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恐竜日和 ウォーク・アバウト  作者: ニジヘビ
トリケラトプス編
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029:ブラッド・ストック

物資のない戦線だとよくあることですが、自分用に献血というのはアリだったりします。

大ケガしなけりゃいいとはいえ、ポイントマンにケガするなというのはムリ…。



 029:ブラッド・ストック


 射撃訓練を早めに切り上げ、ハンドラー兼相方のポールに付き沿われて医務室に出向く。

 自分に輸血するための献血、貯金ならぬ貯血だな。

 何とも不便だけれど、恐竜の身では大ケガした際にホイホイ輸血してもらえるアテがないんだからしょうがない。


 ジョンソン先生(少佐)はいなかったが、代わりに看護士がすぐに対応してくれた。

 カテーテルに繋がれ、ベッドに伏せて静かにしている。

 ポールはオレを待っている間、トルヴォサウルスのター坊の動画を観てエキサイトしていた。

 トリケラのビルもそうだったけれど、デイノニクスも血は鉄ベースらしい。カテーテルを通るトロンとした流れは赤黒い。

少なくとも鉄ベースだと今まで食習慣がほぼほぼ通用するのがありがたい。

一部の爬虫類や昆虫だと銅ベースや硫黄ベースの血液もあるけれど、彼らが何を食べて血液生産に当てているのかまでは知らないんでね、かなり苦労する事になっただろうな。


 しかし横田基地って飛行基地のはずなのに、案外静かだ。

 今は有事なのでガンガン飛んでいるはずだけど、建物の防音がしっかりしているのかね?その内にウトウトと寝てしまった。


「トウヤ、オキロ~。オワタゾ~。メシダ~」ポールが額をコリコリとグルーミングして起こしてくれた。

 寝ている間に献血は終わり、いつの間にかミハルも隣のベッドで献血している。なぜかジェシーの膝枕でご満悦だった。

 オレも気持ちいいので、もうちょっとやっててもらおう。

「クルルルル~」

「グッボーイ(いいコだ)」オレがうなると、ポールはグルーミングを続けてくれた。なんか負けを認めたような気がするが、まあいいか。

『ジェシー。ミハルの献血はどれくらいで終わりそう?』

「OK、OK」

「ちがう。ジェシーにミハルの献血が後どれくらいで終わりそうか訊いたんだ」ネイティブで訊いちゃったのでポールを勘違いさせてしまった。

「後15分くらいかな?

 所でトウヤ。ひょっとして今デイノニクス語でわたしの名前呼んだ?」

「"ジェシー。ミハルの献血はどれくらいで終わりそう?"と訊いたんだ」

「わたしの名前は、なんて発音するの?」

「…フォゥッ!(人間の名狩人の太陽の女は)。短縮形だと、ォッ(ミハルの姉さんは)さっき使ったのは短縮形」人間に判り易いよう、抑揚を大袈裟に付けて発音する。

「わたしのお姉さん?」ミハルは驚いたようにフワッと冠羽が起きた。「そうか、確かに」

「オレは?」

「ウォゥ!(人間の疾風の闘士の岩の男は)。短縮形だと、ウ(オレの狩りトモは)」

「ポールかっこいいじゃない。狩りの友達、だって」

「カリ ハンティング?」

「そう。

ジェシーの方は妹を可愛がる、生まれ年違いのお姉さんみたいだからね」実際にはミハルの方がジェシーより歳上なんだけど、雰囲気は、だ。

「じゃ、ターク隊長は?」

「ウール(人間の太陽の狩りの長は)。短縮形だと、ウー(狩りの叔父さんは)」

「ジョージは?」

「クー(人間の太陽の兄は)。短縮形だと、ル(兄は)

 人間だとヒアリングも発音も難しいと思うから、"そんなもんなんだ"程度でいた方がいいと思うよ」

「オトノチガイシカ ワカラナイ」

「ミハルの姉さんはミハルを食餌に連れて行く。ククク。

 狩りトモはオレを食餌に連れて行く。ククク。

 狩りの叔父さんは食餌に行く。ククク。

 どうかな?」

「ゼンブ オナジニ キコエル」

「ククク、は食事に行くってことでいいのね?」

「そう。音節間違えると、仔供を呼び寄せる声になるから注意してね。

 で、そろそろランチに行かない?」

「クォ(肉に行く)」ミハルがネイティブで食餌宣言する。

考えてみれば、デイノニクス語には時制が掛かる食事を表す言葉がないな。

「クルク?(昼肉に行く?)」

「クルク!(昼肉!)」

「スマン オレ クルマニ ギャス イレテクル。サイガイオキルト ギャス ナクナル」ポールが日本語で頑張る。

「クルマのガソリン?オレの付き添いは?」一応、横田基地限定というかターク隊長チーム限定で、恐竜には人間が付き添うルールが出来たんで。

「モンダイナイ。ランチ トイレ フリー」

「昼メシとトイレは自由でいいってこと?」

「わたしも少佐に提出する書類があるのよ。隊長も副隊長も連絡つかないから。

後でビュッフェでね」


 まあいいや。オレもケッコウ自由だし。

 と振り返ると軍服ライフル4人衆がニンマリしながら待ち構えていた。

 そゆコトね、ハイハイ。


 オレはひとり、というか1頭でビュッフェに行くことにする。

 ビル・フィールズのことを考えながら。


異種間異言語コミュニケーション。

狩猟恐竜たちの言語体系は基本的に主語と動詞or形容詞が結合したものがベース。


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