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002:コーヒー飲みながらブレインストーミングしないか?

デイノニクスVSティラノサウルス。

勝ち負けとか関係なし!



 002:コーヒー飲みながらブレインストーミングしないか?


 出勤途中でティラノに追いかけられて腹が空いた。それに今日は朝メシ抜きなので、出社は諦めてメシにすることにした。

 フライパンに水を張り、レンジにかける。

 お湯が沸く間、ポケットからスマフォを出して、自分がなった恐竜のことをちょっと調べる。

 報告書やメールをガンガン書くヒトなのでハードウェアキーボード付きのストレートQWERTYモデル、平たく言えばブラックベリーを使ってるので、検索だけはこのカギヅメでもなんとかなる。


 オレは…、頭からシッポの先まで3mちょっとか?2足歩行。多分、肉食。羽毛。脚の鎌みたいな爪…。画像検索結果をつらつら眺め、一番似てる画像を載せているページを開く。


 デイノニクス、ドロマエオサウルス科。


 お!?うん?んん~?大体合ってる、かな?

 オレの体は脚と鼻先を除けばほぼ羽毛で覆われている。ネットの復元想像図やイラストは、羽毛があったりなかったり。

ただしどれも一致しているのは、脚から伸びる鎌のような鉤爪。

『デイノニクス』の名の由来は『恐ろしい爪』のラテン語だそうな。

 生き物は好きだけれど、主にバードウォッチング主体なので、古生物は専門外なんだ。


 と言う所でお湯が沸いた。

 冷蔵庫からウィンナーを出し4本ほど茹で、お湯はインスタントスープに注ぎ、残りは捨てる。

 恐竜の身になったこともあり、指の数が減ってしまったものの、細かい作業はそれほど問題ないようだ。

むしろスープの袋の封を切る際に、切れ味のいい鉤爪が重宝したくらいだ。

 ともあれ、フライパンを再びレンジに戻し、水気を飛ばす。

 ウィンナーから染み出た油が程よく引かれたフライパンをガンガンに灼き、火を止める。

そして、タマゴを3つほど割って入れる。フライパンからジュワジュワと音がしなくなると大体食べ頃に焼き上がるという寸法。


 その時、表の方で何か大きなものがぶつかるような音がした。


 あわてて出てみると、さっき遭遇したティラノが、オレのクルマを食い散らかそうとしているところだった。

「テメェ、オレのクルマに何しやがる!!」

 オレの怒鳴り声に、ヤツは喰いちぎったバンパーをくわえながらオレの方に向きやがった。そして、一歩踏み込むと、大口を開けてオレに食らい付いて来た。

 なんとも芸のないアタックにオレはあきれながら、手を横に上げ一歩横に動いた。

 ツメがなかなかイイ感じでヤツの鼻の穴に引っかかり、そのまま腕を振り抜いた。

 ヤツは獲物が仕留められたか確認のために首を引っ込める。

 オレはすぐさま相手のアゴの陰を縫ってアキレス腱へ跳ぶ。

 両足を揃え、天然物の凶器ともいえる両足のカギヅメで相手のアキレス腱を切り裂き、すぐに相手のシッポになぎ払われないエリアまで脱出。

 振り返ると、相手は短い腕を顔の傷口に回そうとしている所だった。オレの1発目はヤツの鼻から目までをキレイにえぐっていた。そしてティラノは、オレが足にキメた2発目のダメージに片膝を着いた。


 その時だった。


 ティラノの顔に、立て続けに何かがボツボツと当たるのが見え、続いて何かマシンガンらしき発砲音が届き始める。

 銃声のする方を見てみると、裏の畑で5人ほどの人間がライフルを構え、ティラノの頭にフルオートで弾丸を叩き込んでいた。

 おお、やっぱり銃は強ぇ!

 ティラノは、頭に集中砲火を受けながら横ざまに弊れていった。それも、オレのクルマの上に。

 クソが、地獄に墜ちろ!オレはムカついて、オールト雲までぶっ飛ばす勢いでヤツの腹に力いっぱいケリを入れた。

 まあ、オレは取り敢えず気を取り直し、現れた『騎兵隊』に向き直った。

「ありがとうございます、助かりました」そう言うか言わないかの所で、相手全員のガンスモークたなびく銃口がオレに向けられているのが目に止まる。

「あ~、撃つな!オレは何もしない!」オレはそっと軽く手を上げた。「悪いが、オレも事情が分からないんだ。今どうなっているのか教えてくれ!」

「キープ・フリーズ!!(身動きすんな!)」騎兵隊の一人がそう怒鳴って来た。

 あ~、なんかヤな予感がするよ。よく見れば、相手の装備やライフルはなんとなく自衛隊っぽくない。アクション映画によく出てくるM16系のライフルだった。今はM4って言うんだっけ?トドメとばかりの英語での命令。

「オーケー。ドント・シューツ。ノーファイト・ミー・トゥ!(OK。撃たんでくれ。オレもやり合う気はない!)」

 騎兵隊たちは顔を見合わせた。そして、何か話し合っている様子だった。

「ヘイ。ワィ・ユー・キャン・スピーキング?(おい。お前、何でしゃべってんだ?)」

「…アァ?!(…あぁ?!)」

「ワィ・ユー・キャン・スピーキング?(お前、何でしゃべれるんだ?)」

 いきなりそんな形而上的な質問されてもねぇ。

「アイ・ドン・ノー!ビーイング・キャン・スピーキング・オール!ウェル・ユー?(知るかよ!人ってのはみんなしゃべれるもんだろうが!だろ?」)

「バット・ユー・アー・ダイナソー!(だが、お前、恐竜だろうが)」

「イッツ・イグザクトリー。アルソー・アイド・イン・アクスィデン・ディス・モーニン。プリーズ・テルミー・シテゥアーション!ア~。ワイル・カフェ!アイド・ブレックファスト・ナウ(そりゃそうだ。けど、オレも朝からヘンなコト続きなんだ。今どうなってんのか教えてくれ!あ~。コーヒーでも飲みながら!オレ、朝メシ中だったんだ)」

 オレがつたない英語で答えると、騎兵隊たちは腹を抱えて笑い始めた。

「オーケー。ウィー・ドン・アタック・ユー。ゴー・ユー・ナウ(オーケー。オレたちもお前を攻撃しない。これからそっち行くからな)


走り屋の愛車を牙にかけるとこうなります。


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