073:ディーゼルと夢
隊長の朝の恐竜お散歩タイム。
夏休み前で忙しかった~。
073:ディーゼルと夢
「何で助けなかったんだよ。あそこまでやっといて」
「行きがかりで助けただけだ。そこまで人間の面倒を見る義理はない」
巨大なブラキオサウルスは憮然とした様子だった。
オレは成り行きをぼんやり見ている。
古い佇まいの敷地。
多分、どこかの農家さんの家だろう。
辺りは薄暗い。空気の雰囲気からすると夜明け前らしい。
ああ。よく見る予知夢か。
多分、これから起きる出来事だな。
シーンはいつも唐突に見え始め、脈絡がつかめないまま進む。
それは、いつもなんらかの分岐が始まる、ヒントのような映像なんだ。
オレは読み解き方がヘタなのか、いつも夢を見た後、トラブルに巻き込まれる寸前で気が付く。
大した準備は出来ないものの、いつもどうにかトラブルを回避したり、なんとか対処するハメになる。
詰まる所、いつになるのかは分からないけれど、オレはムカリと会い、何かの救護作業の後で作業中に起きた何かの問題を話し合っているようだ。
そしてこの後、数日から数年以内に何かのトラブルに見舞われることになるんだな。
夢の中のオレは、自分自身の視点にいることもあるけれど、今回は傍観者の視点だった。
この場合は、立ち位置を変えることは出来ないものの、自由に辺りを見回すことが出来る。
オレは、時期を見定めるため、カレンダーか時計がないか、周りを見回す。
この家は人が住んでいる気配はあるものの、当然ながら屋外にカレンダーも壁時計も設置していない。
後は植物の繁り具合い。
花でも咲いていれば季節くらいは分かるんだけどな。
…さすが農家さんというか、雑草はきちんと摘み取っているようで見当たらない。
目の届く範囲に、花が咲く木も植えられていない。
「少なくともオマエが人間のことを憎んでいる訳じゃないと分かってよかったよ」夢の中のデイノニクスは、ホッとした表情で、ブラキオサウルスと話を続けている。
「ただの気の迷いだ」そう言うムカリは、どこか誇らしげだった。
目が覚めると、先日からあてがわれている部屋。
昨日は、今後の作戦会議で遅かった。
こういう時に見る夢は、いつもどうでもいいシーンしか見えないのに、コレが後々のヒントやキーポイントになるから始末に負えない。
時計は5時を過ぎていた。
起きるとするか。
シャツに首を通し、ウェスト・ポーチを用意する。
いつものブラックベリー。
そして、ポール(エストラーダ中尉)から借りているM.E.U.スペシャル(米コルト社の半自動拳銃、ガバメントのUS海兵隊カスタム仕様をポールがさらに高耐久化したバージョン。)。
アイツが自ら手を入れた、命綱ともいえる銃。
オレ自身、まだポールに対して、心の整理が付かない。
白亜紀で組んでいたチーム・リーダーとのトラウマを思い出して、朝っぱらから思わずため息がもれる。
実際、ポールのことは大したことじゃない。
オレは、会った時のままのポールを、そのまま受け入れた。
チーム・メンバーも、ポールの正体は何も言わなかった。
単にアイツがDIA(米国防情報局)のエージェントだっただけ。
アメリカがオレを脅威と見なした時に、真っ先に手を下す先兵だというだけ。
ポールは、なぜこの銃をオレに貸してくれたんだろう?
分からない。
分からないままオレは、チャカをホルスターに挿し、ポーチのベルトに付けると胸に巻いた。
お忍びで部屋から出ようとすると、外のガードに止められる。今朝は例の軍服ライフル四人衆じゃなかった。
押し問答になるかと思ったら、意外にも外に出る理由を訊かれたので「朝の散歩です」と答えたら、ハンドラーを呼ぶから少し待つように言われた。
しばらくすると、ターク隊長とトロオドンのマリさんが一緒に来た。
「一緒に朝のランニングをやろうと言うことになっていてな。よかったら一緒にどうだ?」
隊長は、トレーニングウェアにMP5(西独H&K社のサブマシンガン)といういでたち。本当に外に行くおつもりらしい。
「いいですね、ご一緒させて下さい」
奇しくもトロオドンとデイノニクスの組み合わせ。
オレはTシャツをもう一着出して、マリさんに渡す。
「マリさんもどうです?恐竜用に仕立て直してもらったものです。オレ用なんで、サイズが少し大きいかも知れませんが」
「仕立て直してもらったって、軍にですか?」
「装備部門だか兵站部門で手伝って下さっている方がいるんですよ。ジョンソン先生に顔つなぎお願いしているのですが、このところずっと忙しくて、お礼も言えずじまいなんです」
マリさんは、複雑な面持ちでシャツを受け取ると、首を通した。
「普通に着られるのですね。驚きましたわ。…どうかされました?」
「いえ。スマートできれいだな、と思って」
「ああ。よく似合っている。食事の後、装備部に顔を出そう。あなたも顧問として契約されているので、軍の支援をある程度は受けられる」
「サービス・ドレス(この場合は、軍のオフィス勤務用ユニフォーム)着てみてもらいたいですね。似合いそうだ」
マリさんは、照れたのか冠羽を逆立てる。
「う~む。シャツや戦闘服くらいなら都合を付けてもらえるとは思うが、サービス・ドレスとなると難しいだろうな」
「じゃあ、トレーニングウェアはどうでしょう。
スポーティーな服装、いいと思いませんか?」
オレたちは恐竜化症発症者(以下、恐竜)の服について話をしながら、隔離施設(収容施設)の外へ出た。
モノラルな朝の光。
夜露に黒く濡れた滑走路が横たわる。陽が当たる場所から朝靄が立ち登り、風に揺れながら流れて行く。
靄の中を進むと、朝露が滴る音が、そこかしこから聴こえる。
アスファルトや石に落ちる、ピシャッ。
地面に落ちる、ボッ。
草に落ちる、パツ。
貯まっている水に落ちる、チャプ。
何かの薄い板に落ちる、タン。
そして、あちこちの茂みから、ウズラやタゲリがエサ探しに出歩く、草擦れの音。
オレは、草むらの中の手近な獲物の居場所を捉え、身を細めて跳ぶ。
草むらに鼻先を突き入れ、軽い足音を咥える。
口の中でもがく感触。
英語名の通り、キュィールキュィールと大声で鳴く。
白亜紀にはいなかった鳥。
オレは、ウズラを前肢(手)に掴み直すと、口から出す。
久しぶりだけれど、勘は鈍っていないようだった。
ウズラはオレの手の中でもがきながら、怯えた目でオレを見ている。
朝陽に目を向けた時、オレは不思議な感覚に見舞われる。
白亜紀での朝の狩り。
現代でのツーリング先で目覚めた朝。
デジャ・ヴュとジャメ・ヴュとシンクロニシティが一気に起きたような、不確かな新鮮さ。
「捕まえられたか?」
隊長の声に振り返ると、柔らかな光の中に人間とトロオドンが微笑みながら佇んでいる。
オレは、獲物を隊長に差し出す。
「食べます?脂の少ないニワトリみたいな味です」
「…見事な腕前だな。今は食料に困っていないからいい」
「凄い。素手で生け捕りにできるなんて。ウズラですか、それ?」
「そうです。羽の縞が薄いから、多分メス。時期的に、すぐ近くにダンナさんとヒナも隠れているでしょうね」
オレは手の中のウズラと目を合わせる。
オレたちが獲物と目を合わすのは、限られたタイミングだけ。
これからお前を狩る、と告げる時。
そして、獲物を逃がす時。
「グッド・ラック」
オレはウズラを放した。
「渡辺さんたちオルニトレステスが、鳥を捕まえるのが巧いんですよ」
ウズラは、翼を広げ少し離れた草むらまで飛ぶと、姿を消した。
「あのジャンプ力は凄かったものな」
「どれくらい跳ばれたんですか?」
「2~3歩の助走で、2階建ての家の屋根まで揚った。
オマエもだが、3m級のセロポーダ(獣脚類)の運動力は、目を見張るものばかりだ」
マリさんは、自分の体をしばし眺める。
「2階建ての屋根って、8m以上ありますよ。私も見てみたかったです。
…どうでしょう、恐竜の体力テストをやってみては?」
「体力テストって、ガッコで年一でやるアレですか?」
「ええ。私はトライアスロンが趣味なので、今一度、自分の基礎体力を知りたいのです。
それに、さっきのあなたはなんと言うか、アスリートか野生の狩猟獣のように素敵でしたわ。もっと見てみたいです」
「あのぉ~、お忘れかもしれませんが、あなたもオレと同じ狩猟竜ですよ?」恐竜としての自覚が薄いのは分かるんだけど…。
「すみません。似たこと、小野さんにも言われましたわ」
「そう言えば、しばらくお二方と過ごされていたのでしたね。
やはり、狩りを?」
「小野さんがカモを獲って下さって、後はみんなでカニを捕りました」
「やっぱり、ドロマエオサウルスやトロオドンだと、小物猟が巧いな」
「デイノニクスは大物向きなのか?」
「オレたちは、家族単位から2~3家族のチームで狩りをしますから。ケラトプスくらいならコンスタントに獲物にしてましたよ。
オレの一族は、中型の草食竜くらいまでがターゲットでした。
トロオドンは、もっぱらつがい単位のチームを組むので、小型の草食竜までが専門でしたね」
「オオカミとコヨーテのニッチに似ているのだな。
確かに、体力テストは面白そうだ。それに、恐竜と対峙する際、役立つ情報になる。少佐殿に話してみよう。
もっとも、ウチで保護している方々に同意が得られたら、だがな」
「よし、整列」
基地の周回パトロール用らしき舗装路まで来ると、隊長は足を止め、オレたちを並ばせる。
「ここがコースになる。
この道は、滑走路周囲を1周している。
お前たちのペースもあるだろうが、私の目の届く範囲にいてくれ。
途中分かれ道があったら、私が到着するまで待っていてくれ。
では、行こう」
マリさんは、しばらく一緒に走っていたが、痺れを切らせたらしく、すぐに先行していってしまった。
無理もない。
マラソンなどの長距離の場合、人間ではアスリートで時速20キロほどが限度。対するデイノニクスのオレやトロオドンのマリさんだと、人間の2倍以上のペースで走り、そのままの速度を数時間は維持できる。
オレは、隊長の護衛もあるので並んで速歩だ。
マリさんは超越能力持ちなので心配はいらないだろう。
「お前は、なんだかんだ言って、日本人なんだな。気配りが利く」
マリさんが先に行ってしまうと、隊長がつぶやく。
「40年ほど人間やってましたし」
「お前といると落ち着くよ。
巧く言えないんだが、人慣れした野生獣といる気分だ」
「ジョージ(レナード大尉)から教えてもらったんですが、湾岸戦争からずっとコンビなんですって?」
「ああ…、湾岸戦争で生き延びたので、そのまま軍属を続けているんだ」
「歴戦の猛者なんですね。一昨日の総攻撃も見事に抑え切って」
「それでも、2度目の襲撃は死ぬかと思ったぞ。
恐竜が、あそこまで統制の取れた戦術を見せるとは思わなかった」
「あれは、例の超越能力と、知略家としてのムカリの能力が優れていたためです。
先生のハムヴィー(発電ジェネレーター)が使えなかったら、全滅していたかも知れません」
「なあ、ポールとのことなんだが。なぜあいつをそこまで警戒するんだ?」
オレは、隊長の様子を見上げる。
隊長は、心配そうにオレのことを見下ろしていた。
「…イヤな思い出です。
オレ、成竜になってから、狩りのチームにいたことがあったんですよ。
その時のトラウマから、ポールと距離を置いているんです」
「何があったんだ?」
「オレ、親元を離れてから"ひとつ"で暮らしていました。
狩りは上手い方で、喰うには困らないので、色々と研究や遠出したり、悠々自適に暮らしていました。
時折、狩りの下手な群れのヘルプに入ったり、ケガや病気になった竜に薬を作ったりして。デイノニクス以外の門も関係なく。
それで、ちょくちょく一緒に狩りをするチームに誘われて、群れに入ったことがあったんですよ」
オレは隊長から目をそらした。
「その途端、リーダーは、オレに色々カセをかけ始めました。
他の群れを手伝うな。
異種に薬なんか作ってやるな。
もちろん、オレはこっそりやりましたけど。
リーダーとも何度も交渉はしましたが、妥協点なんてある訳がない。
"アレ"にとって、オレはチームのハク付けに過ぎなかったんですから。
ある時、オレは狩りで大ケガしたチーム・メートの治療に、薬の材料を取りに行ったんですよ。
もちろん、リーダーにも相談しましたが、リーダーは、お前に意見は訊いていない、と突っぱねられました。
帰ってきたら、リーダー激おこでしたよ。
ケガをしたのは、そいつの責任なんだから、オマエがわざわざ手助けなんかするな、と。
オレは、最後の最後まで、リーダーとは折り合えなかった。
そして、オレは群れを離れて、"ひとつ"にもどりました。
しかし、リーダーは、それすら許さなかった。
チームを引き連れて、オレの息の根を止めに来ました」
「そのリーダーは、どうした?」
「返り討ちにしてやりましたよ。
仲のよかった元チーム・メート共々。
その後は会っていません。
風の噂では、その一件の後、チームは空中分解したそうです」
オレは、息を整える。
クソ野郎がくたばったこと自体は清々したんだよ。
そこだけ、な。
「イヤなのが、仲のよかった仲間が、イヤイヤながらオレに牙を剥いてきたことなんです。
いっそのこと、オレを憎んでくれたなら、オレも敵として相手を仕留めたのに。
半端な情けを見せながら襲撃になんか来ないで欲しい。
不快なんですよ。
ものすごく。
消耗品みたいに部下を扱う、そういうクソ根性と、そいつに従って闇討ちに来るような弱いキャラが」
「さすがにそれは堪えるな。
お前は、私のことをどう思っているんだ?」
「どう、って言うと?」
「どういう関係として見ている?」
「そうですね…。頼りになる上司、サポートしがいのあるプロパー、かな?
副長に対しては、何でも相談できる上司、ですね」
「では、ポールのことは?」
「…最初の内は、狩り仲間のウェイトを含んだ相棒。今は距離を置くべき相手」
「やはり、本来の役職を警戒しているのか?」
「ええ。
オレが危惧しているのは、ポールがあのチーム・メイトみたいに、アゴでコキ使われているんじゃないかってことです」
「それは私たちにも言えることなのだぞ?
なぜオマエはジョンソン少佐を信用するんだ?」
「狩猟竜が言うようなコトじゃないでしょうが、オレは"アスクレピオスの杖"に誓いを立てた者を尊敬しています。
それに、精神科医というのは、精神を病んだ患者を診る仕事ですが、苛烈な精神的負荷が掛かります。患者と一緒に共倒れし掛かっている医師が割と多いんですよ。
なのに先生は、心を病んでいる様子がない。
鋼の精神をお持ちなのか、切り替えが巧い方なのか。
その先生がスカウトしたリーダーなんだ、あなたは。
それに副長もです。
自分が生き残るために、銃を取る道を選んだ聖職者。
大雑把な言い分ですが、副長は、自分が生き残ることが正しいこと、だと認識している。
けれど、ポールは、オレの視点からは違う。
エスピオナージなんて欺いてナンボのシゴト。
DIAの職員なんだ。米国からオレが危険な存在だと判断が下れば、オレを仕留められる時に、何の前触れもなく銃を向けるでしょう。
端的に言えば、ポールは、別会社の共同プロパーなんですよ。
白亜紀目線では、仕留めた獲物を奪いに来た略奪竜に近い。
もっとも、これはオレの人間としての知識とデイノニクスとしての経験から出た判断なので、人間目線からはズレているように見えるかも知れません。
少なくとも、白亜紀じゃオレの判断基準は、生き残れる最低水準の大甘なものでした」
「…ムカリとの戦闘の後で、お前が倒れた時。ポールがコンボイ(トラック隊列)を止めた時のことを覚えているか?」
「はい」
「ポールは、お前が考えるようなヤツじゃない」
隊長は、それで話を終わりにしたようだった。
汗を流しながら、黙って走り続ける。
不思議な気持ちだった。
地面の下や木のウロに隠れ暮らしていた、獲物に過ぎなかった生き物の末裔が、こんなに複雑で細やかな心を持ち、第三者の心情について語り合えるまでに進化したなんて。
オレたち恐竜から見れば、弱いのは今も変わらないのに、それでも強くなろうと努力を続けている。
そして、オレはと言うと、ベトナム戦争の終わり、そして、冷戦の始まり頃に人間として生まれ、白亜紀の記憶を持たないピュアな視点で、人類の軍事と経済の数々の移り変わりを、否応なく見てきた。
そして、白亜紀での苛烈な生存競争の記憶を取り戻した今、このまま人間がどうなるのか、ちょっといい方に倒れるように、手を貸しながら見ていたい。
マリさんは、分かれ道で時折オレたちを待ち、隊長が道を指差す方向へと、ランニングを続ける。
その分かれ道で、何度か基地施設とは思えない建物をいくつも目にする。
それも、民間のものと思われるトラックが、ガラガラと行き来していた。
「それにしても隊長」
「なんだ?」
「なんで基地の中に住宅街があるんですか?フツー、フェンスや壁で囲ってるモンじゃないんですか?」
「あれも基地の敷地だ。映画館やサッカー場もあるぞ」
「え?」
「学校も小学校から高校まである。司令ジュニアも敷地内の学校に通っているんだ」
「…ラジオ局に映画館にサッカー場にガッコって…。じゃあ、街一つがまるまる基地になっているんですか?」
「ああ。ここは日本であって日本ではなく、アメリカであってアメリカではない。他の基地でも似たような作りになっている。
シナボンやバーガーキングもあるぞ」
「シナボンてシナモンロールの店でしたっけ?オレ、シナモンロール好物なんで行ってみたかったんですよ」前に日本に進出していたけど、飽きられたのか、オレが行こうとしていた時には日本撤退してしまっていて、食えなかった。
パンケーキが店の顔になっているiHopも結構好きだったんだけど、惜しい限りだ。
「…ポールと一緒に行ってみていいですか?
ハナシしてみます」
「それがいい」隊長は汗だくの顔で、微笑みながらオレを見下ろす。
「お前たちは、一緒にしておいた方が頼り甲斐がある」
その先の分かれ道で、マリさんが、困ったようにオレたちに手を振ってくる。彼女の横には、デリバリーらしきトラックが止まり、兄ちゃんが待っていた。
『あなたですよね?Tレックスを蹴り倒したデイノニクスって』兄ちゃんは、オレたちが近付くなり話し掛けてきた。
「止めたのですが、どうしても話がしたいと、言うことを聞かないんです」マリさんはため息交じりだ。
『レックスは倒していない。けれど、タイマン張ったのはホントだ』蹴り倒したのはカルノタウルスだからな。
『なあ。その噂、結構広がってるのか?』
『職場じゃその話しで持ちきりだよ』
『一応言っとく。デマだ。
こちらのカニンガム大尉チームの援護でレックスを倒したというのが事実だ』
『カニンガム・チームって、恐竜生け捕り専門に編成されたスペシャル・チームですよね?
広報部のニュースで見ましたよ。
恐竜になった人間を殺さず、生け捕りにして保護しているって。
あの、セルフィー一緒にお願いします!』
『基地の外がどうなっているか、知っているんだろうな?』
軍の保護下でヌクヌク暮らしてる世間知らずのアホと写るのは、願い下げにしたいからな。
『ええ。
それでも、俺は恐竜好きだから、殺すのも殺されるのも見たくないんだ。
それに、あんたたちは、俺たち人間の味方でいてくれている。
俺たち恐竜ファンの希望なんですよ』
『分かった分かった。
隊長、いいですよね?』
隊長は、兄ちゃんのIDを確認した上で、OKを出した。
兄ちゃんは、何枚か写真を撮り、そのたびに驚喜していた。
『頑張って下さい。応援してます!』
兄ちゃんは嬉しげにディーゼルを噴かすと、ガラガラと朝の街へと消えて行った。
「やれやれだな」
「やれやれですね」マリさんも肩をすくめる。
「アメリカーナというのはこういうものだ。さ、もうひとっ走りしてシャワーにしよう」隊長は苦笑いすると、お先に、と走り出した。
「じゃ、白亜紀アメリカーナも行きますか」
「行きましょう」
トウヤ :いや~、オマエ、映画じゃカッコいい最後だったな。
ムカリ :勝手に殺すな。それにあの映画が封切られるのは2年後だぞ?
平 :バリオニクスも壮絶な最期だったな。
コウキ :主人公の顔、なめ回していたのなんだったのかな?
ジョージ :暑かったし、塩分補給じゃないかな?
ターク :暑い時に走った後は、水分補給を忘れるなよ。
コウキ :みんなで海に飛び込むの!?
オジサンズ:ナイナイ!。それはナイ!!(×5)




