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僕がオタクを始めたら  作者: 登々野つまり
凛子と裕美の喧嘩!?編
39/52

第三十九歩目「氷夏」

一ノ瀬大学学園祭、通称ノセ学祭。

1日目の有志のパフォーマンスでは、オタク同好会女子メンバーがバンドパフォーマンス。

会場の誰もがその瞬間に釘付けになり、特にボーカルを務めた遥は大きな喝采を浴びた。


女子メンバー3人は、部室に戻る、今日はコスプレ喫茶は終了だ。

「やー!ブラボーだったよみんな☆お疲れ様☆」

「うざい!あんた、今日は焼肉奢りなさいよ♡」

部長の光国はいつものように大袈裟にターンを決め、皆に花束を渡す、一応ガールフレンドである凛子は早くも食い意地センサーを発動させる。

「ふん、カタブツ。お前にそんなに隠し芸があったなんてな。認めてやらなくもない。」

「お前のツンデレなど1%の需要もない。」

裕美の言う通り、康弘のそれに微塵の価値もないことは言うまでもない、一応裕美の好きな缶コーヒーを手渡していたが。

「お疲れ、二人とも。かっこよかったよ!」

「ありがと。」

「拓海くんありがとう!すっごい緊張したぁ。」

百合と遥はどっと疲れた様子で、拓海くんはそれを労うように、肩を叩いた。二人とも少しだけ顔は紅潮していた。


ノセ学祭は順調に進み、1日目の有志のパフォーマンスの影響もあってか、コスプレ喫茶は大盛況。ノセ学祭の最優秀出店に選ばれた。

しかし、これを機にオタク同好会に嵐が訪れる事になるのだが。


「はぁ、疲れた。」

部室にドシンと荷物を置いた、拓海。

その表情は披露を色濃く写し出していた。

「どうしたの?」

「いや、最近バイトが忙しくてさ、人手不足なんだよ。」

百合は「しょうがないわね」と、拓海の肩マッサージする、気の抜けた声を上げる拓海を見て、Blu-rayディスクを差し出す。

「疲れた時は日常系で癒しましょう!!」

遥が差し出したのは所謂、日常系と呼ばれるアニメだ。

一般的に美女達が緩やかな日常を送るアニメのことを指す。

この手のアニメを拓海は見た事がなく、いい機会だと他の部員も強くオススメした。


家に帰った拓海は母親にこっそり隠れて自室で視聴した。

画面に映し出されたアニメはまったりとしていた、間の取れた逆がシュールで拓海はくすりと笑顔になる。

なるほどなと、感じた。

遥の言う通り、登場人物達の掛け合いを眺めているだけで、どこか疲れが癒される気がする。

「萌え」に対して偏見を持っていた拓海は考えを改めた。

全てのものに先入観を持つ事は危険だ、この頃、拓海にとってアニメは遥に近づく口実ではなく、かけがえのないものに変わりつつあった。

そして、胸にあったモヤを少し忘れることが出来た。

しかしそれは、一時的なものであり、やはりオタク同好会に訪れる、そしてこの物語の最終章への足音を止めることは出来なかった。

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