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エンド・オブ・ライフ  作者: Motom
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エピローグ

## 2014.5


 あれから1年が経とうとしていた。

 丸岡晴夫は高校1年になっていた。

 兄の秋雄が通っていた同じ高校だ。

 中高一貫校なので受験は無い。


 母親は晴夫には過度なプレッシャーを与え無い様に振る舞う。

 父親との関係も変わり無いが明らかに喧嘩する事は無くなった。


 父の工場も今のところは順調の様だ。

 業績は大きく伸び無い迄もパソコンのOSがサポート切れにより

 買い換え需要で国内のパソコンの販売が一時的に伸びたお陰で

 会社の業績が安定している様だ。


 晴夫が校舎の出入り口にある下駄箱から靴を取り出す。

 後ろから声を掛けてきた生徒がいた。

 晴夫の2人の友達だ。


 授業が終わると相変わらず帰宅部の3人は一緒に帰宅する様だ。

 山野はパソコン部の先輩に誘われた様だが

 今は忙しいと言って保留にして貰った様だ。

 3人は靴に履き替えると校庭へ出て正門に向けて歩き出した。


「マルオ、たまにはユーフォー、インしろよ」

「時間ねーよ、もう直ぐ全国模試じゃん」

「まぁな」

「でもさ、この前のアプデでビームサーベルが実装されたんだぜ」


 と言って剣を抜き空を切る動作を真似てみせた。

 と言うのも後3ヶ月ほどでUFOが2周年を迎える。

 それに合わせver2.5と呼ばれる大型アップデートを行った。


 遂に待望の近接武器、

 アイアンブレイドやビームソードが実装されたのだ。

 他にも新機体や新マップ等様々な追加が盛り込まれていた。


 ソードスキルの発動は装備をソードに切り替え剣を構える。

 敵に近づきマウス左側ボタンをクリックするだけだ。

 射程距離なら攻撃が自動で開始するので後はオートで命中する。

 敵機体が移動し射程から逃れれば空振りするのだ。


 剣の動作範囲内にいる敵を攻撃するだけなので

 敵が離れなければ2連撃3連撃も可能。

 回数を重ねるとアクションやエフェクトが段々と派手になる。


 それから晴夫の所属する部隊"BreeZe"は3人で作った部隊だ。

 今やメンバーが増え12数人に成っていた。

 友人2人は大尉になっているが部隊長はビーン少佐にお願いした。

 ビーンはレッドサンドストーム隊を除隊したものの引退は撤回。


 元々友達のいないビーンはあの戦い以来

 2人と仲良くなりつるむ内に部隊へ誘われ入隊した。

 大人であり実力と経験値から必然的に隊長を任された。


 しかし旧知の間柄や匿名掲示板には、

 レッドサンドストームを首になって作った部隊と扱下ろされた。

 とはいえ昼間は実家の酒屋の仕事をちゃんとしている様だ。

 廃人級だったスナイピングスキルも未だ脅威で有る。


 秋雄のアカウントを奪ったRMT業者は運営に調査依頼したが、

 運営からは海外APで調査範囲を超えており特定不可との回答。

 取引を行ったキャラは捨てアカウントと解り追っても無駄だ。

 晴夫達が少ない情報から想像してみた所で真実は解らなかった。

 特定できないまでも運営は盗難届は受理し対応してくれた様だ。


 おそらく部隊預金やアイテムは部隊倉庫へ戻っている筈だ。

 ODINが負けを認め破棄したアカウントも巻き戻された。

 確認はしてないが全てキャラや機体は元に戻っているだろう。

 パスワードは変更され母親が管理している。

 以前、晴夫が母親にどうした方が良いか尋ねられた時

 アイテム課金なので料金は発生しないから

 このまま放置する事を要望した。

 3台あったパソコンは業者により初期化され買取された。

 契約ではハードディスクは破棄され乗せ換えて転売される筈だ。

 晴夫はそれが一番良いと思えた。


 秋雄に返されたODINは今だにランキング1位で有り続けていた。

 過疎が進むゲーム世界において最早誰も抜く事は出来ない。

 もし永遠にこの世界が続くなら

 そこに彼の名を刻み続けて欲しいと願うだけだった。


 兄、秋雄が生きた証として。


「晴ちゃーん」


 校門の前で手を振る女生徒が見えた。

 同校の3年生で晴夫の幼馴染の美雪だ。

 その事を2人は知らない。

 黒髪がよく似合う美少女が笑顔で手を振っていた。


「あ、悪りぃ先に帰るわ」


 と言って晴夫は走り出した。


「おぅ」

「またな」


 と2人。


「リア充だな」

「あぁ」

「早く帰ってユーフォーやろうぜ」

「そうだね、隊長が待ってる」


 そう言うと太田は前を走って行く晴夫をロックオンする。

 そして素早くトリガーを引く振りをした。

 脳内ではゲーム画面が再現され晴夫を数々の弾丸が追い掛けた。


 晴夫が爆散したかに見えた映像は直ぐに消えた。

 校門の前で立ち止まり女生徒に話掛けている晴夫の姿に戻った。

 そして太田と山野の2人は顔を見合せて声を出して笑った。


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