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世界仮面革命

作者: 歩共あるま

読了後、どんな感想を持つのか、肯定か、否定か、それは個人の思想だと私は思います。

「世界では同時に仮面をつけることになりました。それを何と呼びますか? じゃあ伊藤君、答えて」


仮面をつけた【教師】らしい人がそう言って仮面をつけたクラス全員に言いながら、特に最前列の男子生徒を指名した。【伊藤君】らしい生徒はまるで1+1=と聞かれたように間髪入れずに答えた。


「世界仮面革命です」


「そうだ。素晴らしい!」


【教師】らしい人は続けて隣の【金田さん】らしい人を指名した。


「では世界はこれによって何を手に入れましたか?」


彼女もまた石のような笑顔を顔に張り付けたまま即答する。


「平等と協調性です」


「そう! そうです! さぁ皆さん二人に拍手!」


まるでミュージカルでもしているように【教師】らしい人は大げさに手を叩いた。


「世界仮面革命によって人々は皆平等になりました。皆が同じであるからこそ見た目の格差は消え、不機嫌な顔をして協調性を乱す迷惑な人は消えたのです! そう、世界に笑顔の花が咲いたのです! それだけではありません! さらに世界仮面革命によって」


私は机の下で拳を握り締めながら仮面越しに外を見た。


狭い視界の中を飛んでいく鳥達。翼を傾け、空に円い軌跡を描く。その姿を目で追う。


「坂下! どこを見てるんだ。授業中だぞ!」


私はハッとして前を見た。私以外の全ての仮面が向いている。


「坂下はこれから生徒指導室で補習! 他の者はここまで」


その言葉通り、私は【教師】らしい人に生徒指導室に呼び出された。席に着くと【教師】らしい人は私に真っ白な一枚の紙を差し出した。


「どうして呼ばれたのかわかるな」


そう言いながらも、目の前の顔は固まった笑顔を浮かべている。


「世界仮面革命は素晴らしい世界の誇りなんだ。そんな大切な事をきちんと聞かないのは問題だぞ。それに、その態度は世界仮面革命に対して反感を持っているようにも見えてしまう。それじゃあ世界仮面警察に捕まってしまうぞ。それは坂下だって嫌だろう? だからほら、今回は簡単な補習だ」


そう言って【教師】らしい人はもう一枚紙を差し出した。そこにはこう書かれていた。





世界仮面革命によって世界は平等と協調性を手に入れました。世界が誇る素晴らしい革命だと私は思います。





【教師】らしい人は先に差し出した真っ白な紙を軽く叩いた。


「この紙にこの文章を50回書きなさい」


私は紙から【教師】らしい人に勢いよく目線を移した。


「50回……?」


「そうだよ。今回はそれで世界仮面警察に連絡するのは止めておこうと言っているんだ。本当はこんなことしたくないが、これだけで多めに見るから真剣に取り組みなさい」


優しい声とは裏腹に、その内容は十分に私を困惑させた。


「せ、先生。先生は違いますよね。本当は分かってるんですよね。授業ではそう言ってたけど、でも大人なんですから」


声が震えた。分かっているのだ。それは罪だと。これ以上は言ってはならないということも。


「何が、かな?」


「世界仮面革命の事です。こんなの、何かおかしいと思いませんか? 先生は平等になったって、協調性ができたって言うけど、でもこの革命は一人一人の個性を――」


「坂下!」


その声は先ほどの穏やかなものとは打って変わり、声が大きいというだけではなく怒声に限りなく近かった。


 その時、ふと扉が開いた。


「あ、教頭先生」


仮面をつけた【教頭先生】らしい人はゆっくりとした足取りで入ってくるとそっと私の傍にやってきた。


「廊下にまで聞こえる大きな声を出して、一体どうしたのかね?」


【教師】らしい人は慌てて首を横に振った。


「いえ、問題ありません。大声を出してしまい失礼しました」


「いや、わかっているならいいんだよ。ねぇ、君も、わかっているよね?」


【教頭先生】らしい人はそれだけ言うと静かに生徒指導室を後にした。足音が遠ざかっていくと、【教師】らしい人は急に穏やかな声に戻って言った。


「それは、本心じゃないよね?」


私は息を整え、落ち着いて言った。


「皆思ってることですよね。だって、大人でしょう。お父さんもお母さんも」


「坂下、黙りなさい」


「仮面をつけているけど本心では絶対こんなの間違ってるって思って――」


「黙りなさい! それ以上言うと世界仮面警察に通報するぞ!」


嘘でしょう? 正直な気持ちだった。この人は、本心から思っているのだと。


「君のそういう態度が問題なんだ。世界仮面革命によってどれほどのものが得られたと思う? 君のように反抗的な態度の生徒は本当に久しぶりだ! 一体どういう教育を受けているんだ!」


「両親のことを悪く言うのは止めてください!」


【教師】らしい人は鼻で笑った。


「100回だ」


呆気にとられる私に【教師】らしい人は言った。


「100回きちんと書けば今回のことは大目に見てやる! さっさとやれ!」


私は鞄の中から筆記用具を掴み、ペンが折れるほどに強く握った。紙が破れるほど強く文字を書いた。




世界仮面革命によって世界は平等と協調性を手に入れました。世界が誇る素晴らしい革命だと私は思います。




下唇を噛んだ。口の中に血の味が広がった。




世界仮面革命によって世界は平等と協調性を手に入れました。世界が誇る素晴らしい革命だと私は思います。




ペンを持つ手が震えた。




世界仮面革命によって世界は平等と協調性を手に入れました。世界が誇る素晴らしい革命だと私は思います。




視界がぼやけた。




世界仮面革命によって世界は平等と協調性を手に入れました。世界が誇る素晴らしい革命だと私は思います。




【教師】らしい人は立ち上がり、生徒指導室の扉を閉めると同時に衝撃のような音が響いた。




世界仮面革命によって世界は平等と協調性を手に入れました。世界が誇る素晴らしい革命だと私は思います。




私は拳を握り締め、声を押し殺し、一度だけ机を叩いた。手が痛んだが、気にはならなかった。









 目を伏せたまま家にたどり着くと、既に両親が揃っていた。


「あら、遅かったわね。勉強? 無理しすぎないでね」


停止したままの笑顔を張りつけてお母さんは出迎えてくれた。リビングからお父さんも同じ止まったままの笑顔を覗かせた。


「そうだぞ。今は風邪が流行ってきてるんだから気をつけろよ。風邪なんて引いたらお父さん、会社休んで添い寝しちゃうからな」


「もう、娘に何言ってんのよこの人は」


「そうだよ。風邪うつっちゃうじゃない。ねぇ」


お母さんが笑うのに合わせる事もなく、自然と笑みがこぼれる。2人は仮面こそつけているがその声に感情が乗せられていた。いつだってそうだった。


「あぁ、やっぱり我が家だぁ!」


胸の中に満ちた感情を吐き出すようにしてそう言うと、両親は顔を見合わせてから笑いだした。


「何言ってるのよ。ほら、ご飯にしましょう」


お気に入りのエプロンのポケットから垂れているタオルで手を拭きながらお母さんはそう言って手招きした。


「真美、今日は鍋だぞ!」


お父さんも嬉しそうに手招きしてくれた。


「やった!」


そう言いながらも、私は両親を侮辱されたことが悔しくてならなかった。いつだって両親は私のことを見ていてくれた。いつだって愛情をくれた。仮面なんてなければよかったのに。なければお父さんとお母さんの素顔だって見れたのに。私の素顔だって見せるのに。仮面を取れば、世界仮面警察に逮捕されてしまう。一体、誰がこんなことをしたって言うんだろう。


「真美、早くしないとお父さんが全部食べちゃうよーん」


私はハッとしてリビングに駆けて行った。





 鍋を食べ終え、今日の出来事をお互いに話し合っていた頃、ふとお父さんが私の方を向いた。


「真美、心配してることでもあるのか?」


「え?」


お母さんもまた優しく声を掛けてくれた。


「そうよ。なんだかいつもと違うなって思ってたの。何かあったの?」


目が熱くなってきた。


「お父さん、お母さん……」


声が震えた。


「今日、さ……。学校で先生に呼び出されたの。世界仮面革命に対して反抗的だとか言われて、「世界仮面革命によって世界は平等と協調性を手に入れました。世界が誇る素晴らしい革命だと私は思います」って百回紙に書かされたんだよ。お父さんとお母さんからどんな教育を受けてるんだって言われたの。大人なんだから気づいてるって思ってた。だって、おかしいでしょう? 平等と協調性が得られたって言うけど、個性が無くなっただけじゃない。皆同じような仮面をつけてるなんて、おかしいじゃない。本当に、先生があんな人だと思わなくて――」


「それを学校で言ったのか?」


突然低くなった声に、私は恐る恐る両親の顔を見た。固まったままの笑顔を見比べるように、右へ、左へ目線を動かした。


「そんな事を学校で?」


それは同意というよりもむしろ、非難だった。


「え……?」


両親は顔を見合わせた。




マサカ、セカイカメンケイサツニツウホウサレテナイデショウネ




オレタチガソンナコトヲオシエタトオモワレテルンジャナイダロウナ




ワタシタチ、ダイジョウブヨネ




オレタチ、ダイジョウブダヨナ




消えていく。冷たくなっていく。私は、一体何を見ていたのか。希望が、温もりが、あったはずのものが、信じていたものが、崩れていく。そして、こみあげてくる。怒りも、悲しみも、悔しさも、そして失望すらも。


「お父さんとお母さんは素顔を見たいと思わないの?」


2人は私に目線を移した。


「思わないに決まってるでしょう。何を言ってるの? 真美」


「そうだ。見たくないに決まってるじゃないか」


これが、私の信じた人達だ。


「どうして?」


その問いに対し、2人は笑っていった。



「そんなの決まっているじゃない」




「そんなの決まっているだろう」




「「見る必要がないからだよ」」




その瞬間、私は自分の仮面を強く掴むと、床に叩きつけた。胸の奥底が冷たくなっていくような感覚になった。2人に対して心を留めていた何かが折れたような気がした。


 驚く両親をよそに、私は家を飛び出した。




 夜道をただ走った。感情がぶつかり合って、一体何に対してか分からない涙が目から次々に零れ落ちていく。


「あの子、仮面をつけてないわ!」


「一体どういうつもりなのかしら」


うるさい! うるさい!


冷たい視線も、冷たい言葉も、腹立たしいだけだった。ただの買い被りだったと今になるまで気づかなかった事が何より悔しかった。皆信じているのだ。この世界は仮面によって平等と協調性が生まれたのだと。世界が誇る素晴らしい革命なのだと。


しばらく走った頃、目の前に立ちふさがる姿があった。


「お前を仮面法違反で逮捕する」


世界仮面警察はそう言って私に近づいてくる。


 もう手遅れなんだ。この世界でおかしいのは皆じゃなくて、私。この世界で私は、独りぼっちだ。

 悲しみも、絶望も、頬を伝って落ちていく。唇を噛むのをやめ、私は世界に対して精一杯の抵抗とばかりに叫ぶように言った。


「逮捕したいならすればいいじゃない! 逮捕すればいいだろ!」


私は、私だ。仮面をつけて笑っているなんて、私じゃない!


いつの間にかどこの放送局なのか、カメラを持つ女とガンマイクを持った男も増えている。その女はより大きく私の顔が映るように、そして男は声がはっきり撮れるようにすぐ傍までやってきて撮っている。


二人の長身の警察は私の腕を掴んだ。


「来なさい。現時点をもってお前を仮面法違反として逮捕する」


私はそのカメラに向かって想いの全てをぶつけてやった。


私が騒ぐ声に、周囲の家のカーテンが開いた。家から出てくる人の姿もある。それは心配そうに見るというより、頭おかしい人間を笑うようなものだった。


「静かにしなさい。ほら、乗って」


私は世界仮面警察と書かれたワゴン車に押し込まれた。ワゴン車の中には先ほどのカメラとガンマイクを持っていた男女も一緒に入ってきており、警察2人は乗り込むなりすぐに発車させた。後部座席に乗り、揺られていると次第に心は落ち着いてきた。


 これからどうなるのだろう。これからどんな生活になるんだろう。


 そんな不安と、全て失ってしまったのだという悲しさがこみあげてきた。私は本当に両親の子供だったのだろうかと思えてならない。ここまで考え方が違うのだ。私は今まで分からなかった。素顔を見る必要がないなんて、それは個人を見る必要がないのと同じじゃないか。相手のことを見る必要がないって、表だけの関係でいいんだってことじゃないか。


 ふと見上げると、そこにはダイヤモンドを散りばめたような美しい夜空が広がっていた。渦巻いていた負の感情はあっという間に消え、ただ初めて見る広大な空を目に焼き付けた。


「空は、こんなに広かったんだ……」


仮面をつけなければこんなにも世界は広く見える事も、顔に冷たい空気がぶつかる感覚も、涙の筋が冷たくなる事も、何より仮面がないと言うだけでこんなにも世界の見え方が違うという事を生まれて初めて知った。不安も、悲しみも、その全てが浄化されていくような感覚だった。いいのだ。これでいい。誰が何と言おうと、私はこれでいいんだ。


「君は仮面をつける気はないのかい?」


不意に運転していた警察の男が尋ねてきた。隣に座っていた女はもうきちんとカメラを回している。私は運転手の男を見て堂々と答えてやった。


「絶対につけない」


全員が正しいと言うことも間違っていることはある。皆がやっているから正しいなんてそんなことはあり得ない。誰しも間違うことはある。それは人間だからだ。私達が人間だからだ。


「私一人が今間違っていると言われても構わない。頑固だって言われても、協調性がないって言われてもいい。それが私の個性だから」


すると、車は静かに道路の脇に寄って停車した。二人の警察は振り向くと突然仮面を外した。柔らかく、ゆっくりと動く暖かな笑顔を私は初めて目にした。優しい目元も、柔らかな肌も、変わっていく表情も。


あまりにも突然のことで、ただ目を丸くしているばかりだった私に二人は言った。


「素晴らしい。君のような強い意志を持った生徒に出会えて嬉しいよ、坂下」


興奮していてさっきまでは気づかなかったが、その声と話し方には聞き覚えがあった。


「先生……?」


「今日はすまないことをした。今の学校はかなり厳しく監視されているんだ。あぁしなければ坂下はあの後本当の世界仮面警察に捕まっていた」


「え? どういう、事……?」


理解が追いつかない。先生が、仮面を外している。どうして。警察じゃなかったの? そんな心の声に答えるようにもう一人の男が言った。


「俺達は世界仮面革命に対する反乱軍だ。それから」


そう言ってもう一人の男も仮面を外す。


「もう一つの顔は教頭先生だよ」


いつも聞いていたはずなのに、どうして気づかなかったのかが分からなかった。


「あの時それ以上坂下に言わせてしまっては世界仮面警察に捕まってしまうのも時間の問題だった。咄嗟に声を荒げてしまったが、その時に教頭先生は私の声が廊下にまで聞こえてしまっていることを教えてくださったんだ。それは反乱軍ではない他の先生にも聞こえてしまっているという事。だからこそ厳しい処罰を周りに聞かせ、やらせることでしか方法はなかった。すまなかった」


二人は、私を守ってくれていたんだ。


「この圧政の中よく腐らずに耐え抜いてくれた」


「だがそれも今日で終わるんだよ」


「一体、どういう……」


状況が飲み込めていない私に彼らはカーナビでテレビを見せた。そこにはデパートに取り付けられていた巨大な液晶画面に映った仮面の男の姿があった。その仮面は他には類を見ないほどに装飾が施され、一目で誰なのか理解できる。


「まさか、この人総理大臣?」


先生と教頭先生は頷いた。


「そうだ。俺達反乱軍は今日反乱を起こした。そして、制圧に成功したんだ。首相の隣にいる男は俺達反乱軍のトップだ」


「私は現時刻をもって、世界仮面革命により仮面をつけることを義務化した仮面法を廃止します」


首相はそう言って自身の仮面を外した。


「仮面を外したい者は外し、つけていたい者はつけていて良いとします。あくまで自由に、仮面のつけ外しを行えるとします」


首相の隣に立っていたリーダーは画面の向こうにいる人達に語り掛けた。


「一般市民の中にも、仮面社会に嫌気がさす人はいるのです。見てください」


そうして映し出された映像は、私の姿だった。最後の抵抗だと思いのたけをぶつけたあの時の映像だった。私は隣にいるカメラを持った男を見た。


「まさか、これって」


「そう、このカメラで撮ったものを本部に送ったんだ。このカメラはデータをその場で送信できる。昔ならテープを届けないといけなかったが、文明の力に助けられたよ」


「見てくれ!」


教頭先生が興奮気味にテレビに指をさした。


巨大な画面を見ていた人達の中に、一人、また一人と仮面を外していく姿が見える。まるで憑き物でも取れたかのように次々と。


「皆本心じゃ仮面を取りたがっていたんだよ。君と同じように。君はそんな彼らの声を代弁したんだ」


それでも、私はすっきりしなかった。


「この人達はそうかもしれない。でも、お母さんもお父さんも私のことを頭おかしいやつみたいに接した。そんなの、今更仮面が取れたって意味ないじゃない。関係も全部ぶち壊し! 全部おしまいじゃない」


「違うわ真美」


その声ははっきりと覚えている。聞き間違えるはずもない。


 カメラとガンマイクを持っていた男女は片手でそっと仮面を外した。仮面の下には、全てを包み込むような優しい笑顔が浮かんでいた。


「お父さん、お母さん……?」


「ごめんね、真美。こうするしか、あなたを世界仮面警察から守ることはできなかった」


「ひどいことを言ってしまった。本当にごめんな、真美」


「坂下にひどいことを言ってしまった俺が言うのもおかしいかもしれないが、二人を悪く思わないであげて欲しい。坂下は気づいていないだろうが、多くは盗聴され、疑いがもたれると捕まってしまう。だから、そう言うしかなかったんだ。2人が万が一反乱軍だとばれてしまうと、俺達の今日の計画が失敗してしまうかもしれないと踏んだんだ」


私はお父さんとお母さんを見た。一番にこみあげてきたのは、安堵だった。


 泣きながら私は2人に抱きついた。ホッとして、安心して、それはまるで怖い夢を見た子供のようだったけれど、それでも2人は私を抱きしめてくれた。私は2人の存在が消えてしまわないように強く抱きしめた。







「見て、あの子仮面つけてないよ」


仮面を取らなかった者はまだ多い。会社の上の人達は自分こそ仮面はつけていなくても、部下にはつけるように言ったりもする。そして最も強く仮面の文化が残ったのは学生だった。そうしてその冷たい言葉から自分を守るように、一人、また一人と仮面をつける者も出てきた。


「本当ね。恥ずかしくないのかしら」


強制されたわけじゃない。それでも仮面をつけなければ協調性がないと言われる。それでも私は仮面をつけない。


これが、私なんだ。


そして、仮面をつけた生徒達の群がる廊下を、胸を張って歩き、教室の扉を堂々と開けて声を発するのだ。そこで待つ仮面をつけない仲間達に向けて。


「おはよう!」



伝えたい事にもし気づいていただけたら、もしも誰かの明日に影響できる文章であったなら、とても嬉しいです。賛否両論あるかもしれませんが、それでも私はすべての感想が個人の思いだと考えます。

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