に学校に通っていた友達も大勢いるこの町から離れてしまうのは、とても寂しいことだったけど、私一人ここで生活するわけにも行かない。

私は生まれ育った町を旅立った。


新しい街は、以前の町よりも都会で、高いビルも沢山並んでいた。

車の中で、

こんなに沢山ビルが立ち並んでいるなんて、慣れないわね。

そうお母さんが言ったけど、私はそうは思わなかった。

すごく、見慣れた景色。

ここは、夢の中の世界だった。






「昨日のドラマ見た?先週見るの忘れてたら、展開が変わりすぎちゃっててびっくりしたよ」


いつのまにか、彼が隣に座っていて、私に話しかける。

それから、私たちはたわいのない会話を繰り返した。






「起きて。もう家に着いたわよ」


そのお母さんの声で目が覚めた。

私はいつのまにか眠っていたらしい。

彼は、何処にもいなかった。






   私は夢の世界にやって来た






新しく転校した学校。

少し心配だったけど、上手くクラスになじめたと思う。

気の合う友達も出来た。

その友達と、話しながら廊下を歩く。私は、前を見ていなかった。

思いっきり、誰かとぶつかる。

身体がその衝撃に耐えられず、思わずこけそうになるところを、腕を掴まれ、何とかとどまった。


「ごめん、大丈夫?」

「ごめんなさい、前を見てなく・・・」


驚いた。

目の前には、彼が立っていた。






   夢と現実の境界線が薄れる

   ――これは夢?それとも・・・・・・






彼は、同じ学年で隣のクラスの人だった。

あれから、何度か話をし、一緒に遊びに行ったりしている。

俗に言う、付き合っている状態なのかもしれない。

夢の中での事があるせいか、彼とは始めて会った感じがせず、

また、夢で見た出来事も度々起こっていた。


あれは、予知夢だったのかな?


最近は、めっきり見る回数が減ってきたその夢を、私はそう思っていた。

彼との生活は幸せだったし、そうだと分かったことで安心していたのか、次第にその夢の事は気にしなくなっていた。

携帯の、着信音がなる。

彼からの電話だった。

私たちがたまに行っているビルの屋上に、今いると言う。

急な呼び出しだったけど、私は暇だったし、彼に呼ばれるままそこに言った。

そして、辿り着いた私の目の前で、彼は――






私は自分の部屋にいた。

携帯電話を見れば、「着信あり」の文字。急いで家を飛び出すと、そのビルの屋上に向かう。私がついた時、彼は、屋上のフェンスの外にいた。

私は彼を止めようと、必死に叫ぶ。

なのに、声がでなかった。


彼は、振り向いて、私に気がついたのか、哀しそうに微笑む。


何で?何がどうなってるの?


私が駆け寄るより先に、彼はそこから・・・






私は、ビルの屋上に一人立ちほうけていた。


彼は、いない。


ビルの下を見下ろすことは恐くて出来なかった。

その場から一歩も動けず、ただ、頬を涙が伝う。


ガチャン


その時、屋上のドアが開いた。


「どうしたの?」


彼が、そこには立っていた。

嗚呼、これが現実?それとも夢?

目の前に立っている彼は、いつもと変わらない彼に見えて。

夢なのか、現実なのか分からなかった。


「大丈夫?何で泣いてるの?」


慌てたように彼は私の元へ来て、涙を拭いてくれる。

その暖かさは、生きている温もりで・・・。


「これが、現実・・・」


私は、考える事を放棄した。

彼がここにいて、私と一緒にいる。

それだけが、今の私にとっての現実だから――。






今でも毎日、彼との夢を見る。

その彼はもう冷たくて、動いてはくれないけど。

その彼の隣で、私は静かに眠りにつくのだ。





 ただ彼と、その温もりをなくさないために――・・・




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 悪くはないのですが、大量にある類似作に比べて、上手でないと思います。もっと、現実に彼が登場するところをはっきり描写する思い切りの良さがほしかったです。その後で、また夢にするかは、あなた次第で…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ