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第七歩目「ドキドキ!?GW大合宿!①」

五月に入り、ついにGW合宿が始まった。

運転手はオタク同好会を乗せたのバンを運ばせる。

少しイラつく渋滞を抜け、オタク同好会メンバーは合宿地である京都へ向かっていた。

「そうだ、京都へ行こう☆じゃねえよ。なんで運転が俺なんだよ?」

運転手を務める康宏はガムを噛みながらハンドルを握る、早朝5時出発だ、出不精の彼にはかなり辛いはずだ。

「うるさいわね。免許持ってるのがあんただけしかいないのよ。ね?子猫ちゃん♡」

「おい、暑苦しいから動くな。遥も嫌がってるだろう。」

「やばい、酔いそうです...」

「ちょっ遥っ!やっさん先輩早くSAへ!!」

「おーい何で僕ちんトランクなの!?キラッ☆」

「あー!うるせぇお前ら!家でゲームしてぇぇぇ」

康宏の唸り声は車と共に高速を駆け抜けていった。

一行はSAでしばしの休憩を取ることにした。

「うぅぅ。しんどい。」

「遥、大丈夫!?ほら、酔い止め。」

グロッキー状態の遥に拓海は水と錠剤を渡し、心配そうにしていた。

「見てっ!裕美!ご当地き○○ちゃんストラップ♡」

「実に下らん。それよりこのご当地城グッズをだな...」

凛子と裕美はまだ旅の上りにも関わらずお土産コーナーを物色している。

「やっさーん。あんまりだよネ。僕ちん部長だよ。」

「知らん。それより、時間限定クエストで俺は忙しい。」

車中には康宏と光国が残り、各部員の帰りを待つ。

SA出発前に助手席から最後部座席に移動した拓海は眠気覚ましにと康宏にコーヒーを手渡した。

「やっさん先輩、コーヒーどうぞ。」

「後輩よ、お前はなかなか気が利くな。乳女、堅物。お前達も見習ったらどうだ?」

「やめなよ、拓海君。コイツにはそんな気遣いはいらないわよ。」

「そうだ。こんな怠惰な奴には必要の無い事だ。」

拓海は上回生である三人の事をなんだかんだ仲がいいなと思ったが、言うと反論されそうなので、手元のガイドブックを読む事にした。

グロッキー状態の遥はというと、助手席に動いた事もあり、少し体調が戻ったようだ。そして、トランクからようやく光国は脱出し、拓海の隣に座った。

「みっちゃん先輩、今回の合宿って何するんですか?一応、一通り指定されたアニメは見てきましたけど。」

「ズバリ!聖地巡りだよ☆キラッ☆」

「やっほーい♡1番目はあの美少女系のロケ地ね♡」

「凛子、残念ながら今回は指定外だ。うむ、拓海に聖地巡りとは何か、説明できるか?遥。」

「はい!勿論!えっとね...」

"聖地巡礼"とも呼ばれるそれはドラマや、アニメのロケ地を実際に訪れて、写真撮影などを行う事である。

京都にはアニメ制作会社がある事や、その伝統的な建造物や、風情ある街並みからロケ地に行われる事が多いのだ。

自らが好きなアニメがリストになく、落ち込む凛子はほって置き、遥は口滑らかに聖地巡りについて拓海に説明してみせた。

「なんだか、よく分からないですけど、楽しそうですね!!」

拓海はにこやかな表情で期待を寄せた。

「あ!京都ですよ!皆さん!」

遥が指差した案内標識には京都の文字が。

京都市内を車で回るのにはややコストと時間がかかるので一行はひとまず宿泊先に荷物を置く事にした。

宿泊地は嵐山。京都有数の観光地だ。

「うむ、ここだ。」

「す、凄すぎます。」

二泊三日を過ごす宿となるのは裕美の父親の別荘である。

実は桂坂家は名家で知られており、裕美の語口調が古風なのはこういった事情がある事を拓海と遥は初めて知った。

「それじゃあ、みんな行こうネ!!」

「俺は寝る、運転の疲れがあるからな。明日は参加するから今日は勘弁してくれ。」

康宏を除いた5人は大きな荷物を置き、早速京都探索へと出向くことになった。

GWに入り、百合は豪遊三昧だった。

合コンに深夜のクラブ。

これも一軍女子でいるには仕方が無い事だと割り切っていたものの少しづつ疑念が生じていた。

「これが私が望んでた青春なのかしら...」

「どうしたの?百合?」

「何でもない!行こっ!」

百合が本当の青春を知るのはまだまだ先になりそうだ。


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