プロローグ
ゲーム世界
──────西暦2045年 近未来の地球 アフリカ大陸
海岸と山脈に挟まれ自然豊かなある小国。
古き時代、フランスにより統治されてきた
領土返還により女王の名であるラルーラと国名を改めた。
しかし行政は世界経済の煽りを受け貧困から困難を極め
反乱が各地で起こった。
次第に反乱軍は組織されソレーユと名乗り
ラルーラ王国に対し独立戦争を宣戦布告した
王国軍と独立軍の戦いは激化していた。
***
丘を背に機体を隠す様に潜む。
山岳地帯の戦闘は初めてだ。
夜間である為外視モニターからは何も見えない。
センサーモードを切り替えて見るが敵の影は映らない。
モニター下部に映る丸いレーダーだけが頼りだ。
凝視する。
自分を中心に味方機体の表すシグナルが4つ灯っている。
味方機を証明するブルーだ。
タグセンサーと呼ばれる暗号化された電波信号を発信し
応答を受け取り合う事でお互いが味方機である事を認識する。
自分を中心とするGPSの座標に合成され表示される。
そこに同一の信号を持たない機影が写れば敵機と認識し
レッドシグナルを点灯する。
敵機は低層の谷底のルートを通ると予想された。
それを崖の上から攻撃する有利な作戦だ。
レッドシグナルが点灯した瞬間に奇襲を掛ける。
心臓のドキドキとした鼓動が聞こえる。
緊張がピークに達した。
その時、ピリリリリリーとレーダーにレッドシグナルが
点灯した事を知らせるアラームがなる。
「行くぞ!」
「「「「了解!」」」」
隊長の合図で全員がジャンプし丘を乗り越える。
奇襲用に軽量ボディにジャンプユニットを装備してあった。
ブーストを軽く噴かし谷底へダイブする。
隊長機のバックファイアが青く外部映写モニターに映りこむ。
バランスを制御しながら空中で両脇にライフルを構える。
レーザーガンだ。
照準に敵機を捕える。
編隊は"アローヘッド"隊長機を先頭に矢の様に並ぶ敵機、
その先頭機を狙う。
ロックオン。
トリガーを引く。
「撃破!」
先頭、2番手、右から左の順で
5人がターゲット合わせを1機へ攻撃を集中させた。
順に1機づつ撃破する事が基本となる。
つまり5対5の戦いではなく、
1対5の戦いを5回繰り返す事で常に有利に事が運ぶ。
味方機の息が合わないとターゲットは乱れる。
1機を落とす時間が掛ればそれだけ味方機の被害も増える。
隊長機が左手に盾を構えると敵機の編隊の中心に突入して行く。
既に中央と右の3機も撃破し残りは中央と右の2機だ。
隊長は敵機を飛び越え後方に降り立ち機体を反転させる。
右手の80mmマシンガンをバズーカーに持ち替えた。
近距離で食らわせば確実に大ダメージを奪う。
全機撃破。
「よし、進軍!」
「「「「了解!」」」」
谷底を進めば敵軍の基地がある。
今なら敵の援軍も来ない。
直ぐ敵軍の基地に攻め込み制圧すればミッションは終了だ。
今の戦闘で我々の部隊はほとんどダメージは喰らわなかった。
圧勝だった。
ほっと緊張が晴れ安堵する。
「急ぐぞ」
隊長機を中心に4機が斜めにクロスする。
"ファイブガード"の編成で並ぶ。
ブーストを噴かすと直ぐに全速力に達する。
左右の谷底の岩肌の映像が飛ぶ様に後方へ流れて行く。
高度計を横目で見て飛行位置を調整する。
死の緊張と勝利の喜びは麻薬だ。
愉快で仕方がない。
思わず微笑んでいる自分に気付き口をきつく閉じた。